万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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ぶっ潰すことだけを考えていた

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「…………」

「ラガス坊ちゃま、まだお休みにならないのですか?」

「メリルか。お前こそ寝ないのか」

「寝ようと思っていましたが、ラガス坊ちゃまが黄昏ている姿が見えたので、声を掛けました」

バッカス先生から手紙を受け取り、その内容を読んでブチ切れ。
そしてシュラにストレス発散に付き合ってもらい、それからなんやかんやでもう夜の十時を過ぎている。

前世でも良い子は寝ている時間だ。

ただ、そんな時間に俺はベランダに立っていた。

「そうか。まぁ、ちょっと考え事をしてんだよ」

「考え事、ですか。もしかしてアルガ大国の第三王子をどうやって殺すかを考えているのですか」

「そうだな……って、殺そうとは考えてないぞ」

「殺したいとは思っているのですよね」

「あぁ、それは勿論だ」

おっと、つい本音が漏れてしまった。
ただこれはマジの本音だ。

殺して良いなら、地獄の苦しみを与えてから殺したい。
なんで俺たちがわざわざそっちに行かなきゃならねぇんだよ……殺さなくても片腕や片足ぐらいは、使い物にならなくしても良いかもな。

「流石ですね。隣国とはいえ、王子にそこまでの殺意を持てるのはラガス坊ちゃまぐらいじゃないですか?」

「理不尽な理由で俺を呼びつけるぐらいだ、殺意を抱いてる連中は案外多いんじゃないか」

絡んでるのがセルシアだから無茶な要求をしてきたのかもしれないが、俺はその部分しか知らない。
だから……とりあえず顔面を思いっきりぶん殴るのは確定だ。

おそらく、なんとなくだが模擬戦を……もしくは決闘を行う流れになる筈だ。

そうなった時に、開始早々身体強化以外に硬化を加えた鉄拳をぶちかましてやる。

「中身が本当に腐っているのであれば、その可能性が高いかもしれませんね。ただラガス坊ちゃま……少しぶっ飛ばすことに拘り過ぎじゃありませんか」

「そ、そうか? でもなぁ……第三王子の顔面に一発は鉄拳をぶち込みたいぞ」

「鉄拳をぶち込むことに異論はありません。ただ、ラガス坊ちゃまにはもっと残酷な手札があるじゃありませんか」

「俺の鉄拳より残酷な手札……あぁ~~、なるほど」

そういえばそうだったな。
確かに残酷な手札があった。

あんまりにも殺意が湧き過ぎてたからぶっ飛ばして、骨をへし折ったりすることしか頭になかった。

「そうだな。ボコボコに殴り倒すのは当たり前として、止められそうになる前に打ち込んでおくか」

「止められそうになれば、それを阻止しましょうか?」

「……いや、さすがにそれは止めとけ。止めようとしてるんじゃなくて、俺を潰そうとしてるなら間に入ってくれても良いけど」

「畏まりました。そういえば、ルーフェイスも連れて行くのですよね」

「おう、当たり前だろ」

「……であれば、アルガ王国に良く際はもう少し護衛を強化した方が良いかもしれませんね」

「なんで……あぁ、そうか。そうだな」

ルーフェイスは超珍しいモンスター、狼竜。
バカな貴族がルーフェイス欲しさに誘拐するかもしれない……そうなれば、他の面子にも脅威が降りかかるかもしれない。

俺は基本的に大丈夫だと思うが、他の面子の無事は完璧に保証は出来ない。

……ディザスターから実戦の実力が高い連中を数人連れて行くか。
それと、フェリスさんにも一応相談するか。

人化のアビリティは持ってるって言ってたしな。
念には念をと考えれば、やっぱり付いて来てほしい人ではある。

「なんだか悪い顔をしていますが、良い考えでも思い付きましたか?」

「一応向かう場所が場所だ。ディザスターの連中を使うのは当然として、フェリスさんに声を掛けようと思ってる。ルーフェイスに頼めば直ぐに繋げられるだろうしな」

「なるほど……ふ、ふふふ。ないとは思いますが、もしルーフェイスを狙う馬鹿が現れれば、その方と依頼人は地獄を体験することになるでしょうね」

「だろうな」

獣、鬼、竜魔法を使えば、短時間ではあるがトップクラスの力使える。
でも、持ってる手札を全て使っても本気のフェリスさんに勝てるイメージが浮かばない。

そんな存在を怒らせたらどうなるか……全く関与しない第三者としてその光景はみてみたいな。
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