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どこかで着火する
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「…………」
「…………」
「…………」
完全に意気消沈って感じだな。
ただ、俺としてはここで直ぐに熱くなって「それでも!!」って言わないでくれたのは有難い。
「三人とも……もう一度、考えてほしい。ハンターの育成学園で座学を学んでいるなら、金がどれだけ大事なのか分かってるだろ」
「えぇ、勿論分かってるわ」
うん、三人の中では一番レイアが解ってるだろうな。
他二人……ザックスとミリアも解らない、ってことはない表情だ。
「私生活に使う金、依頼を達成するために必要な準備金。ランクが上がれば、自分の命を預ける武器や防具、マジックアイテムに投資しないと駄目だ。それは解ってるだろ」
「あぁ……解ってるよ。俺は二人と比べればバカな方だけど、先生たちからそこは何度も何度も言われてるよ」
「そうか。ガルアス学園には良い先生が多いみたいだな」
金に意地汚い……そう思われるかもしれないが、そういう考えが正解なんだよ。
なんだかんだで金に困ってない俺が思うのはおかしいかもしれないけど。
「黒曜金貨何十枚という借金があれば、どうしてもそっちにお金を使った方が良いんじゃないかって、思わないか……別に怒ったりブチ切れたりしない。素直に答えてくれ」
そう言うと、三人は静かに頷いた。
だよな、やっぱりそう思ってしまうよな。
「悪い考えではない。そう思うのが普通なんだ。武器や防具に金を使って、もっと上を……そういった考えはあれど、金額が果てしなく多い」
黒曜金貨何十枚の借金なんて、貴族だったとしてもフラっと立ち眩みが来るだろ。
「まだ白金貨何十枚程度であれば、良い感じのプランを立てて……お前たちなら借金を全て返済できるだろう。ただ、あまりにも桁が違い過ぎる」
たとえ難易度が高いダンジョンを潜っていたとしても、そう簡単に宝箱から手に入るものじゃない。
「返しても返しても……少しずつ減るかもしれないが、確実にお前たちの神経を削っていく。そして、いつかそれが爆発する筈だ」
これは予想なんかじゃない。
予言に近いか? 絶対そうなると断言出来る。
借金を背負ってるのは、ライド君じゃなくてその恋人であるアザルトさんなんだ。
正直なところ……三人からすれば、やや縁が薄い人物。
その人が原因で、いつまでたっても稼いだ金を本当の意味で自由に使えない。
あの時もっと良い装備などを買って、身に着けておけば良かったと思う日が来るかもしれない……ただ、莫大な借金があるならせめて少しで減らそうと思う気持ちも間違いではない。
だから、どうしよもなく解消できないモヤモヤが胸に溜まり続ける。
そのモヤモヤに……最悪のガスが、どこかで着火される。
そのタイミングでパーティーを解散するのか?
そこから逃げることは悪いと思わない……ただ、ずっと苦い後味が残り続けるのは間違いない。
「もう一度言っておく。ライド君が悪いんじゃねぇ。寧ろ凄いと思うぜ……ただ、その恋人が悪過ぎた。俺の個人的な……貴族側寄りの意見としては、よっぽど理不尽な理由がない限りは、貴族として生まれたならその務めを果たさないといけないんだ」
その分、平民より良い暮らしが出来てるんだ。
そこは仕方ないんだよ。
「それをアザルトさんは放棄した。平民のお前たちにとっては、もと婚約者が強引にライド君からアザルトさんを奪ったように思えるかもしれないが、その婚約者からすればそもそもライド君という存在なんて知らなかったんだ」
簡単に言ってしまえば、そんな元々知らなかった事情を今更指摘されても困る。
そういう話だ。
「だから……落ち着いて、冷静に……一度、他人になったと思って考えてくれ」
難しいかもしれないが、本当の意味で決断するなら……そうしないと、心の底から納得いく答えは出ない。
「…………」
「…………」
完全に意気消沈って感じだな。
ただ、俺としてはここで直ぐに熱くなって「それでも!!」って言わないでくれたのは有難い。
「三人とも……もう一度、考えてほしい。ハンターの育成学園で座学を学んでいるなら、金がどれだけ大事なのか分かってるだろ」
「えぇ、勿論分かってるわ」
うん、三人の中では一番レイアが解ってるだろうな。
他二人……ザックスとミリアも解らない、ってことはない表情だ。
「私生活に使う金、依頼を達成するために必要な準備金。ランクが上がれば、自分の命を預ける武器や防具、マジックアイテムに投資しないと駄目だ。それは解ってるだろ」
「あぁ……解ってるよ。俺は二人と比べればバカな方だけど、先生たちからそこは何度も何度も言われてるよ」
「そうか。ガルアス学園には良い先生が多いみたいだな」
金に意地汚い……そう思われるかもしれないが、そういう考えが正解なんだよ。
なんだかんだで金に困ってない俺が思うのはおかしいかもしれないけど。
「黒曜金貨何十枚という借金があれば、どうしてもそっちにお金を使った方が良いんじゃないかって、思わないか……別に怒ったりブチ切れたりしない。素直に答えてくれ」
そう言うと、三人は静かに頷いた。
だよな、やっぱりそう思ってしまうよな。
「悪い考えではない。そう思うのが普通なんだ。武器や防具に金を使って、もっと上を……そういった考えはあれど、金額が果てしなく多い」
黒曜金貨何十枚の借金なんて、貴族だったとしてもフラっと立ち眩みが来るだろ。
「まだ白金貨何十枚程度であれば、良い感じのプランを立てて……お前たちなら借金を全て返済できるだろう。ただ、あまりにも桁が違い過ぎる」
たとえ難易度が高いダンジョンを潜っていたとしても、そう簡単に宝箱から手に入るものじゃない。
「返しても返しても……少しずつ減るかもしれないが、確実にお前たちの神経を削っていく。そして、いつかそれが爆発する筈だ」
これは予想なんかじゃない。
予言に近いか? 絶対そうなると断言出来る。
借金を背負ってるのは、ライド君じゃなくてその恋人であるアザルトさんなんだ。
正直なところ……三人からすれば、やや縁が薄い人物。
その人が原因で、いつまでたっても稼いだ金を本当の意味で自由に使えない。
あの時もっと良い装備などを買って、身に着けておけば良かったと思う日が来るかもしれない……ただ、莫大な借金があるならせめて少しで減らそうと思う気持ちも間違いではない。
だから、どうしよもなく解消できないモヤモヤが胸に溜まり続ける。
そのモヤモヤに……最悪のガスが、どこかで着火される。
そのタイミングでパーティーを解散するのか?
そこから逃げることは悪いと思わない……ただ、ずっと苦い後味が残り続けるのは間違いない。
「もう一度言っておく。ライド君が悪いんじゃねぇ。寧ろ凄いと思うぜ……ただ、その恋人が悪過ぎた。俺の個人的な……貴族側寄りの意見としては、よっぽど理不尽な理由がない限りは、貴族として生まれたならその務めを果たさないといけないんだ」
その分、平民より良い暮らしが出来てるんだ。
そこは仕方ないんだよ。
「それをアザルトさんは放棄した。平民のお前たちにとっては、もと婚約者が強引にライド君からアザルトさんを奪ったように思えるかもしれないが、その婚約者からすればそもそもライド君という存在なんて知らなかったんだ」
簡単に言ってしまえば、そんな元々知らなかった事情を今更指摘されても困る。
そういう話だ。
「だから……落ち着いて、冷静に……一度、他人になったと思って考えてくれ」
難しいかもしれないが、本当の意味で決断するなら……そうしないと、心の底から納得いく答えは出ない。
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