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兄の物語[68]刺激
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「フローラ、そろそろ止めるか?」
「うん……そうだね。さすがに、疲れたかな」
軽く休息を挟みながら訓練を続け、数時間が経過した。
「クライレットは、まだ余裕そうだね」
「そんな事はないよ。あまり魔力と体力も残っていない」
魔力を完全に使いきってしまうと、大半の場合は強制的にシャットダウンしてしまうため、問題無い程度には残しているが……それでも半分以上は完全に消費していた。
「ちょっと早いけど、晩飯でも食べに行くか?」
「そうだね。まず、宿に戻って二人が生き返ってるか確認しないとね」
訓練場に用意されていた木剣などをしまし、二人は訓練場から……冒険者ギルドから出て行った。
「い、行ったな」
「そう、だね」
夕方手前という時間であれば、一番訓練場に人が集まり、解散し始める時間と言っても過言ではない。
今日もその例に漏れず、それなりの数の冒険者たちが訓練場に集まっていたが、大半の冒険者たちはクライレットとフローラの訓練光景に意識が集中してしまっていた。
「あれで冒険者になって数年ってのは、ちょっと信じられねぇな」
「男の人の方……名前はクライレットだったかな。彼は貴族の令息や令嬢たちが通う学園に通ってた筈だよ」
「ほ~~~ん。ん???? ちょっと待ってよ、ならなんで冒険者になったんだ?」
貴族に関する知識が薄くとも、貴族の令息が学園に通う主な理由は、騎士になること……もしくは、次期領主としての知識を得るため、といったことぐらいは予想出来る。
だからこそ、何故今現在、冒険者として活動してるのか理解出来なかった。
「えっと……確か、クライレットの両親が元冒険者、だった筈」
「????? どういうこった? クライレットって奴は、貴族の令息なんだろ? 両親共に冒険者なら……そいつは、平民出身なんじゃねぇのか」
そうとも言えないのだが、ちょっと考える頭が足りない若い男性冒険者がそう思ってしまうのも、無理はない。
「冒険者から騎士になる人も稀にいるでしょ。その中でも、クライレットの……親父さん? は、男爵の爵位を貰ったとか」
今現在はディスタール王国との戦争の際に得た戦果もあって、伯爵の地位についている。
「つまり、純粋な貴族って訳じゃねぇってことか」
「そういう事になるね」
「貴族の学園に通って……卒業? したのに、冒険者として活動してんのは、両親に憧れてるからか?」
「そうなんじゃないかな」
純粋な貴族ではなく、元冒険者である両親に憧れ、今現在冒険者として活動している。
それを知った男は、クライレットに対する負の感情がそれなりに薄れた。
「なるほどなぁ~~~。それなら、あれだけ強ぇのも納得っちゃ納得だな。つっても、あっちの……ハーフドワーフ? の女もかなり強かったけどな」
「強い人のところには、自然と強い人達が集まるってことじゃないかな。実際に、クライレットがリーダーのパーティーは、何回かBランクの魔物を倒したことがあるらしいし」
「っ……マジ?」
「実際にBランクの魔物を倒すところを見た訳じゃないけど、さっきまで行ってた模擬戦? の光景を見る限り、あり得ないとは言えないかな~~~~」
冒険者たち全員に視る眼が備わっているわけではないが、この二人に関してはある程度の観察眼は備わっていた。
「……それもそうか。バチバチ模擬戦してる最中も、真剣を使ってたわけじゃねぇしな」
「彼らぐらいの冒険者になれば、僕たちよりも良い装備を持ってるだろうしね……多分だけど、近々Bランクの昇格試験を受けたりするんだろうな」
「っ……Bランクの魔物を倒せる力があるなら、俺らとそんなに変わらねぇ歳で昇格試験が受けられても、おかしくはねぇか」
考える頭はやや足りない男ではあるが、それでも決して救いようがないバカではなかった。
「なぁ、どうするよ。もうちょいやってくか?」
「ふふ、そうだね。僕だって、まだま上を目指したいよ」
「へへ!! 同感だな!!!!!」
