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理解しているハンター

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「えっと、君たちが貴族の大会で優勝した生徒たち……で合ってるんだよね」

「あぁ、それで合ってるよ」

「そっか……うん、それは仕方ないね」

納得してくれた……というより、貴族の子息や令嬢だから納得したって感じだな。
そう思われるのはちょっと嫌だが……まっ、どちらにしろ俺たちが倒したんだし、ワイルドベアの死体は俺たち……じゃなくて、リーベの物だ。

「サーラ、魔弾の上達方法を教えて貰っただけ、お得。魔弾を上手く使えれば、ワイルドベアも簡単に倒せるようになる」

「そ、そうなの? それなら良いかな」

ベルってお姉さんは研究熱心、努力熱心って感じだな。
確かに魔弾という技能は使い方次第で、良い武器になる。

どうやらこのお姉さんは魔弾の良さは超理解してくれているみたいだな。
俺としては嬉しい限りだ。

ただ、まだアタッカーのナイガ―って男の人は納得してないみたいだな。

「クソ……おい、ナルク。そいつらはハンターじゃないんだろ」

「えっ? まぁ……それはそう、だね」

「それなら、ハンターのルールは適応されないんじゃないのか」

……おっと、ちょっと痛いところを突かれたな。
確かにそれはそうかもしれない。

貴族の子息や令嬢とハンターの間で起こった場合、どう対処すれば良いのかは正直知らん。

「なぁ……あの男、いくらなんでも公爵家の娘を相手に強気過ぎるんじゃないか?」

「そ、そうだな……一般的に考えて、結構アウトな態度だよな」

俺は男爵家の四男だから、平民のハンターをどうこうする権力なんて全くない。
リーベは侯爵家の子息だけど……ど、どうなんだろうな?

でも、公爵家の三女であるセルシアにあんな強気な態度を取ってたら……打ち首、とかあり得るのか?
セルシアにそんな気は無いと思うけど……やっぱり常識的に考えてアウトだな。

だからナルクって名前のタンカーはあんなに慌ててるのに……本当に苦労人だな。

「確かに、私たちはまだ、ハンターじゃない。でも、いずれハンターになる」

「そ、そうなんですね。ほら、それなら先輩として意地汚いところを見せない方が良いって。なっ、ナイガ―」

「チッ」

わぉ……この兄さん、舌打ちしちゃったよ。

気が短い子息や令嬢だったら従者に銘じてボコボコにされてるところだぞ、マジで本当に。

「でも、こいつらはまだハンターじゃないんだろ」

「いや、そうかもしれないけどさぁ……」

ん~~~……なんか、あっちのタンクのお兄さんが可哀想になってきたな。
てか、ナイガ―って人……ちょっとしつこい。

「確かに俺達はまだハンターじゃない、それは間違いない。でもよ、それなら今の立場はあんたらがハンターで、俺達はロッソ学園の生徒だ……それを考えれば、最後に倒した集団の物になるんじゃないのか? 今のお互いの立場を考えれば、先に倒した俺達の方に所有権はあると思うんだけどな」

「ぐっ!!!」

ハンターどうしのルールが適応されないなら、今のお互いの立場だけを考えれば最終的に倒したリーベに分がある。
結果論だけで言えば、その場でワイルドベアを仕留められなかったこの四人が悪いんだからな。

倒し方だってかすめ取るように奪った訳じゃない。

こちら側に逃げて来たモンスターを倒した。
ただ、それだけだ。

「ナイガ―、いつまでも子供みたいに駄々をこねないで。みっともない」

「ベル、お前は一人だけ欲しい情報を得たから満足なんだろ!!」

「確かに欲しい情報は得られた。でも、この情報は私だけが得する内容ではない。ちゃんと訓練すれば、全員が得できる内容」

うんうん、本当に良く解ってる。
ベルってお姉さんは本当に魔弾のことを理解してるよ。

多少のセンスは必要だろうけど、使い慣れれば接近戦を行いながらでも自由に使える。

急所を貫く、視界を奪っても良し。
相手の攻撃を妨害するのもあり、使用用途が多い技だ。

「ナイガ―はそういう練習が苦手かもしれないけど、今後の冒険を考えれば覚えておいて損は無い。寧ろ得しかない」

いや~~~、本当に解っていらっしゃる。
もっと言ってやって欲しい、魔弾がどれだけ有能な技術なのか!!!

おっとっと、ちょっと熱が入り過ぎた。

まだ内心では納得いってなさそうだけど……これ以上喋らないところを見ると、一応納得してくれたっぽいな。
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