430 / 962
宝物庫にはなかったので
しおりを挟む
「お疲れ様です、ラガス坊ちゃま」
「お疲れ、ラガス」
「ありがと。まぁ……試合はこっちが一方的にボコっただけだけどな」
特に疲れたという気持ちはない。
寧ろスッキリとした気持ちしかない!!!!!
多分……多分が、あの容姿を見る限り普段が王子らしい王子だと思うんだよ。
だってバカ第三王子についてちょろっと調べたけど、暴君王子的な内容は全くなかったんだ。
もしかしたら巧妙に隠していたのかもしれないけど……そういうことが出来るなら、今回の件ももう少し上手くなんとかやる筈でしょ。
ただ、あの自分がセルシアを想う気持ちは絶対に間違っていないとでも言いたげで、自信満々の表情はムカついたから思いっきり殴れて超スッキリした。
それだけは間違いない。
「いやぁ~~~~、結構容赦なかったっすね。ドラゴニック・ビルドアップまで使ってたっすよね」
「向こうがそれなりに良い装備を身に着けてたからな。最初の数撃なんか殴った感触はあれど、ダメージが入った感覚は無かったからな」
ダメージ身代わり効果が付与されたマジックアイテムでも身に着けてたんだろう。
それに、結構本気で殴ったのに治癒不可能な状態にはならなかった。
それはやっぱり身に着けていた防具とかの効果があったからだと思う。
「ラガス殿、愚息の相手をしていただき誠に感謝する」
「い、いえ。ちゃんと報酬があるんで。だから頭を上げてください」
お偉いさんに頭を下げられるのはどうもむずむずする。
だからそんなきっちり頭を下げないでほしい。
ほら、後ろで薄っすらと意識がある愚息さんが心底驚いた顔してますよ。
「アルガ国王の名に誓い、この結果を覆させるようなことはさせない。そして愚息が暴走してラガス殿たちに迷惑を掛けないことを約束する」
「よろしくお願いします」
仮に……仮にそんなことが起こってしまったら、迷惑が掛かるのは俺たちじゃなくてアルガ王国側だからな……暴走した第三王子君が王族という権力を乱用するのかもしれないけど、さすがに兵士や騎士……暗部の人たちも王命には逆らわないから安心しても良い……よな?
「そして報酬に関してなのだが、空間魔法のスキル結晶は宝物庫にあったの夕食が終わった後にでも渡そう。だが、セルシア殿の細剣に関しては少々時間が欲しい」
「そうですか……分かりました。七日以内によろしくお願いします」
「う、うむ。分かった。七日以内に必ず」
悪いが、そう長い間この国に居続けるつもりはない。
夏休みは夏休みでのんびりしたいんだよ。
個々に来るまでの時間は決して短くない。
実家に帰省もしたいし、そこまでそちらに合わせられないんだよ。
騎士たちは若干……ほんの若干怒ってるっぽいけど、帯剣している剣に手が伸びることはなかった。
にしても、セルシアが望む雷の名剣は宝物庫に無かったのか……最低でもランク七って言ってから向こうはちゃんとランク八か九の細剣を用意するつもりなんだろうな。
その気持ちは良いんだが、やっぱり七日が限界だな。
「ラガス坊ちゃま、もう少し期限が短くてもよろしかったのではないですか?」
「宝物庫にセルシアが望む細剣がなかったなら、素材集めから始めないと駄目だろ。王族の権力とかを考えたら七日あれば丁度良いかと思ったんだ。あんまあり短くし過ぎて中途半端な物をセルシアに渡されても困るからな」
「なるほど、それもそうでしたね。視野が狭まっていました。しかしラガス坊ちゃま、ガルガントに戻ってから夏休みが終わるまであまりのんびりとしている暇はないと思いますよ」
「えっ、そうなのか?」
確かに実家へ帰ることを考えればまた移動でそれなりに時間を取られるけど、十日ぐらいはのんびりできる時間があると思ってたんだが。
「ラガス、忘れたの? 私の実家にも、来てほしい」
……そ、そうだった。バカ王子をボコボコにするのを優先し過ぎてて完全に忘れてた。
「お疲れ、ラガス」
「ありがと。まぁ……試合はこっちが一方的にボコっただけだけどな」
特に疲れたという気持ちはない。
寧ろスッキリとした気持ちしかない!!!!!
