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兄の物語[53]標準合わせ
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「……あれだな。今回ばかりは、ちっと不安が残んな」
これまで四人で固定パーティーを組んで活動してきたが、何度かばらけて行動することもあった。
寧ろ冒険者として活動していれば、固定パーティーとはいえ、いつも四人一緒に行動出来るとは限らない。
それでもバルガスは今までそういった状況になっても……特にリーダーであるクライレットの心配をしたことは一度もなかった。
「へ~~。バルガスにしては本当に珍しい不安だね」
「だってよ~、水中戦だぜぇ……フローレンスだって、水中戦がクソなのは知ってるだろ」
「まっ、そうだね。水中戦は本当にクソだよ。それは良く解ってる」
「だろ~~~~~。マジで……水中戦で戦うぐらいなら、俺面倒な交渉術? とか、そっち覚えてる方が気楽だわ」
水中は遊泳のスキルを会得すれば自由に泳ぐことができ、遊泳スキル効果によって水中の中限定ではあるが、肺活量が増える。
だが、それでも抵抗がある。
地上と動くのは訳が違う。
接近戦タイプ、魔法などを使う遠距離タイプ……どちらであっても、スキル技や魔力を使用することによって、地中を介して攻撃するという手段を行える。
しかし……魔物ではないため、地中を移動するという手段は基本的に取らない……取れないと言った方が正しい。
「なんで水中って、あんな動き辛ぇんだろうな」
「水中だから、としか言いようがないんじゃないの? もうちょい具体的に説明するってなると…………水は重くて、水中は全方向にその重い水があるから?」
「周り全部が重いから、か。そう考えると……うん、バカな俺でも解るな」
「そりゃ良かった。けど、確かに心配だよね~~~。これまで探索してきた場所ならまだしも、ドーウルス周辺の池ってなると……ちょっと恐ろしいもんねぇ」
「……だな」
クライレット以上に戦うことが大好きなバルガス。
ただ、決して正真正銘のバカではないため、今もこうしてパーティーメンバーであるフローラと話しながらも、決して気を抜いていない。
今……この時に限っては、あまりBランクの魔物とは遭遇したくないと思っている。
「つっても、俺らはこれからまだまだ強くなるんだ。ここら辺を探索してても、いちいちビビらねぇようにならないとな」
「…………バルガスって、偶にだけどカッコイイこと言うよね」
「いつもじゃねぇのかよ」
「普段はちょっとバカっぽいからね~~……私も、どんな攻撃でも対応出来るようにならないとね」
タンクの仕事は敵の攻撃を受け止めるだけではない。
冒険者として活動し始め、自分にはタンクという役割が向いていると思い始めた頃は……ただ相手の攻撃を受け止めれば良いと思っていたフローラ。
だが、タンクとして魔物と……人間と戦えば戦い続けるほど、ただ攻撃を受け止めれば良いだけではないと気付かされる。
「やっぱ、最終的にはAランクの魔物を……できればドラゴンをぶっ倒してぇしな」
「Aランクのドラゴン。これまた大きく出たね」
「そうか? 多分、クライレットだって同じことを考えてる筈だぜ」
「なら、最終的にはそこに標準を合わせていかないとねぇ…………でも、それならまずはBランクのドラゴンを焦ることなく、冷静に何度も倒せるようにならないとじゃない?」
「BランクとAランクの強さは段違いだろうけど、それもそうか。ってなると、ドラゴンと何度も戦える場所とかありゃ最高だな!!!」
「……ワイバーンでもそんなに楽勝じゃないのに、それ以上に強いドラゴンと連戦? バルガス、さすがにクライレットがどれだけ頼りになるとしても、私たちAランクに挑む前に死んじゃうよ」
「っ…………そいつは困るな」
「ちょっと気持ちが昂っちゃってるみたいだね。けど、目標が定まるのは良い事だし……二人が戻ってきたら、パーティー会議でも開こっか」
二人がこうして話している間にも池に水を飲みに来る魔物はいるが……今のところ、二人に襲い掛かる個体はいない。