クライレットたちの存在は、良くも悪くも同じ若い世代たちにとって、大きな刺激となっていた。
「うん……そうだね。さすがに、疲れたかな」
軽く休息を挟みながら訓練を続け、数時間が経過した。
「クライレットは、まだ余裕そうだね」
「そんな事はないよ。あまり魔力と体力も残っていない」
魔力を完全に使いきってしまうと、大半の場合は強制的にシャットダウンしてしまうため、問題無い程度には残しているが……それでも半分以上は完全に消費していた。
「ちょっと早いけど、晩飯でも食べに行くか?」
「そうだね。まず、宿に戻って二人が生き返ってるか確認しないとね」
訓練場に用意されていた木剣などをしまし、二人は訓練場から……冒険者ギルドから出て行った。
「い、行ったな」
「そう、だね」
夕方手前という時間であれば、一番訓練場に人が集まり、解散し始める時間と言っても過言ではない。
今日もその例に漏れず、それなりの数の冒険者たちが訓練場に集まっていたが、大半の冒険者たちはクライレットとフローラの訓練光景に意識が集中してしまっていた。
「あれで冒険者になって数年ってのは、ちょっと信じられねぇな」
「男の人の方……名前はクライレットだったかな。彼は貴族の令息や令嬢たちが通う学園に通ってた筈だよ」
「ほ~~~ん。ん???? ちょっと待ってよ、ならなんで冒険者になったんだ?」
貴族に関する知識が薄くとも、貴族の令息が学園に通う主な理由は、騎士になること……もしくは、次期領主としての知識を得るため、といったことぐらいは予想出来る。
だからこそ、何故今現在、冒険者として活動してるのか理解出来なかった。
「えっと……確か、クライレットの両親が元冒険者、だった筈」
「????? どういうこった? クライレットって奴は、貴族の令息なんだろ? 両親共に冒険者なら……そいつは、平民出身なんじゃねぇのか」
そうとも言えないのだが、ちょっと考える頭が足りない若い男性冒険者がそう思ってしまうのも、無理はない。
「冒険者から騎士になる人も稀にいるでしょ。その中でも、クライレットの……親父さん? は、男爵の爵位を貰ったとか」
今現在はディスタール王国との戦争の際に得た戦果もあって、伯爵の地位についている。
「つまり、純粋な貴族って訳じゃねぇってことか」
「そういう事になるね」
「貴族の学園に通って……卒業? したのに、冒険者として活動してんのは、両親に憧れてるからか?」
「そうなんじゃないかな」
純粋な貴族ではなく、元冒険者である両親に憧れ、今現在冒険者として活動している。
それを知った男は、クライレットに対する負の感情がそれなりに薄れた。
「なるほどなぁ~~~。それなら、あれだけ強ぇのも納得っちゃ納得だな。つっても、あっちの……ハーフドワーフ? の女もかなり強かったけどな」
「強い人のところには、自然と強い人達が集まるってことじゃないかな。実際に、クライレットがリーダーのパーティーは、何回かBランクの魔物を倒したことがあるらしいし」
「っ……マジ?」
「実際にBランクの魔物を倒すところを見た訳じゃないけど、さっきまで行ってた模擬戦? の光景を見る限り、あり得ないとは言えないかな~~~~」
冒険者たち全員に視る眼が備わっているわけではないが、この二人に関してはある程度の観察眼は備わっていた。
「……それもそうか。バチバチ模擬戦してる最中も、真剣を使ってたわけじゃねぇしな」
「彼らぐらいの冒険者になれば、僕たちよりも良い装備を持ってるだろうしね……多分だけど、近々Bランクの昇格試験を受けたりするんだろうな」
「っ……Bランクの魔物を倒せる力があるなら、俺らとそんなに変わらねぇ歳で昇格試験が受けられても、おかしくはねぇか」
考える頭はやや足りない男ではあるが、それでも決して救いようがないバカではなかった。
「なぁ、どうするよ。もうちょいやってくか?」
「ふふ、そうだね。僕だって、まだま上を目指したいよ」
「へへ!! 同感だな!!!!!」
クライレットたちの存在は、良くも悪くも同じ若い世代たちにとって、大きな刺激となっていた。
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