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ゼロではないが

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非常に不味いな……ザックス達がそのライド君から聞いている話だけだと、リーベのが完全に悪役に思ているよな。

てか、両思いだと分かってる時点でその仲を引き裂こうとしているリーベは邪魔者以外なんでもないか……とりあえず今、俺がライド君のライバルであるリーベの味方だってのは言わない方が良いよな。

ここで味方する理由を話しても三人が納得出来るとは思えない……というか、納得出来たとしても友人としての心が、ライド君の味方をしようと思うはず。

第三者から見れば七……八割方はライド君が、正確に言えばアザルトさんが悪いんだけどな。

「なんか難しそうな顔をしてるな。やっぱり貴族の子息であるラガスからすれば難しい方法なのか?」

「……婚約が成立して、その後の対応によるんじゃないか? そのライド君と両想いの令嬢の実家が、婚約者の家から色々と援助してもらっていたり、後ろ盾になってもらっていると……たとえライド君がゴールドランクのハンターになったとしても難しいかもしれないな」

「そ、そうなの? ゴールドランクのハンターなら爵位が低い貴族と同等の権利が与えられるって聞いたことがあるけど」

「それはそうだが……成功するとは断言は出来ないな」

リーベの実家が何かしら黒いことを行っているとして、それを四人が暴けばその婚約を破棄できる可能性は大幅に上がるとは思うが……無理だろうな。

仮にアザルトさんが協力したとしても、裏の有能な情報屋を雇う金なんてない。
情報を得られとしても、証拠を手に入れなければ証明は出来ない。

そもそもな話、リーベの実家が黒いことをしていなければ無理な話だ。

「まぁ……可能性がゼロって訳じゃないんだし、頑張り続ける価値はあるんじゃないか?」

そのライド君の頑張りを否定しようとは思えない。
貴族と平民、考え方が色々と違うんだ。

ライド君からすればリーベは自分と両想いの女性を無理矢理自分の花嫁にしようとしている貴族の子息。
リーベからすればライド君は自分の将来の花嫁を不届きにも奪おうとしてくる愚かな平民ってところだろうな。

アザルトさんの婚約者がリーベほど優しくはなく、悪い意味で貴族らしい奴だったら暗殺ギルドの連中でも雇ってライド君を殺すかもしれないんだ……そこら辺を考えればやっぱりリーベは優しいよな。

ライド君にチャンスまで上げようとしてるんだ。
だが……それを三人に説明しても納得出来るかは微妙だよな。

「そう、だよな……どんな挑戦でも可能性はゼロじゃないしな!!!」

「相変わらず暑苦しいわね。でも、その考えには賛成よ。諦めなければ可能性がゼロになることはない」

「わ、私達だって諦めずに頑張ったから特待生で学園に入れたんだし……なんとか出来るよね!」

前向きなのは良いことだ。
何かに挑戦しようとする時、下を向いている者が何を成し遂げられるのか……前を向いて歩かなければ可能性は上がらない。

綺麗事は実際に正しい言葉だ……でも、その先を目指して多くの人が敵わないから綺麗事なんてくだらないと思う人が多いんだよな。

今回の件だって実際にライド君がアザルトさんをリーベから奪おうとする場合、リーベから交渉の余地を提案するから可能性が跳ね上がる。

そうでなければ……実際のところ可能性は一パーセントも無いだろう。

「とりあえず、今は強くなる事だけを考えてれば良いんじゃないか? 休むことも大切だけどな」

「強くなきゃ大切な人を守れないって事だよな!!」

「ま、まぁ……その通りだな。俺も強かったからこそセルシアを面倒な奴らから守れたわけだし」

確かに強さは必要だ。
ただ、俺の場合はちょっと例外なんだよ。

ロウレット家の当主様……セルシアのお父さんが俺の事を気に入ってくれてるみたいだから色々と上手くいってる。
仮にそうでなかったら、あまりよろしくないプレッシャーを毎日背負ってるかもな。

とりあえず、ちょっと面倒なことになったな…………まっ、リーベがまともで努力家だってのは知ってるから今更あいつの味方を辞めるなんてあり得ないけどな
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