823 / 1,026
連載
少年期[981]憧れ襲来
しおりを挟む
(おいおい、こりゃあ……姉さんに負けず劣らずの才女だな)
もしかしたらという思いはあった。
それでも、実際に年齢以上の攻撃魔法が飛んできては、驚くなと言うのは無理な話である。
「はは!! 本当に強くなったな、セラル!」
「まだまだだよ!!!」
再度詠唱を行い、今度はファイヤーボールを三つ同時に放つ。
(火球の距離が近いって事は……まだ魔力操作はそこまでってところか。いや、今の歳を考えればコントロールを失わず、俺に火球をぶつけられるのは十分ハイレベルと言えるか)
今回もまたゼルートは同じ攻撃で相殺。
この後も違う属性の攻撃を何度か放つが、同じ光景が何度も繰り返されることになる。
「はぁ、はぁ、はぁ……もぅ、無理だよ~」
「よく頑張ったな、セラル。お兄ちゃん、結構びっくりしたよ」
「ほ、本当!?」
「あぁ、本当だよ」
ガレンは毎日書類仕事でそれなりに忙しいが、伯爵家の夫人であるレミアはそこまで忙しくはないため、セラルの訓練に付き合うことが多い。
煉獄姫の二つ名を持つレミアに魔法関連の指導を受けられる……これはレミアを知る世代の冒険者からすれば、喉から心臓が飛び出るほど羨ましいマンツーマン指導。
加えて、元々成長著しいと話題であり、当主と夫人……その子供たちの活躍もあって、ゲインルート家に仕えたいという者が激増している。
ガレンとレミアがそれなりに選んでいることもあり、優秀な人材がゲインルート家の戦力として増加。
レミアが他の夫人たちとお茶会を行っている時などは、その優秀な人材たちがセラルの指導を行っている。
それなりに礼儀作法などの勉強を行う時間もあるが、魔法や武器……戦闘に関するセンスを磨き、才能を開花させる環境は十分に整っている。
(冒険者の兄として、この成長は嬉しくあるが……純粋に兄として、嫁の貰い手があるかどうか……心配になるな)
妹の将来を心配していると、ここ最近ゲインルート家に仕え始め騎士、魔法使いたちがもじもじしながら近寄って来た。
「……何か御用でしょうか?」
「あ、あの……俺たちとも、その、模擬戦をしてもらえないでしょうか!」
「「「「「「「お願いします!!!」」」」」」」
彼ら、彼女たちにとってディスタール王国との戦争の際、初っ端から特大攻撃魔法を連続で放ち……その後、大ジャンプで超最前線に飛んだかと思えば、全力で敵国の兵士や騎士、冒険者たちに向かって喧嘩を売った。
そしてその咆哮を恐怖に変えるがごとく、一直線に大将の元へと向かい続けた。
プライドが高い者たちは否定するだろう。
高く面倒なプライドを持っておらずとも、納得出来ない者は納得出来ない。
しかし……その力が、圧倒的な破壊力が目に焼き付いた者は……同じ感想を抱いた。
彼等だけで、ゼルートたちだけで戦争を終わらせることが出来たかもしれないと。
そんな英雄が……覇王戦鬼の二つ名を持つ冒険者が目の前にいる。
そうとなれば、是非とも模擬戦をお願いしたいと思い、行動に移すのは当然の流れだった。
「えぇ、良いです。それじゃ、結界を張りますね」
ゼルートとしても、新しく実家に仕え始めた者たちと交流する良い機会だと思い、日が暮れるまで何度も何度も模擬戦を繰り返す。
当然、彼らの興味はゼルート以外のメンバーにも向けられており、ルウナやゲイルは嬉々として挑戦を受ける。
アレナも嫌な顔一つせずに挑戦を受け……結果、ゼルートたちが全戦全勝という結果となり、新しい家臣たちは更に忠誠心を高める結果となった。
(父さんと母さん、後団長たちが選んでるだけあって、皆並み以上の強さを持ってるな。向上心も高そうだし……拡大した街の治安とか、そこまで気にしなくても大丈夫そうだな)
その辺りをやや心配していたゼルートだが、治安に関してはゼルートがガレンに渡した錬金獣があるため、そもそも心配する必要がなかった。
もしかしたらという思いはあった。
それでも、実際に年齢以上の攻撃魔法が飛んできては、驚くなと言うのは無理な話である。
「はは!! 本当に強くなったな、セラル!」
「まだまだだよ!!!」
再度詠唱を行い、今度はファイヤーボールを三つ同時に放つ。
(火球の距離が近いって事は……まだ魔力操作はそこまでってところか。いや、今の歳を考えればコントロールを失わず、俺に火球をぶつけられるのは十分ハイレベルと言えるか)
今回もまたゼルートは同じ攻撃で相殺。
この後も違う属性の攻撃を何度か放つが、同じ光景が何度も繰り返されることになる。
「はぁ、はぁ、はぁ……もぅ、無理だよ~」
「よく頑張ったな、セラル。お兄ちゃん、結構びっくりしたよ」
