上 下
550 / 968

お先に暴れる

しおりを挟む
「な、なんでオーガなんですか?」

セルシアたちや他の生徒たちを襲ったアイアンアントと、その親玉じゃなくて……なんでオーガ???
全く持って意味が分からない。

「そこは俺にも分からない。だが、オーガの大群がこちらに向かっている」

「オーガの大群ですか……それは中々の戦力ですね」

「そうだな……大群ってことは、数は二十や三十……もしかして、それよりも上ですか?」

「……おそらく、五十は超えている筈だ」

おいおいおい、マジか……五十はさすがにヤバいだろ。
この辺りにいるオーガ全員が一か所に集まってたのか?

それなら分る……いや、だとしてもなんで今、その大群がいきなり動き出したんだ?

「…………分かりました。とりあえず半端じゃない数のオーガこっちに向かって来ているんですね」

「あぁ、既に教師たちにも伝わっている筈だ……それで、まだ学生である君達に恥を忍んで頼む。どうか、力を貸してほしい」

この人……良い人というか、嘘は付かない真っすぐな人だな。
まぁ、ここ数日俺たちの戦いぶりを見ていたからかもしれないけど。

「勿論です。将来ハンターを目指す身として、戦いに参加します」

「私も、勿論」

「そうだね……ラガスの言う通り、ここは退けないところだ」

「……はぁ~~~~~。私の立場を考えれば止めなければならないのでしょうけど、そうも言ってられませんし、仕方ありませんね」

「ワゥ!!!」

さすがメリル、話が解るな。

「それじゃ、俺は一足先に言って暴れてきます。メリル、ロックス、メリルはリーベとチームを組んでくれ。あいつならオーガ相手でも十分な戦力になる筈だ。ルーフェイスは付いてきてくれ!!!!」

『分かった!!!』

「ラガス坊ちゃま、ご武運を!!」

「おう!!! メリル、存分に暴れて良いからな!」

「……かしこまりました」

相手が大群となれば、メリルの毒と糸が最高に力を発揮する筈だ。

それじゃ……暴れて数を減らすか!!!!

「ラビットフット」

短期決戦で倒せればいいんだけど、絶対に俺とルーフェイスだけじゃ全てを倒し切るのは……不可能じゃないかもしれないけど、絶対に後ろに漏らしてしまう。

『五十を超えるオーガの群れなんて、初めてだね!!!!』

「あぁ、確かに初めてだな……いやはや、まさかこんなことになるとはな」

そりゃもしかしたら、モンスターの群れに遭遇するかもしれないとはちょっと思ってたよ。

でも、それはせいぜいEランクかDランクの群れであって……まさかCランクのモンスターが群れで、しかも五十以上の数とか一ミリも考えてなかったぞ。

にしても、本当になんでオーガの群れなんだ?
そんなのが発見されてたら、そもそも演習場所として選ばれないだろうし……もしかして、偶々見つけたハンターたちがちょっかいを出したのか?

そんで、怒り狂ったオーガがそのままこっちに向かってきた……って感じ?
でも……ハンターが殺されたって話はなかったし……いや、本当に謎だな。

『ラガス、後少しだよ』

「分かった。ルーフェイスは俺からあまり離れすぎない程度に暴れてくれ」

『了解!!!!! あっ、あんまり傷付けない方が良い?』

ん~~~~~……一応オーガだし、数も多いから万が一ってのを考えると……うん、今日は放っておいて良いな。

「今回は別に気にしなくて良いぞ。好きなように切り裂いちゃってくれ」

『よ~~~~~し、やってやるぞ~~~』

既に狼竜の姿になってるし……あんまり心配しなくても大丈夫かな。

ただ、五十以上の群れってことは、どう考えても纏め役の個体がいるよな。
普通の上位種じゃなくてジェネラルか、キングか……キングだと、あんまり悠長にしてられないな。

ジェネラルはBランクであり、その上のキングはAランクの力を持つ強敵。
ルーフェイスと二人だけでは……なんとかなるか?

いや、どちらにしろ厳しいことに変わりはないだろうな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

前世は大聖女でした。今世では普通の令嬢として泣き虫騎士と幸せな結婚をしたい!

月(ユエ)/久瀬まりか
ファンタジー
伯爵令嬢アイリス・ホールデンには前世の記憶があった。ロラン王国伝説の大聖女、アデリンだった記憶が。三歳の時にそれを思い出して以来、聖女のオーラを消して生きることに全力を注いでいた。だって、聖女だとバレたら恋も出来ない一生を再び送ることになるんだもの! 一目惚れしたエドガーと婚約を取り付け、あとは来年結婚式を挙げるだけ。そんな時、魔物討伐に出発するエドガーに加護を与えたことから聖女だということがバレてしまい、、、。 今度こそキスから先を知りたいアイリスの願いは叶うのだろうか? ※第14回ファンタジー大賞エントリー中。投票、よろしくお願いいたします!!

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...