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八十四話 惜しいと思わなくもない
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「カバディ!!」
体が暖まり、イメージ通りに体が動くようになり、更に動きが加速。
エクセルフワイバーンの爪撃や尾撃を躱し、鋭い拳打や蹴突が叩きこまれる。
空中から攻撃し続ける様な姑息な行動を取らないため、クランドは無理に宙へ跳ぶことなく攻撃を当てられる。
(っ! こいつ、かなりタフだな)
ウォーミングアップが終わってから約二分間、今まで培ってきた予測をフル活用し、攻撃を躱しながらカウンターを叩きこんできた。
身体強化に加えてキャント、脚力強化なども使用しているため、その攻撃はタンクが構える盾をも凹ませる。
当然、エクセルフワイバーンも無傷ではない。
体の所々に内出血が見えるが……地面に倒れ伏し、大きな隙を見せない。
衝撃で後方へ押されても、直ぐに前進し、鋭い牙や爪を武器に斬撃をぶちかます。
(既にニ十回以上はクランド様の打撃を食らっているのに、どの傷も重傷に至っていない……ゴーレムなどの防御力が高いモンスターと比べても、タフさはエクセルフワイバーンの方が上の様ですね)
クランドは時に、打撃ではなく手刀による斬撃のダメージも与えている。
鱗はワイバーンと比べて当然、強度は上ではあるが、見事に切断している。
しかし、体の大きさ的な問題で、それらの傷はエクセルフワイバーンにとって大きな傷になり得ない。
回復力にも大きな差があるため、数分後には完治。
失った血までは戻らないが、クランドにとって不利となる情報であることに変わりはない。
「あのワイバーン、回復力がそこら辺のモンスターとは訳が違う。やっぱり、直ぐにでも加勢すべきじゃ!」
「……もう少し待とう」
「アルティス?」
「彼の闘志は、まだ全く萎えていない」
リーダーであるアルティスが解っている事を確認し、メリルは展開していた風槍と炎槍の方向を変えようとしたが、賢明な判断によって同業者同士の戦闘には発展せずに済んだ。
「カバディ!」
アルティスの見解通り、クランドの闘志は全く萎えていない。
寧ろエクセルフワイバーンのタフさを肌身で感じ、更に闘志を熱く燃やしていた。
(このタフさだけで、先日戦った逆鱗状態のワイバーンより、圧が強いと感じるな!!!!)
大半の者は、怒り狂って暴れる逆鱗状態のワイバーンの方が恐ろしいと感じてもおかしくない。
ただ、戦闘者であるクランドからすれば、果てしなくHPが多いと感じるエクセルフワイバーンの方が強い存在感、有無を言わせな圧を感じる。
勿論、エクセルフワイバーンの優れた点はタフさだけではなく、攻撃力とその鋭さも通常種のワイバーンを上回っている。
木々は切り裂かれ、大地は抉れる。
そんな光景が何度も繰り返される中……唯一、ドラゴンの代名詞とも言える攻撃、ブレスだけは今のところ使用していない。
(それにしても、強くてタフなだけじゃなく、知能も他のワイバーンより、優れているんだな!!!)
ある程度距離が離れていなければ、ブレスを放った瞬間……クランドの脚は火炎を回避し、懐に潜り込む。
最初の数分でクランドの実力を読み取り、エクセルフワイバーンはブレスの使用を封印していた。
「モンスターが本能で回避するところを、我々が行う予測で回避している……かもしれませんね。希少種とはいえ、ワイバーンとは思えない知能の高さですね」
ブレスを使用しない理由も、何となく察することが出来る。
その点に関しても、リーゼはエクセルフワイバーンを評価していた。
「……しかし、現状が続けば人の身であるクランド君の方が不利だ」
「普通はそう思うかもしれませんね」
エクセルフワイバーンが自身の周囲に展開した火球を炎槍、風槍で破壊しながらアルティスの見解をナチュラルに見下す。
「アルティスさん、クランド様の闘志は先程までと比べて少しでも萎えていますか?」
「…………いや、萎えてないね」
「それが答えです」
目を凝らせば、エクセルフワイバーンとの戦闘中に、クランドが笑みを浮かべているのが分る。
その光景をアルティスは理解……出来なくもなかった。
そうなってしまう事に、身に覚えがある。
しかし、エクセルフワイバーンというドラゴンを相手に、そんな状態になれるのか?
