155 / 990
速さ、威力共に申し分ない
しおりを挟む
「どうやらネタ切れの様だな。ならそろそろ死んでくれ。どうせ逃げるつもりは無いのだろう」
バルンク様の言う通り、体中から血を流すハグベアだが未だに闘志は衰えておらず、殺る気全開と言ったところだろう。
ただ、闘志だけではどうにもならない程の実力差があるのが現状。
「雷斬脚」
放たれた雷の刃はハグベアが反応出来ない速度で飛び、その首を切り落とした。
「・・・・・・前より速くなった気がするんだが」
「脚力が上がっているんだ。多少なりとも速度は上がるだろう」
「あんな事、ラガス君も出来そうですね」
流石にそれは無い、っと一瞬思ったがあの年齢であそこまで体術が出来上がってるんだ。
何かしらの方法で出来てしまいそうだな。
魔法というアビリティを抜けば、本当に万能な少年だ。
「んーーーー・・・・・・お前達から見てどうだった?」
「どうだったと言われても、バルンク様なら素の状態でもハグベアは倒せると思うが、その魔靴を使っている事で楽に倒せてるって印象ってところっすね」
「ビラッズさんと同じ感想ですね。相手の体を斬るという点に力を入れずに済んでいるように見えますので。なので相手の攻撃を貰わない事と自身の攻撃を当てる事に集中できていたとい思います」
「速さが増す。それだけで戦況は変わります。バルンク様程速さに慣れている方なら魔靴による脚力の上昇も完全に操る事が出来るでしょう。最後の雷斬脚に関しても以前より威力が増しているかと」
ライトニングウルフの魔核の影響で確実に威力は増している。
それを見る限り、雷斬脚に使う消費魔力を抑える事で以前と変わらない速度と威力を放てることになる。
戦いの中でそれは有難い筈。
「確かにお前達の言う通りだ。基本的な脚力の上昇、それが大きい。そしてハグベアの皮膚を容易に斬り裂く刃。そして放つ雷の威力が上がっている。今の戦いで基本的な性能は確かめられた」
「それは良かったですね。それではもう屋敷に戻りますか?」
「いや、まだまだ戦うぞ。ラガス君にしっかりとした感想を返さなければならないからな」
日頃の書類仕事で溜まった鬱憤を晴らしたいという気持ちが大半を占めている様な気がしますが、その気持ちがあるのも確かでしょう。
それならもう試運転に少し付き合わなければなりませんね。
「それに、手紙に書かれてあった技がまだ試せていないからな」
「技、ですか。どういった技なのですか?」
「そうだなぁ・・・・・・バイドシャークの牙を存分に生かした技といったところか」
バイドシャークの牙を、ですか。
パッとは思い付きませんが、おそらく蹴り技なのでしょう。
「よし、ハグベアの肉は美味いから解体して持って帰るぞ」
解体して持って帰る事自体は構わないのだが、バルンク様が率先して解体に参加するのは護衛の者として避けて欲しかった。
だがやる気満々のバルンク様を止める事は出来ず、結局は四人で解体する事になった。
まぁ、生活魔法のクリーンがあるから血や匂いは問題無いのだが、それでも出来ればこういった雑務は控えて欲しいものだ。
「にしても、ここまで上等な魔道具を造るのにセルシアお嬢様が認める程腕が立つとはとんでもない小僧だな」
「本人が言うには娯楽が殆ど無いから体を鍛えたりモンスター狩り、錬金術の腕を上げるのが娯楽の変わりだとも言っていた。そういった考えを持っているから、他の同年代の子とは隔絶した力を持つのだろう」
「他の同年代とは隔絶した力をねぇーーー・・・・・・セルシアお嬢様が実力を褒めるって事は、やっぱりあの婚約者の優男よりも強いんだろ」
「その筈だ」
ジーク・ナーガルス。侯爵家の三男に相応しい実力を持っている。
同年代と比べて頭一つ抜けているのは確かだ。
ただそれでもセルシアお嬢様には及ばない。という事は結果的にラガス君に勝つのは難しいだろう。
例えランクの高い魔道具を使ったとしても、その実力差は埋まらない。
というか、ラガス君にはバルンク様が魔靴の報酬として送ったアブストエンドがあるから武器の性能は五分か、それ以下になる。
「ならセルシアお嬢様を巡って二人の漢が戦うって訳か。あれだ、女的にはこういうのが燃え上がる展開? なのかノエリア?」
「燃え上がると言いますか、基本的に本の中での話ですからね。学生である女子生徒からすれば注目すべきイベントだとは思います」
一人の女性を巡って二人の漢が戦う展開、確かにそれは男の私から見ても面白そうなイベントではありますが、貴族の子息や令嬢の話になれば当事者だけで解決出来る問題では無いのは確かだと思うんですがね。
バルンク様の言う通り、体中から血を流すハグベアだが未だに闘志は衰えておらず、殺る気全開と言ったところだろう。
