372 / 990
お前だからこそ
しおりを挟む
「そんじゃ、行くか」
「あぁ」
「レッツ、ゴー」
授業が終わり、今日は俺達三人で街の外へと向かう。
いつもは誰かしら執事やメイドがいるんだけど……今回は無し。
俺達生徒だけでモンスターを狩りに向かう。
「リーベも、それを身に着けてるだね」
「も、ということはロウレットもか……いや、ラガスのパートナーならば当然か」
「そう、私はラガスの、パートナー、だから」
セルシア、それは本当のことなんだけど、大勢の人がいる前で胸を張って言われると……俺がちょっと恥ずかしい。
幸いにもセルシアの声は大きくないから、多くの人には聞こえていない……と思う。
「私がラガスから貰って、お父さんが欲しいって思って、一番良いのが、造られたの」
「前に言っていたあれか……実際にはどれ程の性能を持っているんだ?」
「えっと……素材が素材だったからな。リーベ用に造った奴と比べて切れ味と脚力強化は数段上だ。それと、雷の魔力を纏えば消費魔力と比べて、高威力の技が放てる」
ロウレット家は雷の魔法アビリティを覚える者が多い。
現当主様、一代前、そして今の次期当主も雷魔法のアビリティを習得している。
「まっ、素材や魔石を公爵様が用意してくれたから最高傑作が造れたんだけどな」
「そうか……もしかしてだが、この魔靴に魔力を纏えば、多少は増幅されるのか?」
「おう、レイジファングにも同じ効果があるぞ。まぁ、他にも効果が有るんだけど……どういうのか、なんとなく解るだろ」
今回、レイジファングに付与された効果の中で、俺の意志に関係無く、偶々付与された効果があった。
「……あぁ、なんとなくだが理解出来る。だが……それなりにコントロールが必要だ」
「だな、でも安心しろ。俺らがいるから暴走しても直ぐに止める」
「しかっりと、止める」
セルシアもグーサインを出し、問題無いと伝える。
するとリーベは少しの間、面食らった表情になり・・・・小さく笑った。
「ふっ、頼もしいサポートだ。だが……何故、二人はそこまで付き合ってくれる」
「何故って……既に報酬はしっかりと貰ってるぞ」
「確かに報酬は渡した。だが……その報酬以上の恩恵を俺は受けている」
真面目な奴だな。
でも、よくよく考えればちょっと過剰サポートか?
ん~~……けど、俺は別にそれが下都は思ってないしな。
「ロウレットも、放課後になれば何度も訓練に付き合ってくれている」
「……私は、模擬戦出来る相手が増えて、嬉しい」
うんうん、セルシアらしい理由だ。
でも……俺もセルシアも他に理由がある。
「リーベ……俺はお前が悪い意味で貴族らしい奴なら、例え莫大な報酬を貰っても手を貸さない。けど、お前はそのまま行けば思い人と結ばれるのに、ライバルにチャンスを与えた」
「それは……そう簡単に、出来ることじゃ、ない」
「セルシアの言う通りだ。俺達はそんな確かな芯を持つお前だからこそ、手を貸すんだ」
俺がリーベの立場なら……多分ライド君にチャンスを与えないと思う。
一度はこれ以上俺の婚約者に近づくなと忠告するけど、それを破る様なら……強硬策にでるかもなぁ~。
平民が貴族に逆らうなんてあり得ない、なんて考えてる奴ならその平民を速攻で潰す様な件だ。
「そうか……ありがとう」
「ははっ、もう感謝の言葉は何度も聞いた。そうだな……その言葉は、ライド君に勝った時に聞きたいな」
「安心してくれ……絶対に、俺が勝つ」
はっはっは!! 良いね。
相変わらず表情は冷静だけど、瞳の奥は燃え滾っている。
今頃のライド君も予定の日まで頑張って訓練を積んでるんだろうけど……流石に一週間で、激的な変化は起こらないだろ。
……いや、やっぱり主人公気質のライド君にその可能性がないと決めつけるのは良くないな。
あり得ない、なんてことはあり得ない。
それがある意味で常識だ。
そんな展開があるからこそ、ジャイアントキリングなんて言葉があるんだしな。
さてさて、今日はいったいどんなモンスターと遭遇出来るか……できればやっぱり人型のモンスターと戦えたら良いな。
「あぁ」
「レッツ、ゴー」
