353 / 962
もしかしなくても?
しおりを挟む
「なぁ、三人が一緒に組んでる奴ってどんな感じの生徒なんだ?」
「ライドのことか? 俺達と同じ平民の特待生。剣の腕前は俺より上なんだぜ」
「はっ!? それってホントかよ」
ザックスはそれなりの実力を持っている……貴族の子供でも勝てない奴はそこそこいる。
そう思えるほど実力があったのを覚えてる。
努力だけで積み上げてきた訳ではなく、才能も併せ持った俺的に将来大物になると思っている奴だ。
そんなザックスより上って……よっぽど才能があって剣の達人に稽古を付けてもらっていたのか?
「本当よ。私も心底驚いたわ。ザックスはバカだけど剣の腕前は確かよ。一方的に負けた訳じゃないけど、それでもハッキリとザックスの負けと言える戦いだったわ」
「馬鹿ってなんだよ馬鹿って。そこまで考え無しじゃないっての」
「いきなりライドに模擬戦しようぜって言ったのはどこの馬鹿よ」
「うぐっ!!! ら、ライドだって俺達と同じ平民なんだし、そこまで気にする必要はないだろ。あいつは笑顔で引き受けてくれたんだしさ」
……二人の話を聞く限り真面目な好青年、って感じか?
三人がよっぽど正確に難がある様な奴を選ぶとは思えないが、どんな奴かは知っておきたいな。
「ザックスの我儘に付き合ってくれるって考えると良い奴なのかは間違いない、か。でも、そのライドって奴は他に知り合いはいなかったのか?」
試験は誰でも受けられる。
金は必要になるが……いや、特待生の枠は全て埋まっていると考えれば無理な話か。
「おう、どうやら俺達の学校に受かったのはライドだけだったらしくてよ。同じ村から来た奴は学費が無料の学園に受かったんだよ」
「学費が無料の方か。そうなると、自然と関りは薄れて来るかもな」
「私達も一応そっちの学園も受けたんだよ」
「……でも、特待生の枠を勝ち取って合格だったんだろ」
学費が無料の方が平民にとっては有難いが、その分設備や教師の質に大きな差が生まれる。
確か学費が無料の学園で特待生を勝ち取れば在学中に必要な生活費を学園が用意してくれる。
そして学費が有料である三人が通っている学園は特待生になれば学費が全額免除……成績じゃなくて戦績だったか?
その結果次第ではある程度の生活費も支給されるんだったよな。
「そうだな。でも今通ってる方の学園からも特待生枠の合格通知が来たからそっちに入ったんだよ。そこでライドと出会って、今は一緒に行動してるんだ。見た目はこう……優男って言うのか? そんな見た目なんだけど目標は結構高く持ってるんだぜ」
「目標は高く……いったいどんな目標を持ってるんだ? ゴールドランク冒険者になるとかそんな感じか?」
「それもあるけど、ライドはかなり大きな壁に挑戦しようとしてるの」
大きな壁か……ゴールドランク冒険者も大きな壁だけど、才能を持ちながら努力を惜しまない三人とザックスよりも剣の腕が上のライド君が組めばその高みまで登れる可能性はあるだろうな。
ただ、それより大きな挑戦ってのは凄く気になるな。
「それは俺が聞いても大丈夫なのか?」
「ラガスだったら大丈夫っしょ。なんとな……好きな人が貴族の令嬢なんだよ」
「それは……凄いな。もしかして幼い頃からの知り合いとかそんな感じなのか?」
「そんな感じらしいぞ。でも、貴族の令嬢だからやっぱり婚約者? ってのがいるらしいんだよ。ライドの好きな人はそれを嫌がってるらしいんだけど、親が決めた婚約話だからそう簡単に消すことは出来ないらしくてよ」
そりゃそうだよな。親同士が決めた婚約話……当人たちの気持ちだけでそう簡単に変えられる話じゃない。
…………てかちょと待てよ。どっかで聞いたことがある話?
「で、自分と好きな人が結ばれた方が家にとっても有益だってのを示す為にゴールドランクを目指すんだよ!!!」
「そ、そうか……なんか、ロマン? がある話だな」
「傍から見れば絶対に無理だって思われる内容かもしれないけど、ライドは本気で彼女を正式に勝ち取ろうと頑張ってるわ。あっ、先に言っておくけど二人は両想いなんだからね」
「分かってる分かってる……うん、分かってる」
ちょい待てよ……もしかして、もしかしてだけど……マジでライド君はリーベのライバル、なのか?
「ライドのことか? 俺達と同じ平民の特待生。剣の腕前は俺より上なんだぜ」
「はっ!? それってホントかよ」
ザックスはそれなりの実力を持っている……貴族の子供でも勝てない奴はそこそこいる。
そう思えるほど実力があったのを覚えてる。
努力だけで積み上げてきた訳ではなく、才能も併せ持った俺的に将来大物になると思っている奴だ。
そんなザックスより上って……よっぽど才能があって剣の達人に稽古を付けてもらっていたのか?
