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怠っていなかった

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「お待たせ。レアード、セリス」

「「ラガス兄さん!!」」

二人がいる場所に向かうと、どうやらクレア姉さんとアリクと一緒に時間を潰していた。
とはいっても、実力はまだまだクレア姉さんとアリクの方が上だから、遊ばれてたって感じか。

「ねぇ、ラガス兄さんも模擬戦してよ!!」

「その次は私と!!!」

「分かった分った、ちょっと落ち着け。お前ら本当に元気だな」

「どう考えてもラガス坊ちゃまに似たと思われますよ」

「…………」

そ、それはどうなんだ?
ぶっちゃけ俺だけじゃなくて兄弟全員、自分を鍛えるのに妥協してないから、俺に似たって表現はちょっと違うと思うんだが。

「それじゃ……まずはレアードからだな」

「ふぅーーーーー……はっ!!!」

良い踏み込みだな。
基本ベースは魔法使いだが、棒の扱いは決して悪くない。

体の質的にも魔法使いに寄ってるって訳じゃないし……こりゃクレア姉さんもうかうかしてたら棒だけの扱いだと負けるかもしれないな。

「むっ! ラガス兄さんは、本当に、速いね!!!」

「身体能力なら、脚の速さが一番だろうからな」

脚が速いだけで攻撃は躱せないもんだけど……本当に特化してる奴なら、無理矢理躱せるか。
まっ、今は脚の速さとかよりも経験則や反応速度のお陰で躱せてる。

「俺が学園に入学してからも、きっちり棒術は鍛えてるみたいだな」

「魔法使いだからって、接近戦が出来なくて良いって考えを、捨てろって言ったのは、ラガス兄さんでしょ!!!!」

「はっはっは! 確かにそうだったな」

そういったことを教えたのは間違いなく俺だな。
だからといって、それを素直に受け入れるか否かは本人次第だが……レアードの場合は、双子のセリスに負けたくないってえ思いが強いから棒術も頑張れたのかもしれないな。

「はぁ、はぁ……やっぱり、そう簡単には当たってくれないよね」

「学園に入学してからも毎日メリルやセルシアたちと一緒に鍛えてるからな」

モンスターと戦う機会は減って、格上の相手と戦う機会はめっきり減ったけど、戦いの勘はそんなに鈍ってない。

「でも、まだまだこれからだよ!」

「そうこなくっちゃな」

今までは身体強化のアビリティなしでの戦い。
素の身体能力だとモンスターと戦ってきた経験数が多い俺の方が、断然有利。

「せいっ!!!」

「ッ!」

身体強化の練度も中々だな。
使っている武器は木製の棒とはいえ、まともに食らうと痛い。

今度はこっちからも攻めるか。

「よ、ほ、はっ!!!」

「ッ! あ、ぶな!! もぅ~~~、なんでそんなに、素手なのに!! 遠慮なく、これるのさ!!!」

「なんでと言われても……よく分からないな」

長物を扱う相手に素手で戦ってるんだから、近づかないダメージを与えられない。
それが一般的な理由だと思うんだが、そんなことを知りたいわけじゃないだろうな。

そんなこと言われずともレアードの頭には入ってるだろうし。

攻撃が良く視えてるから……って感じか?

「本当にラガス兄さんは、ちょっとおかしいよね!!!!」

「褒め言葉として受け取っておくよ。でも、それを言うならアリクだってちょっとおかしい部類だろ」

「それは、確かにそうだった!!!」

「おい、お前ら。俺を変人扱いするな」

横から否定的な言葉が飛んできたけど、そんなことを知らんとばかり模擬戦を続ける。

「強くなってただろ、あいつ」

「正直、びっくりするほど、強くなってたよ!!!」

だよな~~。
俺も学園に入学して久しぶりに会って模擬戦したら超強くなっててびっくりした。

まだまだ強くなる可能性がある……もしかいたらレアードが追い付く日は遠くないかもとか思ってたけど、全くそんなことなかったな。

「はい、俺の勝ち」

「あっ……はぁ~~~~~、くそ。まだまだ無理か」

最終的にレアードの突きを左手で掴み、回転させて俺の態勢を崩そうとしたタイミングに合わせて俺もみだり手を捻り、動きが止まった瞬間を狙って貫手を首元に添えて模擬戦は終了した。
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