291 / 990
夜の来客
しおりを挟む
「ふぅーーー・・・・・・本当に楽しめたな」
夕食を終え、風呂も終えてからベランダでのんびりと夜風に当たる。
昨日今日の戦いを頭の中で思い出す……結局は予想通り俺の全勝だったが、それでもそれなりに楽しめた。
今日の、最後のセルシアとの戦いは良かった。
雷王の砕牙……あれには本気で震えた。
獣王の進撃で対応するのに十分な威力を持っていた。
「それで、明日からはセルシアと一緒にダブルス、か……」
正直楽しみである。
シングルより単体の実力で俺を上回る奴がいるとは思えないから、相手の実力は大して興味無い。
セルシアと一緒に戦うのが楽しみだ。
戦術は……単調なものになるかもしれないけど、それでもワクワクしてる。
「それで……俺に何の用ですか? というか、普通に真正面から来て欲しいですね。びっくりするじゃないですか」
下から重さを感じさせない跳躍でベランダにやって来た。
「全然驚いてるように見えないけどね。それと、もう皆寝てる時間だろう。だから正面から行かなかったんだよ。本当は手紙だけ置いて帰ろうかと思ったんだけど、ベランダに君の姿が見えてね」
「そうですか。それで、副騎士団長が直接渡しに来る用事ってのは何ですか?」
今はパートナー専用の寮にいる。だから学園に入るには許可を取らないと駄目なんだが……まっ、副騎士団長様にはあんまりその辺りは関係無さそうだな。
「もしかしたら予想出来てるかもしれないけど……国の騎士団は君を欲しがっている。猛烈にね」
「それは……一応光栄なことですね」
なんとなくそういった類の誘いはあるかもしれないと思っていたが、本当に来たか。
「しかも、全部の騎士団が君を欲しがっているんだ。全団が一生徒を欲しがるなんて滅多にないんだけどね」
「そうなんですか」
「はっはっは。やっぱり君はこういった誘いに全く興味が無いようだね」
「そりゃあ、俺の道はハンターですからね。いくら騎士団からオファーが来ても受ける気は無いですよ。そもそも、俺みたいな生意気小僧が騎士団に入ったところで馴染めないのは目に見えてます」
あんまり面倒な人と対立はしたくないが、相手から喧嘩売って来た場合は基本的に買って潰してしまうだろう。
・・・・・・うん、その光景が容易に頭に浮かぶ。
というか、相手がそれ相応の手段で害を為すならこっちもそれ相応の手段で返す。
だからぶっちゃけ殺す可能性もある。
同じ騎士団で恨み合ってる者同士の間でそういうのが起きたら絶対に問題になる。
「確かに君に良くない感情を持つ騎士はいるかもしれない。でも、それは実力で黙らせてしまえば良いだけじゃないか?」
「……確かにそうすれば黙るかもしれません。でもその場凌ぎの話ですよ。どうせ後から俺の脚を引っ張ろうと策を練る。俺だって戦闘面は自信がありますけど、いつでも人の人生を狂わせるような策略に対応出来るとは思っていません」
「随分と謙虚だね。君はそういう事に関しても自信があると言っていた気がするけど」
そんなこと言ったか? ・・・・・・まっ、言ったのかもしれないな。
ただ、俺の場合は少し極端だ。
「確かに厄介事には対応出来るかもしれません。ただ、俺に喧嘩を売って来た相手がどうなっても良いなら……少しは考えますよ」
「あぁ~~……なるほどね。流石にそれは遠慮して欲しいかな」
「俺は自分に刃を向けてくる相手には基本優しくしないので」
副騎士団長も俺が相手に対してどう対応するかは解ったみたいだな。
基本的に殺す。俺に危害を加えなくなったとしても、俺の関係者に手を出す可能性がある。
そうでない人もいるだろうけど、半分ぐらいは逆恨みで俺の友人知人に嫌がらせをするだろう。
「そこら辺は本当に強気だね。まぁ、それが君らしいとも言えるが……分かったよ。スカウトの件は僕が全騎士団に伝えておくよ」
「ありがとうございます」
そもそも俺は騎士なんてガラじゃないからな。
多くの点で不適合者だ。
「それで、話を変えるけど君のパートナー以外の生徒はどうだった?」
「どうだったって……強いか弱いかって話ですか?」
「そんな感じだね」
……あんまり簡単に言葉が浮かばないな。
夕食を終え、風呂も終えてからベランダでのんびりと夜風に当たる。
昨日今日の戦いを頭の中で思い出す……結局は予想通り俺の全勝だったが、それでもそれなりに楽しめた。
今日の、最後のセルシアとの戦いは良かった。
雷王の砕牙……あれには本気で震えた。
獣王の進撃で対応するのに十分な威力を持っていた。
「それで、明日からはセルシアと一緒にダブルス、か……」
正直楽しみである。
シングルより単体の実力で俺を上回る奴がいるとは思えないから、相手の実力は大して興味無い。
セルシアと一緒に戦うのが楽しみだ。
戦術は……単調なものになるかもしれないけど、それでもワクワクしてる。
「それで……俺に何の用ですか? というか、普通に真正面から来て欲しいですね。びっくりするじゃないですか」
下から重さを感じさせない跳躍でベランダにやって来た。
「全然驚いてるように見えないけどね。それと、もう皆寝てる時間だろう。だから正面から行かなかったんだよ。本当は手紙だけ置いて帰ろうかと思ったんだけど、ベランダに君の姿が見えてね」
「そうですか。それで、副騎士団長が直接渡しに来る用事ってのは何ですか?」
今はパートナー専用の寮にいる。だから学園に入るには許可を取らないと駄目なんだが……まっ、副騎士団長様にはあんまりその辺りは関係無さそうだな。
「もしかしたら予想出来てるかもしれないけど……国の騎士団は君を欲しがっている。猛烈にね」
「それは……一応光栄なことですね」
なんとなくそういった類の誘いはあるかもしれないと思っていたが、本当に来たか。
「しかも、全部の騎士団が君を欲しがっているんだ。全団が一生徒を欲しがるなんて滅多にないんだけどね」
「そうなんですか」
「はっはっは。やっぱり君はこういった誘いに全く興味が無いようだね」
「そりゃあ、俺の道はハンターですからね。いくら騎士団からオファーが来ても受ける気は無いですよ。そもそも、俺みたいな生意気小僧が騎士団に入ったところで馴染めないのは目に見えてます」
あんまり面倒な人と対立はしたくないが、相手から喧嘩売って来た場合は基本的に買って潰してしまうだろう。
・・・・・・うん、その光景が容易に頭に浮かぶ。
というか、相手がそれ相応の手段で害を為すならこっちもそれ相応の手段で返す。
だからぶっちゃけ殺す可能性もある。
同じ騎士団で恨み合ってる者同士の間でそういうのが起きたら絶対に問題になる。
「確かに君に良くない感情を持つ騎士はいるかもしれない。でも、それは実力で黙らせてしまえば良いだけじゃないか?」
「……確かにそうすれば黙るかもしれません。でもその場凌ぎの話ですよ。どうせ後から俺の脚を引っ張ろうと策を練る。俺だって戦闘面は自信がありますけど、いつでも人の人生を狂わせるような策略に対応出来るとは思っていません」
「随分と謙虚だね。君はそういう事に関しても自信があると言っていた気がするけど」
そんなこと言ったか? ・・・・・・まっ、言ったのかもしれないな。
ただ、俺の場合は少し極端だ。
「確かに厄介事には対応出来るかもしれません。ただ、俺に喧嘩を売って来た相手がどうなっても良いなら……少しは考えますよ」
「あぁ~~……なるほどね。流石にそれは遠慮して欲しいかな」
「俺は自分に刃を向けてくる相手には基本優しくしないので」
副騎士団長も俺が相手に対してどう対応するかは解ったみたいだな。
基本的に殺す。俺に危害を加えなくなったとしても、俺の関係者に手を出す可能性がある。
そうでない人もいるだろうけど、半分ぐらいは逆恨みで俺の友人知人に嫌がらせをするだろう。
「そこら辺は本当に強気だね。まぁ、それが君らしいとも言えるが……分かったよ。スカウトの件は僕が全騎士団に伝えておくよ」
「ありがとうございます」
そもそも俺は騎士なんてガラじゃないからな。
多くの点で不適合者だ。
「それで、話を変えるけど君のパートナー以外の生徒はどうだった?」
「どうだったって……強いか弱いかって話ですか?」
「そんな感じだね」
……あんまり簡単に言葉が浮かばないな。
66
お気に入りに追加
3,502
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる