異世界バーテンダー。冒険者が副業で、バーテンダーが本業ですので、お間違いなく。

Gai

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第34話 咄嗟に出た選択

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「あの巣の形……ソニックイーグルの巣だな」

「よし、それじゃあ気配がないうちに卵を回収しようか」

「あいよ、任せろ!!!」

一番身軽なガリアスが猿の様に木を登っていくと……嫌な予感がアストの脳裏に過る。

「アスト!!??」

あっという間に巣の場所に到着する……ガリアスに、何かが飛来する。

その何かがガリアスにぶつからないようにするため、アストはどうすべき……仲間に相談すべきか、そういった事を一切考えずに動いていた。

(こんな事、出来たのか!!!!)

ガリアスに向かって飛来する生物は、巣の主であるソニックイーグル。
巣で温めている不届き者を狩る為、リスクのある狩り方を選んだ大胆なモンスター。

(抜く暇は、ない!!!!)

実際は詠唱せずに魔法を発動出来るアストだが、それも間に合わない。
勿論、ロングソードを抜剣して盾にすることも間に合わない……そんなアストの取れる選択肢は、素手によるキャッチしかなかった。

「ぐっ!!!!!!!??????」

「ッ!!!!!!??????」

当然、素の状態でキャッチする訳がなく、身体強化のスキルを使用し……同時に魔力を纏って更に強化。

「ロー、ルッ!!!!!!!!!!!!!!!」

「っ!!!!????」

空中でソニックイーグルのくちばしを掴んだアスト。

地上であれば完全に抑え込めるかはさておき、踏ん張って耐えることは出来るが、空中では全く踏ん張ることが出来ない。

そこでアストはスキル、カクテルの技……ロールを発動し、体を思いっきり下に向かって回転させた。

「ぬぅ、う、ウァァアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」

そして地上にぶつかるほんのコンマ数秒前に、掴んでいたくちばしを全力で地面に叩きつけた。

「っ、っ、っ!!!!????」

アストの狙い通り、ソニックイーグルはくちばしから地面に激突し、めり込んだ。

「今、だッ!!!!!!!」

地面に上手く着地するも、視界が定まってないアストのが声を上げるよりも前に……仲間が生み出したチャンスを無駄にはしないと、ロルバが速攻で駆け出し、大剣で頭を叩き割った。

「っし!!! アスト、無事か!!!!!」

ソニックイーグルを瞬殺したロルバは直ぐにパーティーメンバーの危機を救ってくれた仲間の無事を確認する。

「あ、あぁ。ちょっとまだ視界がぐらぐら揺れてるが、問題は、ない」

「一応回復魔法をかけるね」

臨時とはいえ、共にパーティーを組んで行動していた仲間。
色々と言いたいことはあるが……まずは感謝の言葉が一番である。

「ありがとう、アスト。お前が咄嗟に動いてくれなければ……」

「いや、マジでそれな。俺も巣にソニックイーグルがいねぇからって、結構油断してたわ」

ソニックイーグルの巣から全ての卵を回収し終えたガリアスも笑いながら感謝の言葉を伝えた。

「はい、終わったよ。普通に動かせると思うけど……大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。一応受け流しに近い技を使ったからな。まぁ……我ながら本当に上手くやれたと思う部分はあるが」

自身の体を全て回転する道具と捉えた応用技。

そもそも正確にソニックイーグルのくちばし掴めなければ、がっつり体に風穴が開いていたが、そこはこれまでの経験が活きたと言えるだろう。

「仲間の危機を助けてもらった身としては感謝の言葉しかないが、本当に無茶をするものだ」

「冒険者なんだ。そりゃあ、仲間が危なくなったら、無茶してでも助けるだろ」

「……ふふ。アストって、クールそうに見えて結構熱い部分あるよね~」

「うむ!!! 正直、心を打たれたと言うか……とにかく、嬉しい限りだ!!! アスト、ソニックイーグルの解体は俺たちがやっておくから、ゆっくり休んでいてくれ!!!」

「良いのか? それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

勝算が無ければ危機に飛び込もうとしないアストだが、迫りくるソニックイーグルのくちばしを正確に掴むのは、かなりの度胸が必要だった。

(他の技を使うって選択肢もあったよな…………そうだな。今更な話だ)

咄嗟に思い浮かんだのが、スキルや魔力で全身を強化して、ロールを発動して地面に叩きつける。
それしか思い浮かばなかったのだ。

他にも方法はあったかもしれない。
もっと早い段階で解っていれば、他にも対応策が頭の中に浮かんだかもしれないが……あの一瞬ではその方法しか思い浮かばなかった。

他にももっと良い方法があったかもしれないと反省することは出来るが、また次の機会に……そういった冷静な判断を取れるかどうかは別問題。
そんな残念な事実は、これまでの冒険で何度も味わっている。

「これからの事を考えると、Bランクには上がらない……そう決めているんだったな」

「あぁ。そうだよ、ロクター。確かに俺は歳の割には強い。それでも、限界はある」

「……歳の割に、考える力も並ではないな。しかし、ここ数日の間共に行動して解かった。いずれ……またギルドから推薦が出されるだろう」

脅している訳ではなかった。
ただ、ロクターは純粋にそれだけの力や闘志、思考力がアストにあると評価しただけ。

それに関して……力ある同業者に褒められるのは嬉しくあるものの、やはりアストとしては勘弁してほしい流れである。
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