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少年期[984]諦めない為の準備
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「ほら、好きなだけ食べて良いぞ」
ゼルートがそう言うも……ルーキーたちは固まっていた。
訓練で疲れすぎて固まっているのではなく、目の前の料理が……明らかにいつも食べている物と違うからである。
「ぜ、ゼルートさん。こ、この肉はどのモンスターの肉、なんですか?」
「そいつは……ミノタウロスの亜種だったか? そっちはロックリザードの肉で、そっちはキングヴェノムサーペントの肉だ。安心しろ、ちゃんと毒はねぇから」
「「「「「……」」」」」
全くもって安心出来ない。
ルーキーであるが故に、まだモンスターの知識はさほど頭に入っていない。
しかし、ミノタウロスなどは強いモンスターの中でもメジャーな存在であり、ヴェノムサーペントに関しても、キングという名が付いているのであれば、名前に負けないそれ相応の強さを持っていることが解かる。
「ほら、さっさと冷める前に食べちまえ」
そう言われてようやく食事の手を動かし始めるルーキーたち。
「「「「「「「「「「っ!!??」」」」」」」」」」
当然と言えば当然の流れだが、ルーキーたちは高ランクの肉が使われた料理を食べた瞬間、衝撃が体を駆け巡った。
その後も衝撃は何度も何度も体を駆け巡り、ルーキーたちの中にはあまりの美味さに涙を流す者もいた。
「こ、このモンスターの肉は全部、ゼルートさんたちが倒した物ですね?」
「あぁ、そうだな。お前らも、強くなる為に努力し続ければ、こういう料理を自分たちの力で食べられることが出来るようになる」
「っ……本当に、出来るでしょうか」
ゼルートがとても気の良い人物であり、一切傲慢で不遜なところが見えない。
しかし、それでも貴族の生まれであることに変わりはない。
言っていしまえば品種改良の第一世代ではあるものの、その戦闘力は凡夫な表現では表せない。
そんな圧倒的過ぎる人物に少しでも追いつけるのか……そういった疑問を持ってしまうのも仕方ない。
「無理とは言えないな。要は、お前らがこの先どうやって己の実力を高めていくか、どれだけ冒険という行為に対して準備が出来るか……それを忘れずに行動し続ければ、自力で食えると俺は思ってるよ」
この世界にはレベルという概念が存在する。
一つレベルが上がる際に上昇する魔力量、身体能力の幅などには確かに差異が存在するが、それでも凡人であろうが、レベルを上げ続けることは不可能ではない。
「古臭くて、人によっては嫌いな言葉かもしれないけど、最後は諦めない事が大事だと思う。まっ、最後まで諦めないためにどうするかって方法を考えないとだけどな」
持ってる側の自分が言っても説得力はない。
そんな事は解りきっているが、まだまだこれからが本番の未来あるルーキーたちに伝えたかった。
「お、俺! 絶対に諦めずに最後まで戦うっす!!!」
「俺も!!!!」
「私も!! 絶対に最後まで戦います!!!!」
「分かった分かった。ちょっと落ち着け。さっきも言ったが、最後まで諦めずに戦うには、それ相応の準部が必要なんだ。体や魔力操作を鍛えるのも重要だが、頭も鍛えないとだぞ」
「「「「うっ!!……はい!!!!」」」」
何名かの脳筋組は渋い表情を浮かべるも、元気良くやってみせると返事をした。
そして昼食後、再び冒険者ギルドの訓練場に戻って訓練を再開……という流れだったが、涙を流す程美味すぎる料理を食べたルーキーたちの腹は男女関係無くパンパンであり、数十分の休憩が必要だった。
「ったく、仕方ないな。お前ら、少し休んでて良いけど、その場で座ったり寝転がったりせず、ゆっくり歩きながら休憩しろよ」