正確に力量を測ることができ、自分の敗北リスクを考えられるのか、はたまた獣の直感…………二人も万が一に備えるため、自分たちから仕掛けることはなく極力無駄な戦闘は避けたいので好都合だった。
これまで四人で固定パーティーを組んで活動してきたが、何度かばらけて行動することもあった。
寧ろ冒険者として活動していれば、固定パーティーとはいえ、いつも四人一緒に行動出来るとは限らない。
それでもバルガスは今までそういった状況になっても……特にリーダーであるクライレットの心配をしたことは一度もなかった。
「へ~~。バルガスにしては本当に珍しい不安だね」
「だってよ~、水中戦だぜぇ……フローレンスだって、水中戦がクソなのは知ってるだろ」
「まっ、そうだね。水中戦は本当にクソだよ。それは良く解ってる」
「だろ~~~~~。マジで……水中戦で戦うぐらいなら、俺面倒な交渉術? とか、そっち覚えてる方が気楽だわ」
水中は遊泳のスキルを会得すれば自由に泳ぐことができ、遊泳スキル効果によって水中の中限定ではあるが、肺活量が増える。
だが、それでも抵抗がある。
地上と動くのは訳が違う。
接近戦タイプ、魔法などを使う遠距離タイプ……どちらであっても、スキル技や魔力を使用することによって、地中を介して攻撃するという手段を行える。
しかし……魔物ではないため、地中を移動するという手段は基本的に取らない……取れないと言った方が正しい。
「なんで水中って、あんな動き辛ぇんだろうな」
「水中だから、としか言いようがないんじゃないの? もうちょい具体的に説明するってなると…………水は重くて、水中は全方向にその重い水があるから?」
「周り全部が重いから、か。そう考えると……うん、バカな俺でも解るな」
「そりゃ良かった。けど、確かに心配だよね~~~。これまで探索してきた場所ならまだしも、ドーウルス周辺の池ってなると……ちょっと恐ろしいもんねぇ」
「……だな」
クライレット以上に戦うことが大好きなバルガス。
ただ、決して正真正銘のバカではないため、今もこうしてパーティーメンバーであるフローラと話しながらも、決して気を抜いていない。
今……この時に限っては、あまりBランクの魔物とは遭遇したくないと思っている。
「つっても、俺らはこれからまだまだ強くなるんだ。ここら辺を探索してても、いちいちビビらねぇようにならないとな」
「…………バルガスって、偶にだけどカッコイイこと言うよね」
「いつもじゃねぇのかよ」
「普段はちょっとバカっぽいからね~~……私も、どんな攻撃でも対応出来るようにならないとね」
タンクの仕事は敵の攻撃を受け止めるだけではない。
冒険者として活動し始め、自分にはタンクという役割が向いていると思い始めた頃は……ただ相手の攻撃を受け止めれば良いと思っていたフローラ。
だが、タンクとして魔物と……人間と戦えば戦い続けるほど、ただ攻撃を受け止めれば良いだけではないと気付かされる。
「やっぱ、最終的にはAランクの魔物を……できればドラゴンをぶっ倒してぇしな」
「Aランクのドラゴン。これまた大きく出たね」
「そうか? 多分、クライレットだって同じことを考えてる筈だぜ」
「なら、最終的にはそこに標準を合わせていかないとねぇ…………でも、それならまずはBランクのドラゴンを焦ることなく、冷静に何度も倒せるようにならないとじゃない?」
「BランクとAランクの強さは段違いだろうけど、それもそうか。ってなると、ドラゴンと何度も戦える場所とかありゃ最高だな!!!」
「……ワイバーンでもそんなに楽勝じゃないのに、それ以上に強いドラゴンと連戦? バルガス、さすがにクライレットがどれだけ頼りになるとしても、私たちAランクに挑む前に死んじゃうよ」
「っ…………そいつは困るな」
「ちょっと気持ちが昂っちゃってるみたいだね。けど、目標が定まるのは良い事だし……二人が戻ってきたら、パーティー会議でも開こっか」
二人がこうして話している間にも池に水を飲みに来る魔物はいるが……今のところ、二人に襲い掛かる個体はいない。
正確に力量を測ることができ、自分の敗北リスクを考えられるのか、はたまた獣の直感…………二人も万が一に備えるため、自分たちから仕掛けることはなく極力無駄な戦闘は避けたいので好都合だった。
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