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三人の今後と嫌われ令嬢

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「……久しぶり、っていう程でもないのかな」

「一年も経っていませんからね」

確かにメリルの言う通り、家を出て学園の寮で生活を始めてから一年も経ってない。
でも……それでもやっぱり久しぶりって感じがするな。

「ここが、ラガスが住んでた……街」

「そうだよ。あんまり大きくはないけどな」

男爵家が国から貰える街の大きさなんて、そんな大したもんじゃない。
俺はそれなりに気に入ってるけど。

「大きくなくても、雰囲気は良い」

「そう言ってくれると嬉しいよ」

「それに、皆良い笑顔」

……特に何か災害や悪天候に苦しめられたりしてない。
なんだかんだで確かに良い土地かも。

「ラガス様、お久しぶりです」

「どうも、夏休みなんでちょっと帰ってきました」

「大会で活躍したとお聞きしました。流石ラガス様です」

「は、はは……どうも」

父さんが大会を観に来てくれてたし、見回りの兵士たちが知っててもおかしくないよな。

「ラガスは、慕われてるね」

「そ、そうか?」

「うん、慕われてる。ラガスを見る目に、黒い感情? みたいなのが全く、なかった」

俺より社交界に出てるからこそ、そういうのが見分けられるのか。
こっちで生活している間、特に街の人たちに迷惑を掛けるようなことはしなかったから、当然と言えば当然……なのか?

「街の住民たちに、ラガス坊ちゃまは毎日自信を鍛えてモンスターと戦っているという情報が主です。なので、そこに貴族の子供たちだけで行われる大会で優秀な成績を収めたとなれば、更に慕われるのは間違いないかと」

「……えっ、元々俺って慕われてたん?」

本人的には殆ど社交界に参加せず、毎日毎日強くなるためだけに時間を費やしてるちょっと変な人、って思われてると予想してたんだけど。

「ちゃらんぽらんな生活を送らず、変な噂も流れてないんで当然だと思うっすよ」

「そうなのか……全然気付かなかった」

ん~~~、あんまり慕われてるとは思ってなかったけど……ザックスやレイラ、ミリアとか普通に話しかけてくれたし、確かに嫌われてはいなかったか。

あっ、そういえばあの三人……今どうしてるんやろうな。

リーベとライド君の決闘は結果的にリーベが諦めた形になったけど、今までリーベの実家がアザルトさんの実家に色々と援助してた分は全部返さないヤバい流れになった。

三人はライド君の友達だし……ヤバい流れになった原因はアザルトさんにあるんやから、もし卒業後にパーティーを組むのであれば仲間の借金を背負った状態でスタート……普通に考えれば辛過ぎるよな。

「ラガス坊ちゃま、いきなり暗い顔になりましたが、何かよろしくないことでも思い出したのですか?」

「え? あ、あぁ……慕ってくれていた人ってのでザックスたちのことをちょっと思い出してな」

「ザックスさんたち……そういうことですか。またあの方と縁を持っているのか否か心配、ということですね」

「うん、そんなところ」

友情ってのはそりゃ大事だと思うよ。
でもさ、侯爵家が男爵家に六、七年? 援助してきた金額って考えると……いったい幾らになるんだ?

とりあえず到底一括で払える金額じゃないだろ。
ライド君は一応筋を通してからなんとかしようと思ってたらしいから、個人的に悪い奴とは思ってないけど、アザルトさんはちょっとな…………まずあれだ、本当に自分が悪いと思ってるのか気になる。

「なぁ、セルシア。アザルトさんって覚えてる?」

「勿論、覚えてる。リーベをフった、クソ令嬢」

「あ、うん……まぁ、そうだね」

う、うわぁ……め、めちゃくちゃ嫌いじゃないっすか。
アザルトがしたことを考えれば当然なんだろうけど……とりあえず覚えてるんだな。

「それでさ、あの人は自分がしたことを反省してると思う?」

「それは……リーベの気持ちを裏切った、こと?」

「そのことだね。普通はあの後起こった流れを考えれば反省すると思うんだけどさ」

多分、ザックスたちは詳しい内容をしっても、そう簡単に縁を切らない。
縁を切る切らないは三人の自由だけど、仮に卒業してから一緒に冒険者として活動するなら……アザルトさんにはきっちり反省しておいてほしいんだよね。
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