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最強の助っ人

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「まずは謝らせてくれ」

ソファーに腰を下ろすと、いきなり腰を折って謝罪された。
待って、待ってくれ。

まだちょっと心が落ち着いてないから、とりあえず顔を上げてほしい。
ていうか、この状況にメイドさんは慌てないんだな。

「あの、国王様が悪くないと分かってるので、どうか頭を上げてください」

「そうか……すまない、そう言ってもらえると嬉しいよ」

いや、だって……国のトップ・オブ・トップが学生に頭を下げたら、そりゃ驚くというか慌てるというか……メリルとシュラだってちょっとオロオロしてたし。

「それで、自分たちはいつからアルガ王国に向かえば良いのでしょうか」

「ラガス君の夏休みを考えると、この件はなるべく早く終わらせた方が良いと思っているのだが……これから一週間ほどの間に、何か大きな用事はあるかな」

「いえ、特にはありません。自分の事情を考えてもらって光栄です」

俺とセルシアがいつアルガ王国の王都に行くかを決められるということは、向こうと速攻で連絡を取れる手段があるということだよな。

「二日ほどあればこちらの準備は整います」

「分かった。それでは、三日後の朝に出発、ということで構わないか」

「そうですね」

「よし、それは近衛騎士の中から五人ほどラガス君たちの護衛に付けよう」

「ありがとうございます」

まぁ、そりゃそうだよな。
向こうの都合で隣国に向かうのに、護衛を付けない訳がないよな。

近衛騎士が五人もいれば、大抵の敵はなんとかなるだろ。

『ラガス、お母さんが今度の旅行? に付いて行っても大丈夫だって!!!』

『本当か!! それは有難い。フェリスさんによろしく言っといてくれ』

『分かった!!!』

いや~~、本当に嬉しい朗報だ。
フェリスさんが付いて来てくれるなら、向こうでどんな面倒事が起きても物理的に対処出来る。

おっと、この件は一応国王様に伝えた方が良いよな。

「えっと……護衛に関してなんですけど、自分の知り合いも一人追加させてもらっても良いですか」

「勿論それは構わないが、近衛騎士だけでは不安か?」

「いえ、そういう訳ではないんですが……より万全にと考えると、その人がいた方が良いかと思いまして」

「……そうか、ラガス君がそう言うのであれば、よほど信頼できて尚且つ強い者なのだろう」

それぐらいは察せてしまうよな。
確かに超信頼出来る人物……いや、モンスターか。

そしておそらく国王様が考えてるよりも十倍は強い人だ。

「はい、とても信頼出来る人です。それで……手紙には明確に書かれていませんでしたが、自分はアルガ王国に向かってからいったい何をするのでしょうか?」

旅行……そう、隣国への良好と思えば少しは気が和らぐ。
だが、それは向こうで何をさせられるのかによる。

場合によっては……胃がキリキリして、その苛立ちを何かにぶつける為に暴れるかもしれない。
無差別に暴れるつもりはないが、今回向こうに行かなければならない要因をつくった第三王子にその苛立ちを全てぶつけるかもしれない……いや、絶対にぶつける。

「……向こうもパートナーを解消しろとは言えない。そういう制度だからな……だが、第三王子は好いていた人物がいきなり名も知らない者のパートナーになった事に、感情の整理が出来ていない」

「長年想い続けていれば、そうなるかもしれませんね」

ジークもそう簡単に認められなかったからこそ、俺に決闘を挑んできた訳だしな。
まてよ……ということは、今回もそういう流れになるのか?

「ラガス君がセルシア嬢のパートナーに相応しいの見極めたい、というのが一応の願望の様だ」

「ということは、第三王子が自分に課す試験? 的なものに失敗すれば、それを理由にセルシアと別れることを強要してくるかもしれないってことですね」

「……残念ながら、第三王子の口からそういった言葉が出る可能性は否定出来ない」

本当に残念そうな顔だな……もしかして第三王子は教育に失敗した問題児なのか? 
それとも今は恋心が暴走しているだけで、普段は真面目な好青年……なのか?

まぁ、どちらにしろぶっ潰して呪うのは変わらないけど。
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