ただ、闘志だけではどうにもならない程の実力差があるのが現状。
「雷斬脚」
放たれた雷の刃はハグベアが反応出来ない速度で飛び、その首を切り落とした。
「・・・・・・前より速くなった気がするんだが」
「脚力が上がっているんだ。多少なりとも速度は上がるだろう」
「あんな事、ラガス君も出来そうですね」
流石にそれは無い、っと一瞬思ったがあの年齢であそこまで体術が出来上がってるんだ。
何かしらの方法で出来てしまいそうだな。
魔法というアビリティを抜けば、本当に万能な少年だ。
「んーーーー・・・・・・お前達から見てどうだった?」
「どうだったと言われても、バルンク様なら素の状態でもハグベアは倒せると思うが、その魔靴を使っている事で楽に倒せてるって印象ってところっすね」
「ビラッズさんと同じ感想ですね。相手の体を斬るという点に力を入れずに済んでいるように見えますので。なので相手の攻撃を貰わない事と自身の攻撃を当てる事に集中できていたとい思います」
「速さが増す。それだけで戦況は変わります。バルンク様程速さに慣れている方なら魔靴による脚力の上昇も完全に操る事が出来るでしょう。最後の雷斬脚に関しても以前より威力が増しているかと」
ライトニングウルフの魔核の影響で確実に威力は増している。
それを見る限り、雷斬脚に使う消費魔力を抑える事で以前と変わらない速度と威力を放てることになる。
戦いの中でそれは有難い筈。
「確かにお前達の言う通りだ。基本的な脚力の上昇、それが大きい。そしてハグベアの皮膚を容易に斬り裂く刃。そして放つ雷の威力が上がっている。今の戦いで基本的な性能は確かめられた」
「それは良かったですね。それではもう屋敷に戻りますか?」
「いや、まだまだ戦うぞ。ラガス君にしっかりとした感想を返さなければならないからな」
日頃の書類仕事で溜まった鬱憤を晴らしたいという気持ちが大半を占めている様な気がしますが、その気持ちがあるのも確かでしょう。
それならもう試運転に少し付き合わなければなりませんね。
「それに、手紙に書かれてあった技がまだ試せていないからな」
「技、ですか。どういった技なのですか?」
「そうだなぁ・・・・・・バイドシャークの牙を存分に生かした技といったところか」
バイドシャークの牙を、ですか。
パッとは思い付きませんが、おそらく蹴り技なのでしょう。
「よし、ハグベアの肉は美味いから解体して持って帰るぞ」
解体して持って帰る事自体は構わないのだが、バルンク様が率先して解体に参加するのは護衛の者として避けて欲しかった。
だがやる気満々のバルンク様を止める事は出来ず、結局は四人で解体する事になった。
まぁ、生活魔法のクリーンがあるから血や匂いは問題無いのだが、それでも出来ればこういった雑務は控えて欲しいものだ。
「にしても、ここまで上等な魔道具を造るのにセルシアお嬢様が認める程腕が立つとはとんでもない小僧だな」
「本人が言うには娯楽が殆ど無いから体を鍛えたりモンスター狩り、錬金術の腕を上げるのが娯楽の変わりだとも言っていた。そういった考えを持っているから、他の同年代の子とは隔絶した力を持つのだろう」
「他の同年代とは隔絶した力をねぇーーー・・・・・・セルシアお嬢様が実力を褒めるって事は、やっぱりあの婚約者の優男よりも強いんだろ」
「その筈だ」
ジーク・ナーガルス。侯爵家の三男に相応しい実力を持っている。
同年代と比べて頭一つ抜けているのは確かだ。
ただそれでもセルシアお嬢様には及ばない。という事は結果的にラガス君に勝つのは難しいだろう。
例えランクの高い魔道具を使ったとしても、その実力差は埋まらない。
というか、ラガス君にはバルンク様が魔靴の報酬として送ったアブストエンドがあるから武器の性能は五分か、それ以下になる。
「ならセルシアお嬢様を巡って二人の漢が戦うって訳か。あれだ、女的にはこういうのが燃え上がる展開? なのかノエリア?」
「燃え上がると言いますか、基本的に本の中での話ですからね。学生である女子生徒からすれば注目すべきイベントだとは思います」
一人の女性を巡って二人の漢が戦う展開、確かにそれは男の私から見ても面白そうなイベントではありますが、貴族の子息や令嬢の話になれば当事者だけで解決出来る問題では無いのは確かだと思うんですがね。
63
お気に入りに追加
3,502
あなたにおすすめの小説
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろうでも公開しています。
2025年1月18日、内容を一部修正しました。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる