583 / 968
やっぱり寒い
しおりを挟む
魔法の腕は上がってるみたいだけど、やっぱり近づけばまだまだ弱いな。
「嘗めるな!!!」
「……やるじゃん」
近づいたら弱いってのは、訂正するか。
手に持っていた杖あっての攻撃だと思うけど、杖のてっぺんから氷の刃を生み出し斬りつける……良いんじゃないか?
振り方はまだちょっと甘さがあるけど、及第点ぐらいの技術はある……と、思う。
指導者じゃないから、あんまり偉そうなことは言えないけど、ちゃんと成長してるな。
「なっ!?」
「ほいっと。俺の勝ちで良いな」
軽く音の衝撃……サウンドショックを飛ばし、氷の部分だけ破壊。
イーリスの斬撃は空振りに終わり、指先に魔弾を生み出して突き付ける。
どう考えても、模擬戦であれば終わりの形だ。
「ッ!! ……そうね、私の負けよ」
負けは認めるけど、まだまだやり足りないというか……逆にストレスが溜まってしまったか?
でも、俺だって負けたくないって気持ちはあったからな。
気を使って負けてやろうとは思わない。
てか……そんな真似をすれば直ぐバレて、逆に怒りそうだ。
「ねぇ、最後何をしたのよ」
「最後って……氷の刃を破壊したあれか」
「それよ。そんな簡単に割れる強度じゃないんだけど」
アイスボールやランスと比べて、結構強度を高めていたのか?
実際に触ってないからあんまり分からないけど、音の振動で攻めたからな……一定以上の強度じゃないと、割と簡単に砕けるぞ。
「そうか……まっ、ちょいっと攻撃しただけだ」
「あんたねぇ、私をおちょくってんの」
「別におちょくってはいないっての。誰にでも秘密にしたい手札ってのはあるだろ」
そんなに秘密にしてるって訳じゃないけど、イーリスにタダで教えてやる義理はない。
「……いつかぶっ飛ばして聞き出してやる」
「ふふ、脳筋だな~」
「何ですって!!」
魔法使いに脳筋って言うのはおかしいかもしれないけど、聞き出すために俺をぶっ飛ばすんだろ……その考え方だと、脳筋って言われても仕方ないだろ。
金を払って情報を得るとかならまだしも、ぶっ飛ばすんだろ……やっぱり脳筋だな。
「イーリス、落ち着きなさい」
「ッ……はい」
本当にラージュさんの言う事だけは素直に聞くな。
あっ、でも今回だけは納得出来てないって表情してる……まっ、模擬戦ぐらいまた受けても良いけどさ。
「ラガス君、今日戦ったイーリスは大会で戦った時と比べて、どうでしたか?」
「え? えっと……一応成長してるなと感じましたね。攻撃魔法の速度、杖を剣に見立てた斬撃。イーリスなりに前に進もうとしてる部分が見えました」
着実に成長している。それだけは事実。
嘘ではなく本音だ。
だから……なんでそんな嫌そうな顔するんだよ、お前は。
「良かったですね、イーリス」
「……そうですね」
うわっ、返事してるけど超不機嫌。
そりゃ上から目線な感じで褒めたかもしれないけどさ…………止めた、これ以上ごちゃごちゃ考えても仕方ない。
イーリスとの模擬戦が終わり、再び目的地であるウィルキリアに向けて出発。
道中ではモンスター以外にも、盗賊に襲われることが一度あった。
盗賊としては、大人である騎士が二人だけだったから、戦力さえつぎ込めば殺せると思ったのかもしれない。
しかし中身を見れば、盗賊の戦力を複数潰せる人材がこちらには多い。
加えて、狼竜であるルーフェイスまでいる。
襲い掛かってきた盗賊は俺たち令息、令嬢組が手を出すことなく瞬殺。
シールバーランク並みの力を持った奴が複数いれば話は別だったかもしれないけど、それぐらいの戦力がなければルーノさんたちが負けることはない。
全員が怪我を負うことなく順調に進み続け……ようやくヘイルタイガーやアイスドラゴンが生息しているかもしれない地域に到着。
「……寒いな」
馬車を降りて、口にした第一声がそれだった。
「嘗めるな!!!」
「……やるじゃん」
近づいたら弱いってのは、訂正するか。
手に持っていた杖あっての攻撃だと思うけど、杖のてっぺんから氷の刃を生み出し斬りつける……良いんじゃないか?