自身に問いかけるが、数秒後に出た答えはノー。
今までの経験則から、目の前の竜種は四人で戦うべき相手。
そんな常識に縛られている。
(……惜しい方ですね)
先日、主人であるクランドの実力を見下す様な態度に関しては、強烈な怒りが湧いた。
本当に数瞬の間ではあるが、アルティスを殺す寸前まで潰したいという思いすら抱いていた。
そんな過去を抜きにして視れば、Bランクモンスターであるエクセルフワイバーンとソロで渡り合える逸材だった。
(仲間である女性たちが枷……とは言いませんが、その三人といるせいで挑戦できる壁に対して安全策を取り、大きく成長する機会を失ってそうですが……まぁ、私には関係無いことです)
クランドがまた一段ギアを上げたのを感じ取り、戦況の整理と万が一の援護に関して集中力を高めていく。
体が暖まり、イメージ通りに体が動くようになり、更に動きが加速。
エクセルフワイバーンの爪撃や尾撃を躱し、鋭い拳打や蹴突が叩きこまれる。
空中から攻撃し続ける様な姑息な行動を取らないため、クランドは無理に宙へ跳ぶことなく攻撃を当てられる。
(っ! こいつ、かなりタフだな)
ウォーミングアップが終わってから約二分間、今まで培ってきた予測をフル活用し、攻撃を躱しながらカウンターを叩きこんできた。
身体強化に加えてキャント、脚力強化なども使用しているため、その攻撃はタンクが構える盾をも凹ませる。
当然、エクセルフワイバーンも無傷ではない。
体の所々に内出血が見えるが……地面に倒れ伏し、大きな隙を見せない。
衝撃で後方へ押されても、直ぐに前進し、鋭い牙や爪を武器に斬撃をぶちかます。
(既にニ十回以上はクランド様の打撃を食らっているのに、どの傷も重傷に至っていない……ゴーレムなどの防御力が高いモンスターと比べても、タフさはエクセルフワイバーンの方が上の様ですね)
クランドは時に、打撃ではなく手刀による斬撃のダメージも与えている。
鱗はワイバーンと比べて当然、強度は上ではあるが、見事に切断している。
しかし、体の大きさ的な問題で、それらの傷はエクセルフワイバーンにとって大きな傷になり得ない。
回復力にも大きな差があるため、数分後には完治。
失った血までは戻らないが、クランドにとって不利となる情報であることに変わりはない。
「あのワイバーン、回復力がそこら辺のモンスターとは訳が違う。やっぱり、直ぐにでも加勢すべきじゃ!」
「……もう少し待とう」
「アルティス?」
「彼の闘志は、まだ全く萎えていない」
リーダーであるアルティスが解っている事を確認し、メリルは展開していた風槍と炎槍の方向を変えようとしたが、賢明な判断によって同業者同士の戦闘には発展せずに済んだ。
「カバディ!」
アルティスの見解通り、クランドの闘志は全く萎えていない。
寧ろエクセルフワイバーンのタフさを肌身で感じ、更に闘志を熱く燃やしていた。
(このタフさだけで、先日戦った逆鱗状態のワイバーンより、圧が強いと感じるな!!!!)
大半の者は、怒り狂って暴れる逆鱗状態のワイバーンの方が恐ろしいと感じてもおかしくない。
ただ、戦闘者であるクランドからすれば、果てしなくHPが多いと感じるエクセルフワイバーンの方が強い存在感、有無を言わせな圧を感じる。
勿論、エクセルフワイバーンの優れた点はタフさだけではなく、攻撃力とその鋭さも通常種のワイバーンを上回っている。
木々は切り裂かれ、大地は抉れる。
そんな光景が何度も繰り返される中……唯一、ドラゴンの代名詞とも言える攻撃、ブレスだけは今のところ使用していない。
(それにしても、強くてタフなだけじゃなく、知能も他のワイバーンより、優れているんだな!!!)
ある程度距離が離れていなければ、ブレスを放った瞬間……クランドの脚は火炎を回避し、懐に潜り込む。
最初の数分でクランドの実力を読み取り、エクセルフワイバーンはブレスの使用を封印していた。
「モンスターが本能で回避するところを、我々が行う予測で回避している……かもしれませんね。希少種とはいえ、ワイバーンとは思えない知能の高さですね」
ブレスを使用しない理由も、何となく察することが出来る。
その点に関しても、リーゼはエクセルフワイバーンを評価していた。
「……しかし、現状が続けば人の身であるクランド君の方が不利だ」
「普通はそう思うかもしれませんね」
エクセルフワイバーンが自身の周囲に展開した火球を炎槍、風槍で破壊しながらアルティスの見解をナチュラルに見下す。
「アルティスさん、クランド様の闘志は先程までと比べて少しでも萎えていますか?」
「…………いや、萎えてないね」
「それが答えです」
目を凝らせば、エクセルフワイバーンとの戦闘中に、クランドが笑みを浮かべているのが分る。
その光景をアルティスは理解……出来なくもなかった。
そうなってしまう事に、身に覚えがある。
しかし、エクセルフワイバーンというドラゴンを相手に、そんな状態になれるのか?
自身に問いかけるが、数秒後に出た答えはノー。
今までの経験則から、目の前の竜種は四人で戦うべき相手。
そんな常識に縛られている。
(……惜しい方ですね)
先日、主人であるクランドの実力を見下す様な態度に関しては、強烈な怒りが湧いた。
本当に数瞬の間ではあるが、アルティスを殺す寸前まで潰したいという思いすら抱いていた。
そんな過去を抜きにして視れば、Bランクモンスターであるエクセルフワイバーンとソロで渡り合える逸材だった。
(仲間である女性たちが枷……とは言いませんが、その三人といるせいで挑戦できる壁に対して安全策を取り、大きく成長する機会を失ってそうですが……まぁ、私には関係無いことです)
クランドがまた一段ギアを上げたのを感じ取り、戦況の整理と万が一の援護に関して集中力を高めていく。
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