「ほ、本当!?」
「あぁ、本当だよ」
ガレンは毎日書類仕事でそれなりに忙しいが、伯爵家の夫人であるレミアはそこまで忙しくはないため、セラルの訓練に付き合うことが多い。
煉獄姫の二つ名を持つレミアに魔法関連の指導を受けられる……これはレミアを知る世代の冒険者からすれば、喉から心臓が飛び出るほど羨ましいマンツーマン指導。
加えて、元々成長著しいと話題であり、当主と夫人……その子供たちの活躍もあって、ゲインルート家に仕えたいという者が激増している。
ガレンとレミアがそれなりに選んでいることもあり、優秀な人材がゲインルート家の戦力として増加。
レミアが他の夫人たちとお茶会を行っている時などは、その優秀な人材たちがセラルの指導を行っている。
それなりに礼儀作法などの勉強を行う時間もあるが、魔法や武器……戦闘に関するセンスを磨き、才能を開花させる環境は十分に整っている。
(冒険者の兄として、この成長は嬉しくあるが……純粋に兄として、嫁の貰い手があるかどうか……心配になるな)
妹の将来を心配していると、ここ最近ゲインルート家に仕え始め騎士、魔法使いたちがもじもじしながら近寄って来た。
「……何か御用でしょうか?」
「あ、あの……俺たちとも、その、模擬戦をしてもらえないでしょうか!」
「「「「「「「お願いします!!!」」」」」」」
彼ら、彼女たちにとってディスタール王国との戦争の際、初っ端から特大攻撃魔法を連続で放ち……その後、大ジャンプで超最前線に飛んだかと思えば、全力で敵国の兵士や騎士、冒険者たちに向かって喧嘩を売った。
そしてその咆哮を恐怖に変えるがごとく、一直線に大将の元へと向かい続けた。
プライドが高い者たちは否定するだろう。
高く面倒なプライドを持っておらずとも、納得出来ない者は納得出来ない。
しかし……その力が、圧倒的な破壊力が目に焼き付いた者は……同じ感想を抱いた。
彼等だけで、ゼルートたちだけで戦争を終わらせることが出来たかもしれないと。
そんな英雄が……覇王戦鬼の二つ名を持つ冒険者が目の前にいる。
そうとなれば、是非とも模擬戦をお願いしたいと思い、行動に移すのは当然の流れだった。
「えぇ、良いです。それじゃ、結界を張りますね」
ゼルートとしても、新しく実家に仕え始めた者たちと交流する良い機会だと思い、日が暮れるまで何度も何度も模擬戦を繰り返す。
当然、彼らの興味はゼルート以外のメンバーにも向けられており、ルウナやゲイルは嬉々として挑戦を受ける。
アレナも嫌な顔一つせずに挑戦を受け……結果、ゼルートたちが全戦全勝という結果となり、新しい家臣たちは更に忠誠心を高める結果となった。
(父さんと母さん、後団長たちが選んでるだけあって、皆並み以上の強さを持ってるな。向上心も高そうだし……拡大した街の治安とか、そこまで気にしなくても大丈夫そうだな)
その辺りをやや心配していたゼルートだが、治安に関してはゼルートがガレンに渡した錬金獣があるため、そもそも心配する必要がなかった。
56
お気に入りに追加
9,025
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
婚約破棄された私と、仲の良い友人達のお茶会
もふっとしたクリームパン
ファンタジー
国名や主人公たちの名前も決まってないふわっとした世界観です。書きたいとこだけ書きました。一応、ざまぁものですが、厳しいざまぁではないです。誰も不幸にはなりませんのであしからず。本編は女主人公視点です。*前編+中編+後編の三話と、メモ書き+おまけ、で完結。*カクヨム様にも投稿してます。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福論。〜飯作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺若葉
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
侯爵夫人は子育て要員でした。
シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。
楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。
初恋も一瞬でさめたわ。
まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。
離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。