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少年期[1054]確かに面倒
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「ふむ……そうなのか」
ゼルート本人から、何をやらかしたのか聞いたルウナだが、まだあまり意味を理解していなかった。
「しかし、ゼルートは自分は使ってないと口にしただけだろう。それはそんなに悪いことなのか?」
「ルウナ、魔法使いたちは基本的に杖を使って戦うの。それは解るでしょう」
「あぁ、勿論それは解ってるぞ」
あまり魔法使いの詳細に興味はないルウナだが、それぐらいの事は解っている。
だが、ルウナからすれば、ゼルートはただ真実を口にしただけで、それが悪い様には思えなかった。
「ルウナ……あれなんだよ。流れも良くなかったんだよ」
「流れ?」
「ほら、魔塔の魔法使いたちは玉狐の額にある宝石を狙ってただろ。杖を造る素材として」
「それが目的だったようだな」
「そこで、俺は特に玉狐に興味を示さなかった。そこは……いや、そもそもの認識があれだったか。魔塔の魔法使いたちからすれば、俺が玉狐の存在を確認されたら、絶対に捕らえるだろうと思ってたんだよ」
「…………ゼルートが、後衛職寄りの接近戦も出来るタイプの冒険者だと思っていたからか」
「そんなところだろうな」
ルウナたちの予想は、まさにその通りだった。
ゼルートの母国では、ゼルートは魔法も使えるが基本的に接近戦が得意な冒険者だと、正しく認識されている。
しかし、実際にゼルートが戦うところを見たことがないパルブン王国の者たちからすれば、戦争の際に行われた特大魔法の連続使用のインパクトが強過ぎる。
その為、その様な勘違いをしていても、仕方ないといえば仕方なかった。
「ふ~~~~む…………自分たちは杖を持ってもこの程度なのに、ゼルートは杖も使わず特大魔法を放つ……それをあいつは自慢するように言った、と思われたという事か」
「多分な」
「……それは、あれじゃないか。被害妄想ということにならないか?」
「「…………」」
普段は脳筋思考なルウナから、非常に……非常にまともで、的を得た言葉が出てきた。
「それは、そう……かもしれないな」
「であろう。それなら、ゼルートは悪くないだろう」
「そうね。ルウナの言う通り、ゼルートは悪くない……と言うより、正確には悪気がなかったというべきね」
「? 悪くないとは、違うのか」
「今回の場合、事情を知らなかった、流れが悪かったというのを踏まえても、ゼルートの言葉は人によって受け取られ方が違うのよ」
ゼルートに悪気がなかった。
それを理解している者も当然いる。
それこそ、前衛の冒険者たちであれば、ゼルートが身に纏う雰囲気から「あいつって、本当に魔法の方が得意なのか?」と疑問を持ってもおかしくない。
だが、魔法至上主義……とまではいかずとも、魔法に人生を捧げようとしている者たちからすれば、聞き逃せない言葉であるのは間違いなかった。
「………………なんだかもう、面倒だな。全員潰すか、何人か見せしめにこう…………死なない程度にあれこれした方が良いんじゃないか?」
物凄く物騒な事を口にするルウナだが、二人とも直ぐに物騒過ぎるだろと、ツッコむことはなかった。
何故なら……ルウナの言う通り、二人も確かに面倒だなと思い始めたからである。
「……でもね、ルウナ。そんな簡単な事じゃないから、私たちも後悔してるのよ」
「であれば潰さずとも、死なない程度にあれこれせずとも、どこかでゼルートが一度に複数の魔法使いを倒した方が良いかもしれないな」
力を示せば良い。
ゼルートという人間は、杖など使わずとも魔法で戦えると証明するには、それが一番だと思ったルウナ。
「…………まぁ、まだ被害が出てないから良いけど、面倒な馬鹿たちが増えてきたりしたら、本当にそうした方が良いのかもなぁ……」