「本当よ。私も心底驚いたわ。ザックスはバカだけど剣の腕前は確かよ。一方的に負けた訳じゃないけど、それでもハッキリとザックスの負けと言える戦いだったわ」
「馬鹿ってなんだよ馬鹿って。そこまで考え無しじゃないっての」
「いきなりライドに模擬戦しようぜって言ったのはどこの馬鹿よ」
「うぐっ!!! ら、ライドだって俺達と同じ平民なんだし、そこまで気にする必要はないだろ。あいつは笑顔で引き受けてくれたんだしさ」
……二人の話を聞く限り真面目な好青年、って感じか?
三人がよっぽど正確に難がある様な奴を選ぶとは思えないが、どんな奴かは知っておきたいな。
「ザックスの我儘に付き合ってくれるって考えると良い奴なのかは間違いない、か。でも、そのライドって奴は他に知り合いはいなかったのか?」
試験は誰でも受けられる。
金は必要になるが……いや、特待生の枠は全て埋まっていると考えれば無理な話か。
「おう、どうやら俺達の学校に受かったのはライドだけだったらしくてよ。同じ村から来た奴は学費が無料の学園に受かったんだよ」
「学費が無料の方か。そうなると、自然と関りは薄れて来るかもな」
「私達も一応そっちの学園も受けたんだよ」
「……でも、特待生の枠を勝ち取って合格だったんだろ」
学費が無料の方が平民にとっては有難いが、その分設備や教師の質に大きな差が生まれる。
確か学費が無料の学園で特待生を勝ち取れば在学中に必要な生活費を学園が用意してくれる。
そして学費が有料である三人が通っている学園は特待生になれば学費が全額免除……成績じゃなくて戦績だったか?
その結果次第ではある程度の生活費も支給されるんだったよな。
「そうだな。でも今通ってる方の学園からも特待生枠の合格通知が来たからそっちに入ったんだよ。そこでライドと出会って、今は一緒に行動してるんだ。見た目はこう……優男って言うのか? そんな見た目なんだけど目標は結構高く持ってるんだぜ」
「目標は高く……いったいどんな目標を持ってるんだ? ゴールドランク冒険者になるとかそんな感じか?」
「それもあるけど、ライドはかなり大きな壁に挑戦しようとしてるの」
大きな壁か……ゴールドランク冒険者も大きな壁だけど、才能を持ちながら努力を惜しまない三人とザックスよりも剣の腕が上のライド君が組めばその高みまで登れる可能性はあるだろうな。
ただ、それより大きな挑戦ってのは凄く気になるな。
「それは俺が聞いても大丈夫なのか?」
「ラガスだったら大丈夫っしょ。なんとな……好きな人が貴族の令嬢なんだよ」
「それは……凄いな。もしかして幼い頃からの知り合いとかそんな感じなのか?」
「そんな感じらしいぞ。でも、貴族の令嬢だからやっぱり婚約者? ってのがいるらしいんだよ。ライドの好きな人はそれを嫌がってるらしいんだけど、親が決めた婚約話だからそう簡単に消すことは出来ないらしくてよ」
そりゃそうだよな。親同士が決めた婚約話……当人たちの気持ちだけでそう簡単に変えられる話じゃない。
…………てかちょと待てよ。どっかで聞いたことがある話?
「で、自分と好きな人が結ばれた方が家にとっても有益だってのを示す為にゴールドランクを目指すんだよ!!!」
「そ、そうか……なんか、ロマン? がある話だな」
「傍から見れば絶対に無理だって思われる内容かもしれないけど、ライドは本気で彼女を正式に勝ち取ろうと頑張ってるわ。あっ、先に言っておくけど二人は両想いなんだからね」
「分かってる分かってる……うん、分かってる」
ちょい待てよ……もしかして、もしかしてだけど……マジでライド君はリーベのライバル、なのか?
64
お気に入りに追加
3,492
あなたにおすすめの小説
エンジェリカの王女
四季
ファンタジー
天界の王国・エンジェリカ。その王女であるアンナは王宮の外の世界に憧れていた。
ある日、護衛隊長エリアスに無理を言い街へ連れていってもらうが、それをきっかけに彼女の人生は動き出すのだった。
天使が暮らす天界、人間の暮らす地上界、悪魔の暮らす魔界ーー三つの世界を舞台に繰り広げられる物語。
著作者:四季 無断転載は固く禁じます。
※この作品は、2017年7月~10月に執筆したものを投稿しているものです。
※この作品は「小説カキコ」にも掲載しています。
※この作品は「小説になろう」にも掲載しています。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる