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少年期[1030]興味を持たれる
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「それじゃあ、次の目的地はバディスタに決定ね」
「そうだな」
ゲイルがソロでワイズコングを討伐してから二日後、ゼルートたちは次の目的地を決めた。
バディスタという街は……そこまで特徴のある街ではないが、インヴェス山岳という山岳に向かう道中にある中堅都市。
情報を集めるには、悪くない場所であった。
「問題が起こったとしても、今日みたいな問題しか起こらないと思うけど…………他に何か起こるとしたら、魔塔絡みかしら」
「魔塔…………魔法をメインに扱う者たちが集まる、研究機関? みたいなところだっけ」
「そうよ。パルブン王国の中では、王家と同等の権力を持っている、なんて噂もあるわ」
「へぇ~~~~。それは凄いな」
最終的には物理で解決すれば良いという考えを持っているゼルートだが、王家と同等の権力を持っている凄さというのは、ある程度理解出来る……だからこそ、心の底から凄いなと感じた。
(王家と同等の権力を持ってるって事は、互いに睨み合ってる状態が続いてる様なものか……こっちの王家の人たちは、毎日胃がキリキリしてそうだな)
凄いと思いながらも、他人事のように考えるゼルート。
だが、パーティーメンバーのアレナとしては、不安だらけの存在であった。
「のほほんとしてるけど、一番絡まれやすいのはゼルートなのよ」
「あのクソエルフの時と同じで、俺がまだ子供っぽいのにランクが高いからか?」
「違うわ。どちらかと言えば、有効的な絡みって感じかしら」
「有効的な絡み?」
言葉の意味が解らず、首を傾げるゼルート。
「一般的にはね。でも、ゼルートにとっては面倒な絡みだと思うわ」
「やっぱりか……けど、そもそも俺と魔塔って、特に共通点とかないよな」
「それがそうとも言いきれないわ。だって、あなた自分で武器や素手で戦う才能よりも、魔法の才能の方があるって言ってたじゃない」
「…………言ってた、気がしなくもない、な」
過去の記憶を掘り起こしながら、確かにその様な言葉を口にしていたと思い出す。
「実際、ゼルートはあの戦争で開幕早々、魔法合戦で特大魔法を二度連続で放ったでしょう」
「そんな事もあったな」
当初、ゼルートは煉獄の凶弾という複数の地獄の業火を球弾にして放つ魔法しか放たないつもりだったが……ディスタール王国側の魔法使いたちも中々粒が揃っており、凶弾がそれなりに相殺されてしまった。
その結果が、プライドが傷付いたと感じ、ゼルートは二回目の特大魔法、天竜の戯れを発動した。
特大魔法を放つことが出来、しかも連続で放つことが出来るほどの魔力量を有している。
魔塔に所属している人物であれば、是非とも関わりたい人物であるのは間違いなかった。
「あれは凄まじかったな。しかし、あれはゼルートの魔力量あっての攻撃ではないのか?」
「だとしても、ゼルートの歳でそれだけの魔力量を、加えてどの様な鍛錬を積んでスキルレベルを上げたのか、気になるところは盛りだくさんのはずよ」
「…………クソったれだな」
基本的にゼルートと、従魔であるゲイルたちしかやってこなかった秘密の特訓、というのは存在する。
ただ、ゼルートは基本的にその方法を身内以外の誰かに教えるつもりはない。
「それってさ、要は俺があれこれ考えてる方法を聞き出そうとするってことだろ」
「悪く言うと、そうなるわね。勿論、それ相応の対価は用意する筈よ。ゼルートは他国とはいえ、男爵の爵位を持ってるわけだし」
アレナの言う通り、ゼルートは男爵……伯爵家の令息という立場だけではなく、ゼルート自身が男爵という爵位を得ている。
「……それでこっちの言い分を納得してくれれば良いんだけどな」
「何かを心配している感じだな、ゼルート」
「…………パルブン王国の上の連中が何を考えてるのか解らない以上、それ相応の対価を貰えるとはいえ、安易にあれこれ教えたくない」
ゼルートは遠回しに、パルブン王国と戦争になった時に、クソ面倒なことになると口にしていた。
(はぁ~~~。部屋で話してて良かったわ)
