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少年期[987]素直だからこそ
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「お前ら、準備は良いか?」
「「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」」
小声ではあるが、気合の入った返事を返すルーキーたち。
とはいえ、当然緊張していない訳がない。
ランクDの魔物が相手の時でさえ緊張していたことを考えれば、レベルがそこまで高くはないとはいえ、Cランクの魔物など……ビビり散らかして当然の相手。
しかし、後方部隊が矢を放ち、先制攻撃を行ったタイミングで、主力となるルーキーが気合一閃をぶちかます。
「まだまだっ!!!!」
誰か一人が我先にと挑む姿を見ると……自分もと闘争心が奮い立つ。
「うんうん、やっぱり皆根性があるな」
「根性という名の気合が戦闘で大事なのは解ってるけど、あの子たちの攻撃力じゃ、リザードの防御力には敵わないわよ」
「それぐらい解ってるって。でも、攻撃が全く効いてないわけじゃないだろ。ちゃんと格上が相手の時は、嫌がらせ攻撃を中心的に行えってアドバイスを実行出来てる」
ルーキーたちにとって、リザードが格上であることは重々承知している。
確かにレベルは十五とそこまで高くはないが、それでも持って生まれた鱗の固さなどは健在。
ただ……教え子という存在には割と過保護なところがあるゼルートは、リザードの様な敵に対する攻撃方法も教えていた。
「オラッ!!!!!」
「せいやっ!!!」
「放つよ!!!!」
「っ!!!???」
一対一の戦いでは、逆立ちしてもルーキーの中でリザードに敵う者は現時点でいない。
しかし、一度に十人も相手をしなければならないとなれば、話は別。
十人の中でも、特にこいつだけはまず潰さなければならない、と思える者がいない。
ただただ、全員嫌なところを攻撃してくる。
基本的には両目を狙い、その狙いに気付けば次は片足。
そこに気付けば次は別の足、次は尻尾、一周して両目……狙いをころころと変えて攻撃を行う。
バカではないが、決して賢くもないため、次はどの部分を攻撃されるかなど予想出来るわけがなく……徐々に徐々に傷が増え、広がっていく。
「はは! 良い感じじゃない?」
「そう、ね……ちょっと心配しすぎたかしら」
「いや、まぁ心配する気持ちは解る。ただ、やっぱりあいつらは本当に素直だ。その素直さが今、結果として現れている」
「うむ、子供は素直と言うが、あいつらは本当に素直だな」
年頃の子供、青年であれば指導者の指導に対して反発の一つや二つもしたくなるものだが、ルーキーたちはゼルートたちの指導に対し、文句ひとつ言わず反復と模擬戦、実戦を繰り返してきた。
一か月も経たないうちに実力が大幅に上がるという事はないが……弱点の修正や戦闘に対する思考の強化。
そうすることにより、戦闘力が上がったかのように錯覚することがある。
とはいえ、ルーキーたちはゼルートたちから口酸っぱく「実際のところは、劇的に戦闘力が上がった訳じゃないから、決して勘違いはしない様に」と伝えられているため、彼らは数分経った今でもしっかり嫌な部分に攻撃を行うという戦法を続けている。
「俺より年齢が上の奴もいるんだから、あんまり子供って言ってやるなよ」
「それもそうだな。さて……そろそろ決着が着きそうか?」
「そうだな……割と準備は整った。後は、メインの奴らが一歩踏み込めるかだ」
複数の傷を負っているとはいえ、それでも相手はCランクの魔物。
数で有利の状況が続いているとはいえ、油断すれば手痛い反撃を食らうことになる。
「ウィンドランス!!!!!」
「ジィアアアアアアッ!!!!!!」
数少ない、決して無視できない強攻撃が放たれるも、リザードはブレスを放ち、相殺。
「おぉおおおあああああああッ!!!!」
だが、正面の避けられない強攻撃を相殺することに意識が向き過ぎたため、頭上から降りかかる攻撃への対応が遅れた。
「って!? あ、あいつはどう、なっ、た…………ぜ、ゼルートさん!!!!」
「おぅ、おめでとう。皆」
十人という、そこそこ多い数ではあるものの、自分たちの力でCランクの魔物を討伐した。
その事実を噛みしめ……ルーキーたちは勝利の雄叫びを上げた。
「「「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」」」
小声ではあるが、気合の入った返事を返すルーキーたち。
とはいえ、当然緊張していない訳がない。
ランクDの魔物が相手の時でさえ緊張していたことを考えれば、レベルがそこまで高くはないとはいえ、Cランクの魔物など……ビビり散らかして当然の相手。
しかし、後方部隊が矢を放ち、先制攻撃を行ったタイミングで、主力となるルーキーが気合一閃をぶちかます。
「まだまだっ!!!!」
誰か一人が我先にと挑む姿を見ると……自分もと闘争心が奮い立つ。
「うんうん、やっぱり皆根性があるな」
「根性という名の気合が戦闘で大事なのは解ってるけど、あの子たちの攻撃力じゃ、リザードの防御力には敵わないわよ」
「それぐらい解ってるって。でも、攻撃が全く効いてないわけじゃないだろ。ちゃんと格上が相手の時は、嫌がらせ攻撃を中心的に行えってアドバイスを実行出来てる」
ルーキーたちにとって、リザードが格上であることは重々承知している。
確かにレベルは十五とそこまで高くはないが、それでも持って生まれた鱗の固さなどは健在。
ただ……教え子という存在には割と過保護なところがあるゼルートは、リザードの様な敵に対する攻撃方法も教えていた。
「オラッ!!!!!」
「せいやっ!!!」
「放つよ!!!!」
「っ!!!???」
一対一の戦いでは、逆立ちしてもルーキーの中でリザードに敵う者は現時点でいない。
しかし、一度に十人も相手をしなければならないとなれば、話は別。
十人の中でも、特にこいつだけはまず潰さなければならない、と思える者がいない。
ただただ、全員嫌なところを攻撃してくる。
基本的には両目を狙い、その狙いに気付けば次は片足。
そこに気付けば次は別の足、次は尻尾、一周して両目……狙いをころころと変えて攻撃を行う。
バカではないが、決して賢くもないため、次はどの部分を攻撃されるかなど予想出来るわけがなく……徐々に徐々に傷が増え、広がっていく。
「はは! 良い感じじゃない?」
「そう、ね……ちょっと心配しすぎたかしら」
「いや、まぁ心配する気持ちは解る。ただ、やっぱりあいつらは本当に素直だ。その素直さが今、結果として現れている」
「うむ、子供は素直と言うが、あいつらは本当に素直だな」
年頃の子供、青年であれば指導者の指導に対して反発の一つや二つもしたくなるものだが、ルーキーたちはゼルートたちの指導に対し、文句ひとつ言わず反復と模擬戦、実戦を繰り返してきた。
一か月も経たないうちに実力が大幅に上がるという事はないが……弱点の修正や戦闘に対する思考の強化。
そうすることにより、戦闘力が上がったかのように錯覚することがある。
とはいえ、ルーキーたちはゼルートたちから口酸っぱく「実際のところは、劇的に戦闘力が上がった訳じゃないから、決して勘違いはしない様に」と伝えられているため、彼らは数分経った今でもしっかり嫌な部分に攻撃を行うという戦法を続けている。
「俺より年齢が上の奴もいるんだから、あんまり子供って言ってやるなよ」
「それもそうだな。さて……そろそろ決着が着きそうか?」
「そうだな……割と準備は整った。後は、メインの奴らが一歩踏み込めるかだ」
複数の傷を負っているとはいえ、それでも相手はCランクの魔物。
数で有利の状況が続いているとはいえ、油断すれば手痛い反撃を食らうことになる。
「ウィンドランス!!!!!」
「ジィアアアアアアッ!!!!!!」
数少ない、決して無視できない強攻撃が放たれるも、リザードはブレスを放ち、相殺。
「おぉおおおあああああああッ!!!!」
だが、正面の避けられない強攻撃を相殺することに意識が向き過ぎたため、頭上から降りかかる攻撃への対応が遅れた。
「って!? あ、あいつはどう、なっ、た…………ぜ、ゼルートさん!!!!」
「おぅ、おめでとう。皆」
十人という、そこそこ多い数ではあるものの、自分たちの力でCランクの魔物を討伐した。
その事実を噛みしめ……ルーキーたちは勝利の雄叫びを上げた。
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