万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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人を狂わせる

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憧れの女性騎士の名を出して、今の君達じゃ興味持てないよ的な感じで寄って来る令嬢たちを追い払えると思ったんだが……万が一起こるかもしれないリスクを考えれば……うん、止めといた方が良いな。

「良い案だと思ったんだけどな~~~」

「悪くない案だとは思うっすけど、その……やっぱり血の海ができてしまう可能性を考えると、止めといた方が良いかもしれないっす」

「……そうだな」

モンスターや盗賊の血で海ができるな別に構わないんだけど、全くそういうのではない兵士や貴族の血で海ができてしまうのは……超アウトだ。

「そ、そんなことになりますか?」

「フォース君はまだ子供だから……って、そんなこと言える程別に俺も歳とってないか」

でも、まだ八歳じゃ分からない事情もあるよな。

「普段は冷静で、しっかりリスクとリターンを考えられる人であっても、恋愛が絡めば暴走してしまうんだよ」

「えっと……その、もしかして実体験ですか?」

「あぁ、勿論実体験だ」

いや、相手の普段をよく知らないから例に当てはまらないかもしれないけど……まぁ、間違ってはいない。

「例えばだ……これはそこまで非常識ではないけど、セルシアの元婚約者のジークは知ってるか?」

「はい、知ってます。ラガスさんより断然弱いあの人ですよね」

「ま、まぁ……うん、確かに俺より弱くはあるな」

それはそうなんだけど、フォース君……ちょっとジークに当りきつくない?
あんまりフォース君には好かれてなかったっぽいな、あいつ。

別に悪い奴ではないんだけど……優男も過ぎれば嫌う人が現れるのかもな。

「あいつは俺がセルシアとパートナーになった当日に、一対一の勝負を申し込んで来たんだ」

「……もしかして、ラガスさんを倒して自分の方がセルシア姉さんのパートナーに相応しいと証明しようと思ったんですか?」

「その可能性が一番高い……というか、それしか理由がないだろうな」

「とんでもなくバカですね」

「お、おぅ……ちょっと馬鹿ではあるかもな」

やっぱりちょっとジークに厳しいというか、厳し過ぎるな。
もう関係性はないから、これから先ジークが傷付くことはないと思うけどさ。

「他には……あれが一番の例だな。俺が大会に出場するために校内戦に参加してた時の話なんだが、俺の対戦相手が試合前にドーピングしてたんだよ」

「……本当ですか?」

「勿論本当で真実だ。その馬鹿の親からきっちり迷惑料を受け取ったぞ」

「そ、その人もセルシア姉さんに惚れていて、パートナーになったラガスさんが気に入らなかったからそんな行動を起こした……ということなんですね」

「そういうことだな」

名前は……忘れた。
でもそういう馬鹿なことをした生徒は覚えてる。

恋は人を狂わせるというが……あ、それなら自分の国に俺を呼び出したあのバカ王子も例に当てはまるか。

「とにかく、恋愛が絡めば人は普段の様子からは考えられない行動を起こす可能性があるんだ。これは令嬢が寄ってくる云々関係無しに覚えておいた方が良いと思うぞ」

「しっかり頭の中に入れておきます」

うん、そうした方が良いよ。
フォース君は俺なんかより一万倍モテる顔してるからな。

顔とか関係無しに、普段の行動だけで見知らぬ女性を惚れさせてしまう……なんて事も十分あり得そう。

「さて、話を戻そう……ん? これないけるかも」

「また良い案を思い付いたっすか?」

「良い案というか、さっきの案と似てるんだけど憧れてる人物を現役の女性騎士とかにするんじゃなくて、セルシアにしたらどうだ」

「ほぉ~~~。それはそれは……確かにさっきの案と似てるっすけど、後々問題が起こることはなさそうっすね」

「だろ!!!」

我ながら良い案を思い付いたな……てか、この案まで辿り着くのに時間が掛かり過ぎた気がするが……まぁ、そこはどうでも良いか。

「どうだ、フォース君。悪くない案だと思うんだけど」

「はい! 凄く良い案だと思います!!!」

満面の笑みだな。
これでフォース君の悩みは万事解決……するよな?
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