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未来の敵に南無

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「ラガス坊ちゃま」

「ん? なんだ?」

「運命のパートナーはセルシア・ロウレット様でお決まりですか?」

こいつ・・・・・・なんで帰りの馬車で良い感じに寝れそうな時にそういう事を訊いてくるんだよ。
でも、メリルとしては結構気になる話なのか?

「俺は別にパートナーが欲しいと思わないし、もし仮にいたとしてもその相手の親の爵位が父さんより上だったらより面倒だ。そう、面倒なんだが・・・・・・メリルが言う通り、セルシア・ロウレットがもしかしたらパートナーなのかもな」

向こうはやけに俺に話しかけて来る。
まぁ、可愛い子に話しかけられるのは普通に嬉しい。少しミステリアスな雰囲気の子だけど。

けど俺の周囲に敵を増やす事だけは止めていただきたいな。
多分あの子は無意識に言ってるんだろうけど、あれじゃ無駄に敵が増える。

「あまり嬉しそうじゃありませんね」

「そうじゃない理由はメリルも知ってるだろ。というか解って聞いてるだろ」

「ふふ、そうですね」

「だからそういうのはせめて否定しろよ」

相変わらず俺を揶揄うのが好きな奴だな。

「これからのご予定は何かありますか?」

「学校に入学するまでのって話か? ・・・・・・前に考えていた武器を造れるなら作ってみたい。それ以外にも造ってみたいのはあるけどな」

「それでしたらソウランさんの所へ通う日数が多くなるという事ですね」

「必然的にそうなるな。錬金術は独学でどうこう出来るものじゃないし」

あの爺さん、他の錬金術師を見た事が無いから良く解らないけど、大して何もない街にいるような人じゃないよな?

俺が訊いてる内容ってそう簡単に再現できるもんじゃない筈だし。

「戦闘訓練の方はどうしますか?」

「通常的な訓練はいつも通り行う。モンスター狩りに関しては・・・・・・そっちも適度に行う」

出来れば・・・・・・ある程度本気で殺し合えるモンスターと出会えれば良いんだけどな。

「ラガス坊ちゃま、好戦的な笑みを浮かべているようですが、あまり私達が心配に思う事は行わないでくださいね」

「そういつはぁ・・・・・・約束しかねるな。それに、今後の俺にとって必要な経験だ」

「必要な経験、ですか。それを体験するときに私は傍にいますか?」

そりゃあモンスターを狩りに行くときは何時も一緒なんだから傍にいるだろ。

「当たり前だろ」

「そうですか、なら安心です」

そこまで・・・・・・心配する事ではあるか。俺の力を知っていても年齢を考えれば当然か。

「とりあえず俺は少し寝る」

「はい、夕食の時間までゆっくりしていてください」

・・・・・・うん、何故俺の頭をさらっと自分の膝に持ってくんだ?
いや、なんとなく気分が良いから構わないんだけどさ。


家に帰ってから一週間後、今は錬金術を使える爺さんの元で勉強中。

「ふむ。なかなかのもんじゃな。この出来ならハンターに売ってもしっかりと利益が出るぞ」

「そうですか。ちょっとは腕が上がって良かったです」

「はっはっはっはっは、お前さんは物事を理解する速さが子供にじては異常だからな。この調子でいけば儂を超える日もそう遠くは無いのう」

褒めてくれるのは嬉しいが、あまりプレッシャーをかけないで欲しいものだ。

「嬢ちゃんの方は毒の調合が上手い。そっちの才能ならばラガスより上じゃな」

「有難うございます。ただ、ソウランさんの指導があっての結果です」

「ほっほっほ。あまり謙遜する必要は無い。お主らの才能と努力があってこその結果じゃ」

毒の調合・・・・・・いや、メリルなりに考えがあってそっち方面の腕を上げてるんだろうけど・・・・・・将来使われるであろう敵にゾッとするな。
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