ゼルートに言われた通り、ルーキーたちはさっきまでとは違った理由で重い体を起こし、ゆっくりと訓練場を歩き回って腹の調子を整えていく。
ゼルートがそう言うも……ルーキーたちは固まっていた。
訓練で疲れすぎて固まっているのではなく、目の前の料理が……明らかにいつも食べている物と違うからである。
「ぜ、ゼルートさん。こ、この肉はどのモンスターの肉、なんですか?」
「そいつは……ミノタウロスの亜種だったか? そっちはロックリザードの肉で、そっちはキングヴェノムサーペントの肉だ。安心しろ、ちゃんと毒はねぇから」
「「「「「……」」」」」
全くもって安心出来ない。
ルーキーであるが故に、まだモンスターの知識はさほど頭に入っていない。
しかし、ミノタウロスなどは強いモンスターの中でもメジャーな存在であり、ヴェノムサーペントに関しても、キングという名が付いているのであれば、名前に負けないそれ相応の強さを持っていることが解かる。
「ほら、さっさと冷める前に食べちまえ」
そう言われてようやく食事の手を動かし始めるルーキーたち。
「「「「「「「「「「っ!!??」」」」」」」」」」
当然と言えば当然の流れだが、ルーキーたちは高ランクの肉が使われた料理を食べた瞬間、衝撃が体を駆け巡った。
その後も衝撃は何度も何度も体を駆け巡り、ルーキーたちの中にはあまりの美味さに涙を流す者もいた。
「こ、このモンスターの肉は全部、ゼルートさんたちが倒した物ですね?」
「あぁ、そうだな。お前らも、強くなる為に努力し続ければ、こういう料理を自分たちの力で食べられることが出来るようになる」
「っ……本当に、出来るでしょうか」
ゼルートがとても気の良い人物であり、一切傲慢で不遜なところが見えない。
しかし、それでも貴族の生まれであることに変わりはない。
言っていしまえば品種改良の第一世代ではあるものの、その戦闘力は凡夫な表現では表せない。
そんな圧倒的過ぎる人物に少しでも追いつけるのか……そういった疑問を持ってしまうのも仕方ない。
「無理とは言えないな。要は、お前らがこの先どうやって己の実力を高めていくか、どれだけ冒険という行為に対して準備が出来るか……それを忘れずに行動し続ければ、自力で食えると俺は思ってるよ」
この世界にはレベルという概念が存在する。
一つレベルが上がる際に上昇する魔力量、身体能力の幅などには確かに差異が存在するが、それでも凡人であろうが、レベルを上げ続けることは不可能ではない。
「古臭くて、人によっては嫌いな言葉かもしれないけど、最後は諦めない事が大事だと思う。まっ、最後まで諦めないためにどうするかって方法を考えないとだけどな」
持ってる側の自分が言っても説得力はない。
そんな事は解りきっているが、まだまだこれからが本番の未来あるルーキーたちに伝えたかった。
「お、俺! 絶対に諦めずに最後まで戦うっす!!!」
「俺も!!!!」
「私も!! 絶対に最後まで戦います!!!!」
「分かった分かった。ちょっと落ち着け。さっきも言ったが、最後まで諦めずに戦うには、それ相応の準部が必要なんだ。体や魔力操作を鍛えるのも重要だが、頭も鍛えないとだぞ」
「「「「うっ!!……はい!!!!」」」」
何名かの脳筋組は渋い表情を浮かべるも、元気良くやってみせると返事をした。
そして昼食後、再び冒険者ギルドの訓練場に戻って訓練を再開……という流れだったが、涙を流す程美味すぎる料理を食べたルーキーたちの腹は男女関係無くパンパンであり、数十分の休憩が必要だった。
「ったく、仕方ないな。お前ら、少し休んでて良いけど、その場で座ったり寝転がったりせず、ゆっくり歩きながら休憩しろよ」
ゼルートに言われた通り、ルーキーたちはさっきまでとは違った理由で重い体を起こし、ゆっくりと訓練場を歩き回って腹の調子を整えていく。
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