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兄の物語[80]仲間ではない?
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「皆、お待たせ~~」
手の痺れなど多少あるものの、フローラは間違いなく……自分の力だけでCランクの中でもトップクラスの戦闘力を持つ魔物、ワイバーンを討伐してみせた。
「はっはっは!! やるじゃねぇかフローラ! 最後の一撃とか、マジでぶっ飛んでたぜ!!」
「へへ、でしょ~~」
ワイバーンを仕留める際、フローラは自身の得物である戦斧で切断……するのではなく、敵の攻撃を防御したり受け流すことに使う盾で頭部を殴り、絶命させた。
「フローラ、あなたねぇ……」
「なんでそんな渋い顔してるの、ペトラ。私結構良い感じに戦えてたし、怪我も思わずに倒せたよ」
「それはそうなんだけど、最後の止めの刺し方はどうなのよ」
フローラが現在使用している盾はそこら辺の盾とは違い、非常に頑丈で頼りになる逸品。
人によっては、Bランクの冒険者が使っていてもおかしくないと思える品質の盾であり、ワイバーンの頭部に思いっきりぶつけたからといって、欠けたり砕けることはない。
「いやぁ~~、なんて言うか、こう……テンションが昂っちゃってさ。盾でも殺られるかな~って思って」
「……分かったわ。とりあえず、今はフローラが一人でワイバーンを討伐出来たことを喜びましょう」
今回の目的はワイバーンの上位種であるアインツワイバーンの討伐であるが、タンクであるフローラがワイバーンの攻撃を受け止められる、受け流せるだけではなく、ソロで討伐出来るようになったのは間違いなく大きな収穫である。
「にしてもよ、アインツワイバーンってのは、群れないワイバーンの上位種なんだろ。他のワイバーンが……縄張り? に入ってきたら、喧嘩になるもんじゃねぇのか?」
「…………どうなんでしょうね」
あんた程バカじゃないのよ、というのはさすがに失礼だと思い、グッと飲み込んだペトラ。
それなりの強さを持つ魔物の中には縄張り意識が強く、侵入してくる相手が同じ魔物であろうと人間であろうと、容赦なく襲い掛かることは珍しくない。
「単独で行動はするけど、同族が縄張りに入ってきても、自分の邪魔をしなければ特に争いはしないのかもね」
「つまり、さっきフローラが戦ったワイバーンはアインツワイバーンの仲間ではない、と思って良いかな」
「おそらくね」
先程の戦闘時、ワイバーンは猛り、吼えていた。
その声は森全体に……とまではいかずとも、かなり響き渡っており、アインツワイバーンが同族の声に反応していてもおかしくない。
しかし、クライレットたちが死体を回収し、既にその場から離れているとはいえ、高速で飛来し……襲い掛かってくる様子はない。
「もしかしてだけどよ、他のワイバーンはアインツワイバーンの強さに惚れて、この辺りに来てるとかあり得ねぇか?」
「魔物が強さに惚れて、ね。人間社会よりも正真正銘野性の世界で生きてることを考えると、割と否定出来ないかもしれないわね」
対象が亜竜とはいえ、ドラゴンということもあって、ペトラはバルガスの考えをバカの思い付きと一蹴することはなかった。
「そうなるとあれだね。私がさっき戦ったワイバーン以外にも、アインツワイバーンの強さに惚れたワイバーンが、この辺りに生息してるかもしれないってことにねるね」
「…………」
思わずペトラは黙ってしまった。
(ない、とは言えない。ワイバーンはそう頻繁に姿が確認出来る魔物ではないけど……はぁ~~~~。用心しておくに越したことはないわね)
この後、ペトラの用心は見事に的中。
この日の夕方手前に再度ワイバーンが飛来し、バルガスが意気揚々と一人で戦った。
そして二日後の探索時にも新たなワイバーンが現れ、今度はペトラが二人に負けじと一人で戦い、討伐した。
まだ目的の魔物には出会えていないが、大きな臨時収入が入り、四人ともホクホク顔になっていた。
手の痺れなど多少あるものの、フローラは間違いなく……自分の力だけでCランクの中でもトップクラスの戦闘力を持つ魔物、ワイバーンを討伐してみせた。
「はっはっは!! やるじゃねぇかフローラ! 最後の一撃とか、マジでぶっ飛んでたぜ!!」
「へへ、でしょ~~」
ワイバーンを仕留める際、フローラは自身の得物である戦斧で切断……するのではなく、敵の攻撃を防御したり受け流すことに使う盾で頭部を殴り、絶命させた。
「フローラ、あなたねぇ……」
「なんでそんな渋い顔してるの、ペトラ。私結構良い感じに戦えてたし、怪我も思わずに倒せたよ」
「それはそうなんだけど、最後の止めの刺し方はどうなのよ」
フローラが現在使用している盾はそこら辺の盾とは違い、非常に頑丈で頼りになる逸品。
人によっては、Bランクの冒険者が使っていてもおかしくないと思える品質の盾であり、ワイバーンの頭部に思いっきりぶつけたからといって、欠けたり砕けることはない。
「いやぁ~~、なんて言うか、こう……テンションが昂っちゃってさ。盾でも殺られるかな~って思って」
「……分かったわ。とりあえず、今はフローラが一人でワイバーンを討伐出来たことを喜びましょう」
今回の目的はワイバーンの上位種であるアインツワイバーンの討伐であるが、タンクであるフローラがワイバーンの攻撃を受け止められる、受け流せるだけではなく、ソロで討伐出来るようになったのは間違いなく大きな収穫である。
「にしてもよ、アインツワイバーンってのは、群れないワイバーンの上位種なんだろ。他のワイバーンが……縄張り? に入ってきたら、喧嘩になるもんじゃねぇのか?」
「…………どうなんでしょうね」
あんた程バカじゃないのよ、というのはさすがに失礼だと思い、グッと飲み込んだペトラ。
それなりの強さを持つ魔物の中には縄張り意識が強く、侵入してくる相手が同じ魔物であろうと人間であろうと、容赦なく襲い掛かることは珍しくない。
「単独で行動はするけど、同族が縄張りに入ってきても、自分の邪魔をしなければ特に争いはしないのかもね」
「つまり、さっきフローラが戦ったワイバーンはアインツワイバーンの仲間ではない、と思って良いかな」
「おそらくね」
先程の戦闘時、ワイバーンは猛り、吼えていた。
その声は森全体に……とまではいかずとも、かなり響き渡っており、アインツワイバーンが同族の声に反応していてもおかしくない。
しかし、クライレットたちが死体を回収し、既にその場から離れているとはいえ、高速で飛来し……襲い掛かってくる様子はない。
「もしかしてだけどよ、他のワイバーンはアインツワイバーンの強さに惚れて、この辺りに来てるとかあり得ねぇか?」
「魔物が強さに惚れて、ね。人間社会よりも正真正銘野性の世界で生きてることを考えると、割と否定出来ないかもしれないわね」
対象が亜竜とはいえ、ドラゴンということもあって、ペトラはバルガスの考えをバカの思い付きと一蹴することはなかった。
「そうなるとあれだね。私がさっき戦ったワイバーン以外にも、アインツワイバーンの強さに惚れたワイバーンが、この辺りに生息してるかもしれないってことにねるね」
「…………」
思わずペトラは黙ってしまった。
(ない、とは言えない。ワイバーンはそう頻繁に姿が確認出来る魔物ではないけど……はぁ~~~~。用心しておくに越したことはないわね)
この後、ペトラの用心は見事に的中。
この日の夕方手前に再度ワイバーンが飛来し、バルガスが意気揚々と一人で戦った。
そして二日後の探索時にも新たなワイバーンが現れ、今度はペトラが二人に負けじと一人で戦い、討伐した。
まだ目的の魔物には出会えていないが、大きな臨時収入が入り、四人ともホクホク顔になっていた。
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