もう立場的に無理だ解っていても、大魔導士の杖を探しているゼルートにとって、下手な目立ちは避けたかった。
ゼルート本人から、何をやらかしたのか聞いたルウナだが、まだあまり意味を理解していなかった。
「しかし、ゼルートは自分は使ってないと口にしただけだろう。それはそんなに悪いことなのか?」
「ルウナ、魔法使いたちは基本的に杖を使って戦うの。それは解るでしょう」
「あぁ、勿論それは解ってるぞ」
あまり魔法使いの詳細に興味はないルウナだが、それぐらいの事は解っている。
だが、ルウナからすれば、ゼルートはただ真実を口にしただけで、それが悪い様には思えなかった。
「ルウナ……あれなんだよ。流れも良くなかったんだよ」
「流れ?」
「ほら、魔塔の魔法使いたちは玉狐の額にある宝石を狙ってただろ。杖を造る素材として」
「それが目的だったようだな」
「そこで、俺は特に玉狐に興味を示さなかった。そこは……いや、そもそもの認識があれだったか。魔塔の魔法使いたちからすれば、俺が玉狐の存在を確認されたら、絶対に捕らえるだろうと思ってたんだよ」
「…………ゼルートが、後衛職寄りの接近戦も出来るタイプの冒険者だと思っていたからか」
「そんなところだろうな」
ルウナたちの予想は、まさにその通りだった。
ゼルートの母国では、ゼルートは魔法も使えるが基本的に接近戦が得意な冒険者だと、正しく認識されている。
しかし、実際にゼルートが戦うところを見たことがないパルブン王国の者たちからすれば、戦争の際に行われた特大魔法の連続使用のインパクトが強過ぎる。
その為、その様な勘違いをしていても、仕方ないといえば仕方なかった。
「ふ~~~~む…………自分たちは杖を持ってもこの程度なのに、ゼルートは杖も使わず特大魔法を放つ……それをあいつは自慢するように言った、と思われたという事か」
「多分な」
「……それは、あれじゃないか。被害妄想ということにならないか?」
「「…………」」
普段は脳筋思考なルウナから、非常に……非常にまともで、的を得た言葉が出てきた。
「それは、そう……かもしれないな」
「であろう。それなら、ゼルートは悪くないだろう」
「そうね。ルウナの言う通り、ゼルートは悪くない……と言うより、正確には悪気がなかったというべきね」
「? 悪くないとは、違うのか」
「今回の場合、事情を知らなかった、流れが悪かったというのを踏まえても、ゼルートの言葉は人によって受け取られ方が違うのよ」
ゼルートに悪気がなかった。
それを理解している者も当然いる。
それこそ、前衛の冒険者たちであれば、ゼルートが身に纏う雰囲気から「あいつって、本当に魔法の方が得意なのか?」と疑問を持ってもおかしくない。
だが、魔法至上主義……とまではいかずとも、魔法に人生を捧げようとしている者たちからすれば、聞き逃せない言葉であるのは間違いなかった。
「………………なんだかもう、面倒だな。全員潰すか、何人か見せしめにこう…………死なない程度にあれこれした方が良いんじゃないか?」
物凄く物騒な事を口にするルウナだが、二人とも直ぐに物騒過ぎるだろと、ツッコむことはなかった。
何故なら……ルウナの言う通り、二人も確かに面倒だなと思い始めたからである。
「……でもね、ルウナ。そんな簡単な事じゃないから、私たちも後悔してるのよ」
「であれば潰さずとも、死なない程度にあれこれせずとも、どこかでゼルートが一度に複数の魔法使いを倒した方が良いかもしれないな」
力を示せば良い。
ゼルートという人間は、杖など使わずとも魔法で戦えると証明するには、それが一番だと思ったルウナ。
「…………まぁ、まだ被害が出てないから良いけど、面倒な馬鹿たちが増えてきたりしたら、本当にそうした方が良いのかもなぁ……」
もう立場的に無理だ解っていても、大魔導士の杖を探しているゼルートにとって、下手な目立ちは避けたかった。
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