幸いにも、宿の部屋で話していたため、ゼルートたちの会話を聞いている者は誰もいなかった。
「そうだな」
ゲイルがソロでワイズコングを討伐してから二日後、ゼルートたちは次の目的地を決めた。
バディスタという街は……そこまで特徴のある街ではないが、インヴェス山岳という山岳に向かう道中にある中堅都市。
情報を集めるには、悪くない場所であった。
「問題が起こったとしても、今日みたいな問題しか起こらないと思うけど…………他に何か起こるとしたら、魔塔絡みかしら」
「魔塔…………魔法をメインに扱う者たちが集まる、研究機関? みたいなところだっけ」
「そうよ。パルブン王国の中では、王家と同等の権力を持っている、なんて噂もあるわ」
「へぇ~~~~。それは凄いな」
最終的には物理で解決すれば良いという考えを持っているゼルートだが、王家と同等の権力を持っている凄さというのは、ある程度理解出来る……だからこそ、心の底から凄いなと感じた。
(王家と同等の権力を持ってるって事は、互いに睨み合ってる状態が続いてる様なものか……こっちの王家の人たちは、毎日胃がキリキリしてそうだな)
凄いと思いながらも、他人事のように考えるゼルート。
だが、パーティーメンバーのアレナとしては、不安だらけの存在であった。
「のほほんとしてるけど、一番絡まれやすいのはゼルートなのよ」
「あのクソエルフの時と同じで、俺がまだ子供っぽいのにランクが高いからか?」
「違うわ。どちらかと言えば、有効的な絡みって感じかしら」
「有効的な絡み?」
言葉の意味が解らず、首を傾げるゼルート。
「一般的にはね。でも、ゼルートにとっては面倒な絡みだと思うわ」
「やっぱりか……けど、そもそも俺と魔塔って、特に共通点とかないよな」
「それがそうとも言いきれないわ。だって、あなた自分で武器や素手で戦う才能よりも、魔法の才能の方があるって言ってたじゃない」
「…………言ってた、気がしなくもない、な」
過去の記憶を掘り起こしながら、確かにその様な言葉を口にしていたと思い出す。
「実際、ゼルートはあの戦争で開幕早々、魔法合戦で特大魔法を二度連続で放ったでしょう」
「そんな事もあったな」
当初、ゼルートは煉獄の凶弾という複数の地獄の業火を球弾にして放つ魔法しか放たないつもりだったが……ディスタール王国側の魔法使いたちも中々粒が揃っており、凶弾がそれなりに相殺されてしまった。
その結果が、プライドが傷付いたと感じ、ゼルートは二回目の特大魔法、天竜の戯れを発動した。
特大魔法を放つことが出来、しかも連続で放つことが出来るほどの魔力量を有している。
魔塔に所属している人物であれば、是非とも関わりたい人物であるのは間違いなかった。
「あれは凄まじかったな。しかし、あれはゼルートの魔力量あっての攻撃ではないのか?」
「だとしても、ゼルートの歳でそれだけの魔力量を、加えてどの様な鍛錬を積んでスキルレベルを上げたのか、気になるところは盛りだくさんのはずよ」
「…………クソったれだな」
基本的にゼルートと、従魔であるゲイルたちしかやってこなかった秘密の特訓、というのは存在する。
ただ、ゼルートは基本的にその方法を身内以外の誰かに教えるつもりはない。
「それってさ、要は俺があれこれ考えてる方法を聞き出そうとするってことだろ」
「悪く言うと、そうなるわね。勿論、それ相応の対価は用意する筈よ。ゼルートは他国とはいえ、男爵の爵位を持ってるわけだし」
アレナの言う通り、ゼルートは男爵……伯爵家の令息という立場だけではなく、ゼルート自身が男爵という爵位を得ている。
「……それでこっちの言い分を納得してくれれば良いんだけどな」
「何かを心配している感じだな、ゼルート」
「…………パルブン王国の上の連中が何を考えてるのか解らない以上、それ相応の対価を貰えるとはいえ、安易にあれこれ教えたくない」
ゼルートは遠回しに、パルブン王国と戦争になった時に、クソ面倒なことになると口にしていた。
(はぁ~~~。部屋で話してて良かったわ)
幸いにも、宿の部屋で話していたため、ゼルートたちの会話を聞いている者は誰もいなかった。
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