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二十三話 どうすれば取り込める?
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「素晴らしい戦いだった! いや、本当に素晴らしかったよ!!」
ジルが二人のバトルを褒め始め、観戦していた騎士たちも二人に拍手を送った。
(褒められるのは嬉しいけど……まだまだだな)
フェリスたとの戦闘中、クランドは一応使える火も使用し、全力で勝とうとした。
しかし、結果的に有効打を一つも決めることは出来なかった。
「フェリス、滞在してる間はクランド君の相手をまた頼んでも良いかな」
「かしこまりました」
ジルの言葉は……クランドにとって、非常に有難い提案だった。
ただ、同時にそれは良いのか? という疑問が浮かび上がる。
ぐるっと大人たちの顔を見ると、全員が了承しており……それならば良いかと思い、疑問が解消。
嫉妬の感情が籠った視線が向けられているが、気にしないことにした。
(是非ともメイナの婿になってくれないかな)
当然、ジルはクランドをメイナの婚約者としてランディ―ス家に迎え入れたいと考え始める。
とはいえ、クランドの就きたい職業は冒険者。
冒険者という職業に偏見はないが、あまり娘に就いて欲しいとは思わない。
加えて……半日も経っていないやり取りで、メイナがクランドに対して良い感情を持っていないことは理解していた。
(そういえば、フェリスとしっかり向き合った時、ちょっと頬が赤くなってたような……もしかして歳上好き?)
そうではないが、完全に間違ってもいなかった。
(確か、フェリスには婚約者がいなかったよね。まだ二十歳を超えてないし……でも、年齢さが八歳ぐらいか……さすがに厳しいかな)
ジルは本気でクランドを取り込めないか考え始めていた。
そして夕食時……この時、ジルの頼みとあって、クランドは厨房にとって夕食に出す料理を作っていた。
「うん、美味しいね! いくらでも食べられるよ!!」
心底美味そうな表情で食べてくれるため、作ったクランドとしては嬉しい限り。
クランドに負けてから、あまり機嫌が良くない状況が続いていたメイナだが、夕食を食べ始めてからは機嫌がプラスに向き始めた。
「いや~、こんな美味しい料理を作れるなんて……本当になんでも出来るんだね」
「ありがとうございます。ですが、何でもは出来ません。頑張って続けていたら、出来るようになっただけですから」
「ふふ、本当に謙虚だね」
頑張って続けていたら、出来るようになった。
その言葉を堂々と、負の感情を混ぜずに言えるクランドに、ジルは尊敬の念すら覚える。
「クランド君なら、遊撃部隊に騎士として入隊出来ると思うんだけどね」
「遊撃部隊、ですか」
必要な技術が縛られている訳ではなく、敵の殲滅や絡めることに特化している。
ある程度の身体能力、魔力を持っており、加えて何かしらの一芸を持っている人達が入隊する部隊。
「クランド君の強味はある程度の武器を扱えることと、圧倒的な身体能力。それらは十分過ぎる武器だ。多分……オルガが後押ししなくても入隊できると思うよ」
「……クランドなら、無理ではないだろうな」
クランドが冒険者の道に進むことを、もう止めるつもりはない。
しかし、ジルの考えに答えるのであれば……イエスという答えが事実。
ある程度の身体能力と魔力量。
この二つに関しては余裕で超えており、両方とも規定の一芸に匹敵する。
「自分の実力を評価してくれるのは、とても嬉しいです。ただ、俺が目指す道は冒険者なので」
「そうか……芯が太いね」
属する国は違う。
ただ……貴族として、元騎士として是非ともクランドには騎士の道に進んで欲しい、という思いが芽生えてしまった。
それ以降、食事の席ではクランドの進路が話題に出ることはなく、大きな問題が起こることなく、一日目は終了した。
そして二日目……朝食を食べ終え、準備運動を終えたクランドは、早速フェリスに模擬戦の相手をしてもらっていた。
前日とは違い、素手だけではなく、他の武器を使って模擬戦行うクランド。
勿論、キャントを行いながら、毎回毎回本気で挑んでいる。
(この歳でここまで戦えるのは……以上ですね)
王道な動きだけではなく、獣人族の様な不規則な動きも可能。
一般的には、王道的な動きを極めるのに多くの時間が必要になる。
クランドがその動きを極められているかと言うと……極められていない。
ただ、現年齢を考えれば十分な質まで高められている。
もうそちらの動きを鍛えることを止めている訳でもないので、戦い方や普段の訓練内容に口を挟む部分がなかった。
「本当に、強いですね」
「それはこちらのセリフですよ。クランド君の実力は、同性代の子供たちが可哀想と思ってしまう程、全てのレベルが高いです」
「現役騎士の方にそう言ってもらえると、自信持てますね」
爽やかな笑顔でそう言うクランドだが、フェリスはお世辞を言っているつもりはない。
先日の、夕食までの訓練光景で、攻撃魔法を拳や蹴りで弾くことが出来るのは把握している。
間接的に護衛対象のメイナも可哀想と口にしまっているのだが……フェリスは全く気付いていなかった。
そして朝の訓練、昼食が終わった後、メイナとフェリスはクランドの狩りに付いて行った。
ジルが二人のバトルを褒め始め、観戦していた騎士たちも二人に拍手を送った。
(褒められるのは嬉しいけど……まだまだだな)
フェリスたとの戦闘中、クランドは一応使える火も使用し、全力で勝とうとした。
しかし、結果的に有効打を一つも決めることは出来なかった。
「フェリス、滞在してる間はクランド君の相手をまた頼んでも良いかな」
「かしこまりました」
ジルの言葉は……クランドにとって、非常に有難い提案だった。
ただ、同時にそれは良いのか? という疑問が浮かび上がる。
ぐるっと大人たちの顔を見ると、全員が了承しており……それならば良いかと思い、疑問が解消。
嫉妬の感情が籠った視線が向けられているが、気にしないことにした。
(是非ともメイナの婿になってくれないかな)
当然、ジルはクランドをメイナの婚約者としてランディ―ス家に迎え入れたいと考え始める。
とはいえ、クランドの就きたい職業は冒険者。
冒険者という職業に偏見はないが、あまり娘に就いて欲しいとは思わない。
加えて……半日も経っていないやり取りで、メイナがクランドに対して良い感情を持っていないことは理解していた。
(そういえば、フェリスとしっかり向き合った時、ちょっと頬が赤くなってたような……もしかして歳上好き?)
そうではないが、完全に間違ってもいなかった。
(確か、フェリスには婚約者がいなかったよね。まだ二十歳を超えてないし……でも、年齢さが八歳ぐらいか……さすがに厳しいかな)
ジルは本気でクランドを取り込めないか考え始めていた。
そして夕食時……この時、ジルの頼みとあって、クランドは厨房にとって夕食に出す料理を作っていた。
「うん、美味しいね! いくらでも食べられるよ!!」
心底美味そうな表情で食べてくれるため、作ったクランドとしては嬉しい限り。
クランドに負けてから、あまり機嫌が良くない状況が続いていたメイナだが、夕食を食べ始めてからは機嫌がプラスに向き始めた。
「いや~、こんな美味しい料理を作れるなんて……本当になんでも出来るんだね」
「ありがとうございます。ですが、何でもは出来ません。頑張って続けていたら、出来るようになっただけですから」
「ふふ、本当に謙虚だね」
頑張って続けていたら、出来るようになった。
その言葉を堂々と、負の感情を混ぜずに言えるクランドに、ジルは尊敬の念すら覚える。
「クランド君なら、遊撃部隊に騎士として入隊出来ると思うんだけどね」
「遊撃部隊、ですか」
必要な技術が縛られている訳ではなく、敵の殲滅や絡めることに特化している。
ある程度の身体能力、魔力を持っており、加えて何かしらの一芸を持っている人達が入隊する部隊。
「クランド君の強味はある程度の武器を扱えることと、圧倒的な身体能力。それらは十分過ぎる武器だ。多分……オルガが後押ししなくても入隊できると思うよ」
「……クランドなら、無理ではないだろうな」
クランドが冒険者の道に進むことを、もう止めるつもりはない。
しかし、ジルの考えに答えるのであれば……イエスという答えが事実。
ある程度の身体能力と魔力量。
この二つに関しては余裕で超えており、両方とも規定の一芸に匹敵する。
「自分の実力を評価してくれるのは、とても嬉しいです。ただ、俺が目指す道は冒険者なので」
「そうか……芯が太いね」
属する国は違う。
ただ……貴族として、元騎士として是非ともクランドには騎士の道に進んで欲しい、という思いが芽生えてしまった。
それ以降、食事の席ではクランドの進路が話題に出ることはなく、大きな問題が起こることなく、一日目は終了した。
そして二日目……朝食を食べ終え、準備運動を終えたクランドは、早速フェリスに模擬戦の相手をしてもらっていた。
前日とは違い、素手だけではなく、他の武器を使って模擬戦行うクランド。
勿論、キャントを行いながら、毎回毎回本気で挑んでいる。
(この歳でここまで戦えるのは……以上ですね)
王道な動きだけではなく、獣人族の様な不規則な動きも可能。
一般的には、王道的な動きを極めるのに多くの時間が必要になる。
クランドがその動きを極められているかと言うと……極められていない。
ただ、現年齢を考えれば十分な質まで高められている。
もうそちらの動きを鍛えることを止めている訳でもないので、戦い方や普段の訓練内容に口を挟む部分がなかった。
「本当に、強いですね」
「それはこちらのセリフですよ。クランド君の実力は、同性代の子供たちが可哀想と思ってしまう程、全てのレベルが高いです」
「現役騎士の方にそう言ってもらえると、自信持てますね」
爽やかな笑顔でそう言うクランドだが、フェリスはお世辞を言っているつもりはない。
先日の、夕食までの訓練光景で、攻撃魔法を拳や蹴りで弾くことが出来るのは把握している。
間接的に護衛対象のメイナも可哀想と口にしまっているのだが……フェリスは全く気付いていなかった。
そして朝の訓練、昼食が終わった後、メイナとフェリスはクランドの狩りに付いて行った。
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