多分……多分が、あの容姿を見る限り普段が王子らしい王子だと思うんだよ。
だってバカ第三王子についてちょろっと調べたけど、暴君王子的な内容は全くなかったんだ。
もしかしたら巧妙に隠していたのかもしれないけど……そういうことが出来るなら、今回の件ももう少し上手くなんとかやる筈でしょ。
ただ、あの自分がセルシアを想う気持ちは絶対に間違っていないとでも言いたげで、自信満々の表情はムカついたから思いっきり殴れて超スッキリした。
それだけは間違いない。
「いやぁ~~~~、結構容赦なかったっすね。ドラゴニック・ビルドアップまで使ってたっすよね」
「向こうがそれなりに良い装備を身に着けてたからな。最初の数撃なんか殴った感触はあれど、ダメージが入った感覚は無かったからな」
ダメージ身代わり効果が付与されたマジックアイテムでも身に着けてたんだろう。
それに、結構本気で殴ったのに治癒不可能な状態にはならなかった。
それはやっぱり身に着けていた防具とかの効果があったからだと思う。
「ラガス殿、愚息の相手をしていただき誠に感謝する」
「い、いえ。ちゃんと報酬があるんで。だから頭を上げてください」
お偉いさんに頭を下げられるのはどうもむずむずする。
だからそんなきっちり頭を下げないでほしい。
ほら、後ろで薄っすらと意識がある愚息さんが心底驚いた顔してますよ。
「アルガ国王の名に誓い、この結果を覆させるようなことはさせない。そして愚息が暴走してラガス殿たちに迷惑を掛けないことを約束する」
「よろしくお願いします」
仮に……仮にそんなことが起こってしまったら、迷惑が掛かるのは俺たちじゃなくてアルガ王国側だからな……暴走した第三王子君が王族という権力を乱用するのかもしれないけど、さすがに兵士や騎士……暗部の人たちも王命には逆らわないから安心しても良い……よな?
「そして報酬に関してなのだが、空間魔法のスキル結晶は宝物庫にあったの夕食が終わった後にでも渡そう。だが、セルシア殿の細剣に関しては少々時間が欲しい」
「そうですか……分かりました。七日以内によろしくお願いします」
「う、うむ。分かった。七日以内に必ず」
悪いが、そう長い間この国に居続けるつもりはない。
夏休みは夏休みでのんびりしたいんだよ。
個々に来るまでの時間は決して短くない。
実家に帰省もしたいし、そこまでそちらに合わせられないんだよ。
騎士たちは若干……ほんの若干怒ってるっぽいけど、帯剣している剣に手が伸びることはなかった。
にしても、セルシアが望む雷の名剣は宝物庫に無かったのか……最低でもランク七って言ってから向こうはちゃんとランク八か九の細剣を用意するつもりなんだろうな。
その気持ちは良いんだが、やっぱり七日が限界だな。
「ラガス坊ちゃま、もう少し期限が短くてもよろしかったのではないですか?」
「宝物庫にセルシアが望む細剣がなかったなら、素材集めから始めないと駄目だろ。王族の権力とかを考えたら七日あれば丁度良いかと思ったんだ。あんまあり短くし過ぎて中途半端な物をセルシアに渡されても困るからな」
「なるほど、それもそうでしたね。視野が狭まっていました。しかしラガス坊ちゃま、ガルガントに戻ってから夏休みが終わるまであまりのんびりとしている暇はないと思いますよ」
「えっ、そうなのか?」
確かに実家へ帰ることを考えればまた移動でそれなりに時間を取られるけど、十日ぐらいはのんびりできる時間があると思ってたんだが。
「ラガス、忘れたの? 私の実家にも、来てほしい」
……そ、そうだった。バカ王子をボコボコにするのを優先し過ぎてて完全に忘れてた。
59
お気に入りに追加
3,492
あなたにおすすめの小説
出会いと別れと復讐と
カザハナ
ファンタジー
数々の反則的能力を持つカルラはある目的の為、魔力で色合いや姿を偽り危険を承知で一人、子供姿で旅をしていたが、人拐いに拐われる。その時偶然知り合った神子〈みこ〉気質と呼ばれる真眼〈しんがん〉持ちの美少女ティファーラ(愛称ティファ)と出会った事で、彼女と彼女の連れである守護者達(美形三人組。ただしカルラにとって美形男はほぼ鬼門)に付き纏われてしまう話。
※かなりダークな世界観の内容な為、人権無視な組織、内容、表現等多数出てきます。苦手な方はご注意下さい。そこまで書けるか自信はないですが、恋愛要素は後半にちょろっと出てくる予定です。ただし、ハッピーエンドとは呼べない終わり方をすると思います(ほぼ確定で)。ハッピーエンドでないと嫌だという人は回避した方がいいかもです。
※不定期更新ですがご容赦下さい。
※大体一話が1000文字前後で、プロローグと一話目は二つで1000文字程です。
※一応R15にしてますが、主役のカルラの過去がかなりのダークさで、後々R18に変更する可能性もありますのでご注意下さい。
※ファンタジー小説大賞で登録してます!投票宜しくお願いします!!
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる