901 / 1,043
連載
兄の物語[58]半端ではない
しおりを挟む
「水漣華です」
「これが……少々お待ちくださいませ」
ドーウルスに帰還したクライレットたちはその日に冒険者ギルドへ向かい、水漣華を提出。
直ぐに本物だと確認した職員は報奨金を用意。
「ついでに、売却したいモンスターの素材です」
「か、かしこまりました!!」
水漣華が咲いていた池? に到着するまでに魔物と交戦しており、当然の様に帰り道でも何度か襲われていた。
そして水漣華を除けば、一番の目玉はアクアヴァイパーの素材。
蛇系の魔物の中ではそれなりに珍しい個体であり、Cランク魔物ではあるが、それなりに良い値段が付いた。
「お待たせしました、こちらが買取金額になります」
「どうも」
ささっと買取金をしまい、クライレットたちは早歩きでギルドから出た。
その後、事前に予定した通り、普段使っている酒場ではなく、事前にリサーチしていたそれなりに良い料理店へと向かい、即刻料理を注文。
普段は行儀よく食べているペトラも、料理が来るなりナイフとフォークにを手を付け、食べて食べて食べまくる。
道中、アクアヴァイパーの肉などを食べており、空腹で空腹で死にそうといった状況ではなかったが、それでも疲労感は溜まっていた。
「ここの、店も、中々、美味いな」
「えぇ、そうね。また、来るのも、ありね」
「そういえば、アクアヴァイパーの素材、結構高く、売れたね」
「そうだね。厄介な力を、持ってるだけ、あって、本当に良い値段で、買い取ってもらえたよ」
食べながら喋るのは非常に行儀よくなのだが、今の四人はとにかく食べたかった。
バルガスはいつも通り、腹八分目など気にせず食べ……クライレットとフローラも普段から良く食べる方ではあるが、今回はリミッターを外していた。
そしてペトラも……今回は食べ過ぎて腹がぽっこりと膨れてしまうことなど気にせず、食べて食べて食べまくった。
「っぷは~~~~~~!!!! あぁ~~~~、食った食った!! 超美味かったな」
「あぁ、そうだね。本当に美味しかったよ……ただ、ちょっと食べ過ぎたね」
普段から食べる量を抑えている訳ではないが、クライレットは完全に腹八分目を越えたと言っても過言ではないほど食べた。
「ん~~~、幸せ~~~~。このまま寝ちゃいた~~~い」
「フローラ、その気持ちは解らなくもないけど、寝るのは宿屋に戻ってからにしなさい。それにしても……ふぅ~~。クライレットの言う通り、本当に食べ過ぎてしまったわね」
金の心配はしていない。
大量に持ち帰った魔物の買取金の大半が消えてしまうが、水漣華の採集依頼で得た報酬金まで使うことにはならない。
「ペトラにしちゃあ、珍しくがつがつ食ってたな」
「そうね……水中戦で思ったより削れてたのかもしれないわね。でも、削られ具合はクライレットの方が上かしら?」
「削られたかどうかは解らないけど、そうだね…………あれほどスリルがある逃走劇? は、本当に久しぶりだったね」
背後から水弾、水槍が連続で放たれ、水中という事もあって地上ほど上手く躱すことが出来ず、最後の最後は特大の水弾が放たれた。
何とか両足に風の魔力を盛大に纏い、思いっきり蹴ることで無事に地上へ戻ることが出来たが、完全に相殺しきることは出来なかった。
(水中の中で脚に風の魔力を纏い、蹴りながら移動する感覚は覚えたけど……だからといって、もう一回やりたいとは思わないね)
今回のアクアヴァイパーからの逃走劇は、文字通りスリルが半端ではなく、クライレットにはそのスリルを楽しむ余裕など全くなかった。
「クライレットがそこまで言うスリルか……ちっと気になるな」
「バルガス、今回ばかりは真似しようなんて思わない方が良いよ。改めて分かったけど、普段行っている地上での動きが出来ない状況は、とても不安感や焦り、危機感が大きくなる。地上で感じるスリルとは全くの別物だよ」
いつかはバルガスも水中で思いっきり戦う日が来るかもしれないが、とりあえずクライレットは今ここで忠告しておいた。
それほどまでに、今回の依頼は邪剣を持ったリザードマンジェネラルとの戦い以上に、危険度が高かった。
「これが……少々お待ちくださいませ」
ドーウルスに帰還したクライレットたちはその日に冒険者ギルドへ向かい、水漣華を提出。
直ぐに本物だと確認した職員は報奨金を用意。
「ついでに、売却したいモンスターの素材です」
「か、かしこまりました!!」
水漣華が咲いていた池? に到着するまでに魔物と交戦しており、当然の様に帰り道でも何度か襲われていた。
そして水漣華を除けば、一番の目玉はアクアヴァイパーの素材。
蛇系の魔物の中ではそれなりに珍しい個体であり、Cランク魔物ではあるが、それなりに良い値段が付いた。
「お待たせしました、こちらが買取金額になります」
「どうも」
ささっと買取金をしまい、クライレットたちは早歩きでギルドから出た。
その後、事前に予定した通り、普段使っている酒場ではなく、事前にリサーチしていたそれなりに良い料理店へと向かい、即刻料理を注文。
普段は行儀よく食べているペトラも、料理が来るなりナイフとフォークにを手を付け、食べて食べて食べまくる。
道中、アクアヴァイパーの肉などを食べており、空腹で空腹で死にそうといった状況ではなかったが、それでも疲労感は溜まっていた。
「ここの、店も、中々、美味いな」
「えぇ、そうね。また、来るのも、ありね」
「そういえば、アクアヴァイパーの素材、結構高く、売れたね」
「そうだね。厄介な力を、持ってるだけ、あって、本当に良い値段で、買い取ってもらえたよ」
食べながら喋るのは非常に行儀よくなのだが、今の四人はとにかく食べたかった。
バルガスはいつも通り、腹八分目など気にせず食べ……クライレットとフローラも普段から良く食べる方ではあるが、今回はリミッターを外していた。
そしてペトラも……今回は食べ過ぎて腹がぽっこりと膨れてしまうことなど気にせず、食べて食べて食べまくった。
「っぷは~~~~~~!!!! あぁ~~~~、食った食った!! 超美味かったな」
「あぁ、そうだね。本当に美味しかったよ……ただ、ちょっと食べ過ぎたね」
普段から食べる量を抑えている訳ではないが、クライレットは完全に腹八分目を越えたと言っても過言ではないほど食べた。
「ん~~~、幸せ~~~~。このまま寝ちゃいた~~~い」
「フローラ、その気持ちは解らなくもないけど、寝るのは宿屋に戻ってからにしなさい。それにしても……ふぅ~~。クライレットの言う通り、本当に食べ過ぎてしまったわね」
金の心配はしていない。
大量に持ち帰った魔物の買取金の大半が消えてしまうが、水漣華の採集依頼で得た報酬金まで使うことにはならない。
「ペトラにしちゃあ、珍しくがつがつ食ってたな」
「そうね……水中戦で思ったより削れてたのかもしれないわね。でも、削られ具合はクライレットの方が上かしら?」
「削られたかどうかは解らないけど、そうだね…………あれほどスリルがある逃走劇? は、本当に久しぶりだったね」
背後から水弾、水槍が連続で放たれ、水中という事もあって地上ほど上手く躱すことが出来ず、最後の最後は特大の水弾が放たれた。
何とか両足に風の魔力を盛大に纏い、思いっきり蹴ることで無事に地上へ戻ることが出来たが、完全に相殺しきることは出来なかった。
(水中の中で脚に風の魔力を纏い、蹴りながら移動する感覚は覚えたけど……だからといって、もう一回やりたいとは思わないね)
今回のアクアヴァイパーからの逃走劇は、文字通りスリルが半端ではなく、クライレットにはそのスリルを楽しむ余裕など全くなかった。
「クライレットがそこまで言うスリルか……ちっと気になるな」
「バルガス、今回ばかりは真似しようなんて思わない方が良いよ。改めて分かったけど、普段行っている地上での動きが出来ない状況は、とても不安感や焦り、危機感が大きくなる。地上で感じるスリルとは全くの別物だよ」
いつかはバルガスも水中で思いっきり戦う日が来るかもしれないが、とりあえずクライレットは今ここで忠告しておいた。
それほどまでに、今回の依頼は邪剣を持ったリザードマンジェネラルとの戦い以上に、危険度が高かった。
36
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。