授業が終わり、今日は俺達三人で街の外へと向かう。
いつもは誰かしら執事やメイドがいるんだけど……今回は無し。
俺達生徒だけでモンスターを狩りに向かう。
「リーベも、それを身に着けてるだね」
「も、ということはロウレットもか……いや、ラガスのパートナーならば当然か」
「そう、私はラガスの、パートナー、だから」
セルシア、それは本当のことなんだけど、大勢の人がいる前で胸を張って言われると……俺がちょっと恥ずかしい。
幸いにもセルシアの声は大きくないから、多くの人には聞こえていない……と思う。
「私がラガスから貰って、お父さんが欲しいって思って、一番良いのが、造られたの」
「前に言っていたあれか……実際にはどれ程の性能を持っているんだ?」
「えっと……素材が素材だったからな。リーベ用に造った奴と比べて切れ味と脚力強化は数段上だ。それと、雷の魔力を纏えば消費魔力と比べて、高威力の技が放てる」
ロウレット家は雷の魔法アビリティを覚える者が多い。
現当主様、一代前、そして今の次期当主も雷魔法のアビリティを習得している。
「まっ、素材や魔石を公爵様が用意してくれたから最高傑作が造れたんだけどな」
「そうか……もしかしてだが、この魔靴に魔力を纏えば、多少は増幅されるのか?」
「おう、レイジファングにも同じ効果があるぞ。まぁ、他にも効果が有るんだけど……どういうのか、なんとなく解るだろ」
今回、レイジファングに付与された効果の中で、俺の意志に関係無く、偶々付与された効果があった。
「……あぁ、なんとなくだが理解出来る。だが……それなりにコントロールが必要だ」
「だな、でも安心しろ。俺らがいるから暴走しても直ぐに止める」
「しかっりと、止める」
セルシアもグーサインを出し、問題無いと伝える。
するとリーベは少しの間、面食らった表情になり・・・・小さく笑った。
「ふっ、頼もしいサポートだ。だが……何故、二人はそこまで付き合ってくれる」
「何故って……既に報酬はしっかりと貰ってるぞ」
「確かに報酬は渡した。だが……その報酬以上の恩恵を俺は受けている」
真面目な奴だな。
でも、よくよく考えればちょっと過剰サポートか?
ん~~……けど、俺は別にそれが下都は思ってないしな。
「ロウレットも、放課後になれば何度も訓練に付き合ってくれている」
「……私は、模擬戦出来る相手が増えて、嬉しい」
うんうん、セルシアらしい理由だ。
でも……俺もセルシアも他に理由がある。
「リーベ……俺はお前が悪い意味で貴族らしい奴なら、例え莫大な報酬を貰っても手を貸さない。けど、お前はそのまま行けば思い人と結ばれるのに、ライバルにチャンスを与えた」
「それは……そう簡単に、出来ることじゃ、ない」
「セルシアの言う通りだ。俺達はそんな確かな芯を持つお前だからこそ、手を貸すんだ」
俺がリーベの立場なら……多分ライド君にチャンスを与えないと思う。
一度はこれ以上俺の婚約者に近づくなと忠告するけど、それを破る様なら……強硬策にでるかもなぁ~。
平民が貴族に逆らうなんてあり得ない、なんて考えてる奴ならその平民を速攻で潰す様な件だ。
「そうか……ありがとう」
「ははっ、もう感謝の言葉は何度も聞いた。そうだな……その言葉は、ライド君に勝った時に聞きたいな」
「安心してくれ……絶対に、俺が勝つ」
はっはっは!! 良いね。
相変わらず表情は冷静だけど、瞳の奥は燃え滾っている。
今頃のライド君も予定の日まで頑張って訓練を積んでるんだろうけど……流石に一週間で、激的な変化は起こらないだろ。
……いや、やっぱり主人公気質のライド君にその可能性がないと決めつけるのは良くないな。
あり得ない、なんてことはあり得ない。
それがある意味で常識だ。
そんな展開があるからこそ、ジャイアントキリングなんて言葉があるんだしな。
さてさて、今日はいったいどんなモンスターと遭遇出来るか……できればやっぱり人型のモンスターと戦えたら良いな。
58
お気に入りに追加
3,502
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる