上 下
189 / 962

手紙に書かれていたあの人

しおりを挟む
食堂で夕食を受け取り、空いている席に座って料理を食べ始める。

やっぱり貴族が通う学園の料理だからか、上品な味だな。
こんな料理がタダで食べられるなんて有難いもんだ。

「ラガス、また新しいあれは、造ってるの?」

「あれ? ・・・・・・あぁ、あれか。ボチボチな。腕が鈍らない程度だが、幾つか造っているよ」

ただし、バルンク様専用の魔靴であるディセクションが最高傑作だけどな。
あの時ほど魔靴を、錬金術を行うのに集中した時は無い

そして・・・・・・あれほど価値の高い素材を使って魔靴を造った事も、あれ以来無い。

素材ならフェリスさんが採ってくると言ってくれたが、俺の錬金術の腕が上達しない事には豚に真珠、ってほど腕は低くないと思うが似たようなもんだしな。

「その魔靴はお売りになるつもりはあるのですか」

「いや、腕を鈍らせないように造ってるだけだから、基本的に売るつもりは無いですよ」

キリアさんも魔靴に興味があるのか?
確かに我ながら使い勝手が良い魔道具ではあると思うけど。

「何の話してんのよ、ラガス!!!」

「のわッ!!!??? な、く、クレア姉さんか。脅かさないでくれよ」

「ふふふ、ごめんなさいね。でも、ラガスそんなに驚くところ初めて見たかも」

「完全に気を抜いていたからね。というか、後ろから急に抱き着かれたら普通にビックリするよ」

胸を押し付けるように抱き着くクレア姉さんを剥し、後ろを振り向くとクレア姉さんの他に女子生徒が二人と男子生徒が二人いた。

何時も行動している四人か。
というか、その内の一人に関しては姉さんからの手紙の中で強調されていたような?

髪は短髪で黒い。褐色肌で・・・・・・超巨乳。
あぁ、何となくは解った。

「さっきの試合、私達も見てたのよ。圧勝するのは予想していたけどラガス・・・・・・あなたにまさかあんな良い意味で悪い部分があったなんてね。お姉ちゃん初めて知ったわよ」

良い意味で悪いって、やっぱりよう解らんな。

「それは、俺も良く解らないけど、ちょっとハイになっていたんだと思うよ。んでさ、とりあえず自己紹介しようよ」

「それもそうね。初対面の面子が殆どだし」

座る場所を多少変えて俺達一年生と三年生が向かい合う形で夕食を再開する。

自己紹介を終え、俺は姉さんの友達の名前はしっかりと覚えた。

優男がベール。巨漢な脳筋男がマッスラ―。ザ・令嬢な金髪お嬢様がミリス。そして制服を着崩して如何にも風紀を乱しそうなアマゾネスのサルネ。

こっちも自己紹介をし、何故かクレア姉さんはセルシアの自己紹介を聞いた時に嬉しそうな顔をしていた。

「それで、ぶっちゃけどうだったの」

「何がですか?」

「あんたに喧嘩を売って来たお馬鹿さんに決まってるじゃない」

お馬鹿さんって。その通りかもしれんが、そこまでいつも通り声量で言っちゃうか?
周囲にいる生徒達は、そのお馬鹿さんが誰なのか解っちゃったと思うんだが。

「そうだね。まぁ・・・・・・強いんじゃないか。一般的には」

「そうね。確かに今年の一年生の中では強い部類でしょうね。でも、物足りなかったんでしょ」

「ナーガルス相手にそういうのは求めてないからそんな感情は持たなかったけど、色々と足りないなと思った」

一番は実戦経験かな。
全くの皆無とは思わないけど、何度も何度も実戦を経験している様には思えない。

「はっはっは!!! あのジーク・ナーガルス相手に色々と足りないって言える奴はこの学園には殆どいないのに、同じ新入生にそう評価されるとはな。まっ、流石クレアの師匠ってところだな」

「・・・・・・クレア姉さん。俺の事なんて説明してるの?」

自慢してくれるのは嬉しいが、あまり誇張し過ぎるのは勘弁なんだが。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

俺と幼女とエクスカリバー

鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。 見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。 最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!? しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!? 剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

悪役令嬢になった私は卒業式の先を歩きたい。――『私』が悪役令嬢になった理由――

唯野晶
ファンタジー
【シリアス悪役令嬢モノ(?)。分からないことがあるのは幸せだ】 ある日目覚めたらずっと大好きな乙女ゲーの、それも悪役令嬢のレヴィアナに転生していた。 全てが美しく輝いているセレスティアル・ラブ・クロニクルの世界。 ヒロインのアリシア視点ではなく未知のイベントに心躍らせる私を待っているのは楽しい世界……のはずだったが? 「物語」に翻弄されるレヴィアナの運命はいかに!? カクヨムで先行公開しています https://kakuyomu.jp/works/16817330668424951212

処理中です...