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君の為でもある選択肢

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「もう一度言っておく。俺は、ライド君の努力を否定するつもりはない。ただ……君にとって失礼な事を言っている自覚はある。でも、相手が悪かった」

「ッ!!!! …………」

一瞬、超怒りのオーラが漏れ出したけど、直ぐに収まった。
冷静に事実を思い返せてたんだろうな。

最初から、仮にリーベからアザルトさんを奪ったとしてどうなるのか……それが知っていたなら、ザックスたちと友達にはなっても、将来的に一緒にパーティーを組もうとは思わない筈だ。

というか、ラスト君の性格を考えればそんな隠し事は出来ない。

もしかしたらちょっと借金みたいなものを背負う可能性があるかもしれない、的な事をラスト君に伝えてたかもしれないけど……本当の額は伝えてない。
当たり前と言えば当たり前だけど、黒曜金貨十数枚か……もしくは数十枚の借金。

恋人からそんな借金がある。
一緒になったら、それを自分と一緒に返してほしい。

な~~んて言われたら、普通にドン引きだ。

それを返済すれば、もう一度借金を背負う様な馬鹿な真似はしないだろうけど、金額手に生きている内に払いきれるかっていう多すぎる借金額なんだよな。

「第三者の目線だから、随分冷たい内容だとは思うけど……アザルトさんはその婚約者と進む覚悟を決め、早い内にライド君に別れを切り出すべきだった」

私のことは忘れて、前を向いて進んで……的な内容を告げるべきだった。
そりゃお互いに辛い思いが消えない時期はあるだろうけど、それは時間が解決してくれる……と、思う。

「……人の恋に口出しをするのは良くない。それは重々分かってるけど、友達に未来が掛かってるから……言わせてらもう。一緒にアザルトさんと借金を返す道を選び、ザックスたちと縁を切る。もしくは、アザルトさんとの縁を切ってザックスたちと共にハンターとなる……どちらかの道を選んでほしい」

「……ぼ、僕は」

「一応言っておくけど、今すぐ答えを出す必要はない」

「えっ……」

むっちゃ驚くじゃないですか。
だって、今すぐ決める内容にしては重すぎるでしょ。

「申し訳ないけど、今回の話は三人にも伝えてる。ザックスたちにも、答えを直ぐに出す必要はないと伝えてる……まぁ、いつまでに答えを出すとかは聞いてないけどね」

ただ、俺としては早い内に決めてほしいな~と思ってる。

「でもな、個人的には早い内に決めた方が良いと思ってる……ライド君の為にな」

「ぼ、僕の為にですか?」

「あぁ、そうだ。いや、片方の選択肢についてザックスたちの為という気持ちの方が大きいけど、もう片方の選択肢に関してはライド君の為と言い切れるよ。だって、ライド君がアザルトさんの背負った借金額を聞いたのはつい最近だろ」

「は、はい。そうですね」

よし、嘘は言ってない……多分だけど、嘘を付いてるようには思えない。
個人的にはここが重要なんだよな。

「他の第三者たちにとって、その部分を聞くとライド君は騙された側の人間。そう判断される。平民出身だし、貴族の詳しいそこら辺の情報を知らなかった訳だしね」

知ってたならあれだけど、知らなかったなら……ここでアザルトさんと縁を切っても、アザルトさんが事実を隠していたから逃げられた……と、周囲から思われてもおかしくない。

だって黒曜金貨十数枚から数十枚の借金だぜ。
そりゃともに苦難を乗り越えようと思っていた仲でも、そこでバッサリ亀裂が入ってもおかしくないって。

「だから……あの三人と真っ当なハンター人生を歩みたいなら、早い内にアザルトさんと別れることを勧めるよ」

簡単に言ってしまえば、愛を取るか友情を取るかの話。

まぁ、どっちの選択肢を取っても大なり小なりデメリットはあるだろうけど……そこは飲み込むしかない。
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