上 下
547 / 962

えっ、地獄だったの?

しおりを挟む
昼飯を食べ終え、夕方以降までずっとモンスターを狩り続けた。
最初に他の生徒たちの獲物を奪わないように奥の方に行ってたので、他のハンター科の奴らと偶然会うことはなかった。

ただ、ルーフェイスがいるお陰でモンスターの位置を直ぐに把握出来たので、モンスターを探すには困らない。

ルーフェイスの鼻を頼りにするのはちょっとずるいかもしれないけど……まっ、これぐらいはありだよな。
先頭には参加してもらってない訳だし。

そして夕方以降になると、一旦アルガンツ先生が待機してる場所まで戻る。

「先生、とりあえず今日の成果です」

「そこに並べてくれ」

「分かりました」

「…………うん、分かってはいた事だが、やっぱりこうなるか」

やっぱりってのは、俺たちが大量にモンスターを狩ってくることを指してるのか?
別に他の生徒の獲物を奪ってないから、悪いことはしてないと思うんだが。

「一応奥の方のエリアで狩ってたんですけど」

「ん? あぁ、別にお前たちに文句がある訳じゃない。ただ単に、お前たち三人が狩ってきたモンスターの素材の量に驚いてるだけだ」

そうのか。だったら別に良いんだが……普通に考えれば、他の生徒よりは多いだろうな。
そりゃ俺達以外にもモンスターとの戦闘経験がそれなりにある生徒はいるかもしれないけど、こっちには速攻でモンスターの匂いを探し当てるルーフェイスがいるからな。

「……よし。計算し終えたから……こっちで素材を預かることも出来るが、どうする?」

「あ、大丈夫です。収納に入れておくんで」

「はっはっは! そうだったな。全く……ラガスには本当に色々と驚かされるよ」

「それはどうも……お、リーベ!」

「ラガスか」

面と向かって会うのは久しぶりだな。

「そっちも一旦狩り終わった感じか?」

「あぁ、そうだ……ふっ。相変わらず学生らしからぬ相手を狩ってるな」

「偶々見つかってな。リーベも……それなりにレベルが高い相手を狩ったんじゃないのか?」

「……良く分かったな」

そう言うと、リーベはアイテムバッグの中からそれなりの素材と魔石を取り出し……その中でもひと際目立つ物があった。

「こいつか、それなりにレベルが高かった相手は」

「そうだ。遭遇した時は少し焦ったが……まぁ、なんとか倒せた」

「リーベがいなかったら本当に危なかったよな」

「いや、本当にそれな。てか、リーベちょっと強くなり過ぎだろって思ったぜ!」

リザードマンの鱗に魔核か……確かに学生にとっては脅威になる敵だ。
他二人と従者の表情を見る限り、リーベが一人で倒したみたいだな。

「……お前たちも地獄の様な訓練を続ければ、上に上がれる筈だ」

…………えっ? リーベの奴……俺たちとの訓練を、地獄だと思ってたのか?
そりゃ、絶対に勝たせてやりたいと思ったから、短期間で詰め込む形にはなったかもしれないけど……えっ、地獄だったのか?

「なぁ、そんなに厳しい訓練だったか?」

「えっと……ちょっと、厳しいかも」

「はは。セルシアの言う通りかもしれないね。家にいる時からそれなりに訓練は積んできたつもりだったけど、ラガスたちの訓練は正直、結構スパルタだと思うよ」

「ラガス坊ちゃま、自分の色んな部分が普通だと思ってはいけませんよ。勿論、あの訓練はリーベ様のことを思ってだと思いますが、基本的に無茶だと思われても仕方がありません」

……え~~~~~~~。
そんなにあれだったのか?

そりゃ疲れてからの模擬戦でこそ、一番自然な……ベストの動きを発揮できる。
その動きこそ、自身を成長させる一瞬になる。ってなことを考えながら訓練してたけど……そうか、ちょっとやり過ぎだったか。

次、リーベみたいに誰かを鍛えるような機会があったら、もう少し加減して内容を考えた方が良さそうだな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

エンジェリカの王女

四季
ファンタジー
天界の王国・エンジェリカ。その王女であるアンナは王宮の外の世界に憧れていた。 ある日、護衛隊長エリアスに無理を言い街へ連れていってもらうが、それをきっかけに彼女の人生は動き出すのだった。 天使が暮らす天界、人間の暮らす地上界、悪魔の暮らす魔界ーー三つの世界を舞台に繰り広げられる物語。 著作者:四季 無断転載は固く禁じます。 ※この作品は、2017年7月~10月に執筆したものを投稿しているものです。 ※この作品は「小説カキコ」にも掲載しています。 ※この作品は「小説になろう」にも掲載しています。

俺と幼女とエクスカリバー

鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。 見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。 最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!? しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!? 剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?

紫楼
ファンタジー
 5歳の時、自分が乙女ゲームの世界に転生してることに気がついた。  やり込んだゲームじゃ無いっぽいから最初は焦った。  悪役令嬢とかヒロインなんてめんどくさいから嫌〜!  でも名前が記憶にないキャラだからきっとお取り巻きとかちょい役なはず。  成長して学園に通うようになってヒロインと悪役令嬢と王子様たち逆ハーレム要員を発見!  絶対お近づきになりたくない。  気がついたんだけど、私名前すら出てなかった背景に描かれていたモブ中のモブじゃん。  普通に何もしなければモブ人生満喫出来そう〜。  ブラコンとシスコンの二人の物語。  偏った価値観の世界です。  戦闘シーン、流血描写、死の場面も出ます。  主筋は冒険者のお話では無いので戦闘シーンはあっさり、流し気味です。  ふんわり設定、見切り発車です。  カクヨム様にも掲載しています。 24話まで少し改稿、誤字修正しました。 大筋は変わってませんので読み返されなくとも大丈夫なはず。

処理中です...