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少年期[990]確信しかない

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ルーキーたちをラガールに合わせてから数時間後、昼食を食べ終わり、また来ると伝えてゼルートたちは下山。

(闇竜、か……そういえば、今までAランクのドラゴンと戦ったのは……なさそう、だな)

ラガールの話を聞く限り、もしかしたら非常に面倒な存在かもしれない。
だが……Aランクのドラゴン戦えるとなれば、話は別である。

「ゼルート、もしかしてラガールが話していた闇竜と遭遇したら、自分が戦おうと考えてないか」

「えっ? あっ、うん。そりゃな……そう考えるだろ」

「ふむ、それもそうだな。しかし、その機会が本当にあれば、私に譲ってほしい」

「「「「「「「っ!!??」」」」」」」

ルウナの発言にルーキーたちはギョッとした表情を浮かべる。

自殺志願者なのか? 彼らがそう思ってしまうのも無理はない。
ルウナが自分たちよりも圧倒的に強い存在であることは身に染みて理解している。

しかし、Aランクのドラゴンともなれば……文字通り次元の違う存在。
気軽に「いっちょドラゴンスレイヤーになってやるか!!!」といったノリで戦って倒せるような相手ではない。

「ん~~~~……アレナと一緒に戦うなら、譲っても良いぞ」

「ほほぅ~~。アレナ、ゼルートはこう言ってるが、どうだ?」

「えぇ、良いわ。本当にその機会があるなら、ルウナと一緒に戦うわ」

「「「「「「「っ!!??」」」」」」」

ルーキーたちは再度ギョッとした表情を浮かべるが、二人の言葉に……考えや決心には一切冗談など無い。

「ふっふっふ……どうしたんだ、アレナ。最近、闘志が漲っているじゃないか」

「ここ最近、思うところがあっただけよ」

戦る気満々の二人。

そんな中、一人のルーキーがこっそりとゼルートに尋ねた。

「あ、あの……ルウナさんとアレナさんは、本当にAランクのドラゴンを倒せるんですか?」

「はは、そうか。そう思うのも無理はないか。あの二人が本気で戦うところを見てないんだしな……バカってのはな、下手に身体能力や魔力量が増えたとしても、戦い方が上手くなることはないんだよ」

まだ冒険者歴二年目に突入した段階だが、それなりに大きな冒険者を視てきた。

そんな中で、改めて同じレベルの冒険者であっても、戦闘力が同じとは限らないと思った。

「ただ、あの二人がそんな愚行を犯すことはない。仮に万が一起こったとしても、即座に修正する力が二人にはある。まっ、俺が何を言いたいかというとだな……多分、二人で戦うのであれば、そこまで苦戦らしい苦戦はしないってことだな」

ゼルートの答えに……親バカ? 心が過ぎるのかと一瞬思ってしまったルーキー。

しかし、先程機会があればとタッグで戦うことを決めた二人から、全く緊張感を感じられず……そんな二人を後ろから見ているゼルートの表情にも、一切心配の色がなかった。

(ゼルートさんは本当に二人が勝てると思ってて、ルウナさんとアレナさんは本気で二人だけで倒すつもり、なんだ……本当に、凄いな)

ゼルートに尋ねたルーキーだけではなく、他の者たちも全員同じ内容を心の内で呟いた。


「んじゃ、俺たちがお前らの指導係をするのは今日までだ。ってな訳で、呑んで食って騒ぐぞ」

最終日の夜、ゼルートも含めて全員テンションが高いが、宴会はいつものことである。

ルーキーたちとしてはもっともっとゼルートたちから学びたいところだが、本来であれば自分たちの様な未熟者がゼルートたちの指導を受けることなどあり得ない。

その辺りの事情を冷静に考えられる頭は持っているため、感謝こそすれど駄々をこねる者は一人もいなかった。

ギルドとしても、休暇という名目で実家に帰ってきたゼルートに無茶を頼んだ、という自覚があるので「延長をお願いできますか?」なんて口が裂けても言えなかった。

その日以降、ゼルートたちは本当にザ・休暇を満喫し始め……ゼルートなど大半の時間を妹のセラルと過ごすのに使っていた。
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