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思っていたよりも凄い

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オラリスさんとの模擬戦を一瞬で終わらせ、昼食を食べていた部屋へと戻る。
すると直ぐに報酬の白金貨一枚と箱に入った武器を貰った。

「これは対になってる短剣なんだが……片方が私達には合わなくてね」

一体どんな短剣なのか気になり、その場でふたを開けて中を確認する。

「……もしかして、炎と氷の魔剣……ですか?」

「その通り。この短剣は二つ同時に扱うことでその真価を発揮するんだ」

いったいどんな効果を持ってるんだ?
とりあえず狼竜眼で視よっと……っ!!??

えっ、中々に凄くないか。

あんな数秒で終わった模擬戦の報酬として貰うには、あまりにも上等な気がするが……いや、娘さんが無礼を働いたからと考えればそれ相応……なのか?

二振りの短剣の名前はグロリアス。
普段は対の短剣だが、所有者の意志で技り合って上下に刃が付いた剣になるらしい……な、慣れないとちょっと扱いにくそうだな。

でも、俺の新しい手札にしても十分過ぎる。

「気に入って貰えたようだね」

「はい、是非実戦で使わせてもらいます」

普段から使ってないとなれないだろうから、シュラ達との模擬戦でなるべく使おうと思うが……炎や氷の斬撃を飛ばすときは周囲に気を配って行った方が良さそうだな。

「君の武勇伝にその武器が使われることを楽しみにしてるよ……今日は来てくれて本当に有難う」

「いえいえ、美味しいご飯が食べれて高性能の武器も頂いたので、こちらこそ感謝します」

イーリスの俺に対する発言やその他諸々があったが、マジでそんなのどうでも良くなるくらい面白い武器を手に入れた。

というか白金貨一枚もなかなか有難い報酬だ。
ちょっとやそっとじゃ稼げない金額だからな。

無事にリザード公爵との会食は終わり、それからは何事も無く特別寮へ戻ってくることが出来た。

「おかえりなさい、ラガス坊ちゃま。公爵様との会食はどうでしたか?」

「飯は美味かった。デザートも美味かった。ただ……やっぱり俺の手札を知りたいという気持ちは持っていたと思う」

「ラガス坊ちゃまの手札ですか……もしかして公爵様と決闘でもしたのですか?」

「マジっすかラガスさん。うっかり骨をバキバキに折ったりしたっすか?」

「決闘じゃないが、模擬戦を行った……相手はイーリスの乳母であるメイドさんだったけどな。それとシュラ、相手が相手だからそんなことしないっての」

第一に決闘じゃなくて模擬戦だ。
相手の急所に刃を突き付ければそれで終わりだ。

でも……仮に公爵様が相手だったらもっと過激に攻めるから……骨の一本や二本は折る気持ちじゃないと勝てない! って気持ちで模擬戦に臨んでたかもな。

「それと、模擬戦は身体強化と脚力強化、それと魔闘気を纏った。最後にラビットフットを発動して速攻で後ろを取った」

「あぁ~~、それだと流石に腕の立つメイドさんでも正確に反応するのは難しいでしょうね」

「一応俺が背後に移動したってのには気付いてたみたいだけど、完全に反応は遅れていたな。そんで最後は狼牙瞬雷の刃から魔力を伸ばして首元に刃を突き立てた」

「元熟練のハンターなどであれば反応して動けたかもしれませんが、普通は無理ですよ。そこまで速さに特化したラガス坊ちゃまを捉えるにはそれ相応の反応速度が必要になってきますし……最初の一手が読めていればなんとか出来たかもしれませんが、大会での試合はある程度まともな試合をしていましたからね」

「あぁ、確かにそうだったな。あんまりスパッと終わらせるのは良くないって思ってある程度時間を掛けて戦ってたし……あれが俺の戦いの進め方だと考えていたら開幕速攻で背後を取るって予測はしないか」

けど狼牙瞬雷を抜いてたわけだし、魔弾を使った遠距離攻撃ではなくまずは接近戦になると予測してもおかしくないような気がするが……まっ、なんでもかんでも上手く予想は出来ないよな。

「とりあえず、お疲れ様でした」

うん、その言葉が身に染みるよ。
何だかんだで緊張感が途絶えなかったしな。

今日はとりあえずゆっくりと休もう。
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