振り方はまだちょっと甘さがあるけど、及第点ぐらいの技術はある……と、思う。
指導者じゃないから、あんまり偉そうなことは言えないけど、ちゃんと成長してるな。
「なっ!?」
「ほいっと。俺の勝ちで良いな」
軽く音の衝撃……サウンドショックを飛ばし、氷の部分だけ破壊。
イーリスの斬撃は空振りに終わり、指先に魔弾を生み出して突き付ける。
どう考えても、模擬戦であれば終わりの形だ。
「ッ!! ……そうね、私の負けよ」
負けは認めるけど、まだまだやり足りないというか……逆にストレスが溜まってしまったか?
でも、俺だって負けたくないって気持ちはあったからな。
気を使って負けてやろうとは思わない。
てか……そんな真似をすれば直ぐバレて、逆に怒りそうだ。
「ねぇ、最後何をしたのよ」
「最後って……氷の刃を破壊したあれか」
「それよ。そんな簡単に割れる強度じゃないんだけど」
アイスボールやランスと比べて、結構強度を高めていたのか?
実際に触ってないからあんまり分からないけど、音の振動で攻めたからな……一定以上の強度じゃないと、割と簡単に砕けるぞ。
「そうか……まっ、ちょいっと攻撃しただけだ」
「あんたねぇ、私をおちょくってんの」
「別におちょくってはいないっての。誰にでも秘密にしたい手札ってのはあるだろ」
そんなに秘密にしてるって訳じゃないけど、イーリスにタダで教えてやる義理はない。
「……いつかぶっ飛ばして聞き出してやる」
「ふふ、脳筋だな~」
「何ですって!!」
魔法使いに脳筋って言うのはおかしいかもしれないけど、聞き出すために俺をぶっ飛ばすんだろ……その考え方だと、脳筋って言われても仕方ないだろ。
金を払って情報を得るとかならまだしも、ぶっ飛ばすんだろ……やっぱり脳筋だな。
「イーリス、落ち着きなさい」
「ッ……はい」
本当にラージュさんの言う事だけは素直に聞くな。
あっ、でも今回だけは納得出来てないって表情してる……まっ、模擬戦ぐらいまた受けても良いけどさ。
「ラガス君、今日戦ったイーリスは大会で戦った時と比べて、どうでしたか?」
「え? えっと……一応成長してるなと感じましたね。攻撃魔法の速度、杖を剣に見立てた斬撃。イーリスなりに前に進もうとしてる部分が見えました」
着実に成長している。それだけは事実。
嘘ではなく本音だ。
だから……なんでそんな嫌そうな顔するんだよ、お前は。
「良かったですね、イーリス」
「……そうですね」
うわっ、返事してるけど超不機嫌。
そりゃ上から目線な感じで褒めたかもしれないけどさ…………止めた、これ以上ごちゃごちゃ考えても仕方ない。
イーリスとの模擬戦が終わり、再び目的地であるウィルキリアに向けて出発。
道中ではモンスター以外にも、盗賊に襲われることが一度あった。
盗賊としては、大人である騎士が二人だけだったから、戦力さえつぎ込めば殺せると思ったのかもしれない。
しかし中身を見れば、盗賊の戦力を複数潰せる人材がこちらには多い。
加えて、狼竜であるルーフェイスまでいる。
襲い掛かってきた盗賊は俺たち令息、令嬢組が手を出すことなく瞬殺。
シールバーランク並みの力を持った奴が複数いれば話は別だったかもしれないけど、それぐらいの戦力がなければルーノさんたちが負けることはない。
全員が怪我を負うことなく順調に進み続け……ようやくヘイルタイガーやアイスドラゴンが生息しているかもしれない地域に到着。
「……寒いな」
馬車を降りて、口にした第一声がそれだった。
45
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる