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何故タッグを組んだのか

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「……おっさんや酔っ払いじゃなくて、学生もどんちゃん騒ぎは好きなんだな」

大会は残すところ団体戦のみ。
そして団体戦に関しては各学校一チームのみ。あと総当たり戦。

絶対に一日で終わる。団体戦が終われば表彰式が行われ……ようやく大会関連が全て終了する。

「ちょっと外に行こっと」

どんちゃん騒ぎが始まってからたらふく食って飲んで話したからちょっと疲れた。
前と同じように誰もいないベランダ? に出て夜風に当たる。

「あっ、珍しいじゃん」

「……ラガスか。食いつかれたのか?」

「そんなところだな」

俺の兄であるアリクが飲み物が入ったグラスを片手に黄昏ていた。
そういえば、アリクもリース会長とタッグを組んで優勝したんだったな。

「優勝おめでと、アリク」

「おう、そっちも優勝おめでとう。つか……シングルスのトップワンツーが組んでるんだから、負ける訳無いか」

「それはこっちのセリフだな」

アリクとリース会長のペアも俺達と同じだ。
まっ、アリクは俺達より接近戦寄りだが、それでも遠距離攻撃が出来ない訳じゃない。

戦う者としての完成度は他の生徒と比べて高いことに変わりない。

「というか……なんでリース会長となんだ? サルネさんと組めば良かったのに」

「……最初は俺もそう考えていた。だが、先にもうクレアと組んでたんだよ」

「あぁ~~、なるほどね。それは御愁傷様」

多分、今回に関しては嫌がらせとかじゃなく、単純に相性で組もうとしたんだろうな。
サルネさんが前衛でクレア姉さんが後衛。

しかもお互いに大きな弱点が無い。
前衛と後衛の理想のコンビとも言える。

それが解ってるから、アリクも駄々をこねる事は無かったんだろうな。

「サルネと組めないならぶっちゃけダブルスはどうでも良いと思っていたんだよ。シングルスに出るのは決めてたからな。それに団体戦には元々声を掛けられていた」

「……ダブルスに関しては、中途半端な奴と組むぐらいなら出る必要は無いって事か」

「そういう事だ。だから出る事は無いと思っていたんだが……急に声を掛けられてな」

「びっくりした?」

「当たり前だろ。はっきり言って……リースの強さは群を抜いている」

「……それは否定出来ないな」

確かに強い。既に学生という枠を超えた強さを持っているだろうな。
ただ、それをアリクが言ったら大勢の生徒から不満の声が出るだろ。

お前もお前で、凡な才と平均的な努力しか積んでない奴からすれば絶対に追いつけない位置に立ってるんだし。

「正直、お前と似た感覚がある。まぁ、手札はお前の方が多いだろうけどな」

「さぁ? それはどうだろうな。それで、二つ返事で答えたのか?」

「いいや、普通に迷った……というか、迷うのが普通なんだよ。リースは一年と二年の頃はダブルスに出ていなかったからな」

「そうなんだ? ……あれじゃないか、学校のお偉いさん達に頼まれたんだろ」

「かもしれないな。そもそもな話、俺はリースと殆ど関りを持っていない。クレアは交流があるだろうが、俺は学園内ですれ違ったら挨拶をする程度だ」

アリクが学園内でどうやって過ごしてきたのか知らないけど、まともになってるから……あんまり他の生徒と関わらず青春を送ってきたのか?
いや、でもサルネさんの事を好きになったりそういう青春はちゃっかりしてるし……今度ゆっくり聞いてみるか。

「なら、最初は断ったのか?」

「即答しなかっただけで、その要望には応えたに決まってるだろ。リースからダブルスのパートナーとして指名されたって時点で目立つだろうが、それを断ったら悪い意味で目立つかもしれないからな」

「あぁーー……ははは、なるほどね。そりゃそうか」

というか、アリクの場合は色んな意味で元から目立ってると思うが……確かに悪目立ちするのはアリクといても避けたいところか。

「それで一応タッグを組んだ訳だが……あれだ、お前がシングルスで戦った口の悪い氷魔法使いと、ダブルスで戦った槍使いを混ぜた様な感じだ」

……超強いって事だな。それは俺も戦いぶりを見ていたから解る。
アリク程の実力を持っていても、群を抜いているって言葉が出ても仕方が無いぐらいには強い。
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