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少年期[970]誇るにはまだ早い
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(足りない……この英雄を倒すには、まだ足りない!!!!!)
ガラックスが最初に捧げた寿命は……五年。
当然のことながら、五年というのは途方もない生命力の塊。
さすがに軽々と命を消費し過ぎでは? と思うかもしれない。
だが……事実として、五年という寿命を消費しても、ゼルートという英雄は戦闘中に笑顔を絶やさない。
まだ、彼の首筋に一度も刃が届いていない。
否が応でも突き付けられる現実に驚嘆こそすれど、更に命を消費することに躊躇いはなかった。
(おいおい、マジかよあんたっ!!!!!)
疾風迅雷とマックスの読み。
これで事足りると思っていたゼルートに大きな焦りが生まれた。
再度、ガラックスは五年の寿命を捧げた。
その結果……ゼルートの本能が強制的に二つの枷を解放した。
(まさか、ここで枷を解放することに、なるとはなっ!!!!)
公爵家が有する戦力を嘗めていた訳ではない。
それなりの戦力を有している事など、最初から解っていた。
ただ、それでもそれなりにという認識は消えない。
疾風迅雷を使う事はあるかもしれないが、さすがに枷は外さないだろうと油断していた。
(こ、これは……魔力の消費を、気にしてる余裕はありませんね)
(うわぁ~~~~~~、良いなぁ~~~~~~~!!! 僕も混ざりたい!!!!)
ラルは結界の維持に使用する魔力の残量を気にする余裕はないと判断。
ラームは……化け物の共演に混ざりたいと思いながらも、自分の仕事を全うしなければならないという理性はあった。
(準備しとかないと駄目ね)
アレナはアイテムバッグの中から魔力回復のポーションを取り出し、結界を維持してくれている二人に飲ませる。
「ふおおおお~~~~~~~」
因みに、ルウナは二人の結界が破れたらどうなるか……なんて考える余裕はなく、子供の様にゼルートとガラックスの激闘を観戦するのに夢中だった。
「…………」
ゲイルもルウナと殆ど同じ状態なのだが……ゲイルの場合、なまじ捧命の指輪を使用したガラックスと渡り合える実力がある為、先程から武者震いが一向に止まらない。
(ま、全く見えない)
(ガラックスさん……勝って、勝ってくれ!!!!!!!!)
五男と四男は全く戦況が解らなかった。
既に眼で追えない程の早さで動き続ける二人との差に絶望したのは……ほんの一瞬の話。
自分たちの師が全力で他国の英雄を……兄の仇を討とうとしている。
心の底から応援するには十分過ぎる理由である。
(っ!!!! 私たちが……私たちが、不甲斐ないばかりに!!!!)
(だ、駄目だ!!! あなたは、あなたはまだディスパディア公爵家にとって必要な、存在なんだ…………クソッ!!!!!!!!)
逆に次男と長男は、急激に身体能力が上昇した理由が解っているため……素直に心の底から応援できなかった。
ガラックスの想いは痛いほど解る。その想いが嬉しくない、訳がない。
だが……今でも頼れる師にその様な行動を取らせてしまった自分たちの弱さを……ただただ恥じる、涙が止まらない。
それでも、目の前の光景から目を逸らしてはいけない。
それだけは誰に言われなくとも解る。
(ゼルート殿の動きに、軽やかさが加わった!!!! ということは、今まで、何らかの、枷を装備していた、ということか…………ぬぅうううんんんんんんッ!!!!!!)
今はまだ、それを誇るべきではない。
気を抜けば一瞬でひっくり返される。
これまでの軌跡が、生死の懸かった激闘が脳裏に蘇り……先程までやや急激に上昇した身体能力に振り回されていたが、徐々に洗礼されていく。
(怪物にもほどがあるだろ、この爺さんッ!!!!! ったく、失礼だって解ってるのに、笑みが止められないだろッ!!!!!!!)
文字通り命を消費して自身に挑む相手に向ける表情ではない。
そんな事解っていても、止められないことがある。
ただ……残念なことに、楽しい時間はいつまでも続かなかった。
ガラックスが最初に捧げた寿命は……五年。
当然のことながら、五年というのは途方もない生命力の塊。
さすがに軽々と命を消費し過ぎでは? と思うかもしれない。
だが……事実として、五年という寿命を消費しても、ゼルートという英雄は戦闘中に笑顔を絶やさない。
まだ、彼の首筋に一度も刃が届いていない。
否が応でも突き付けられる現実に驚嘆こそすれど、更に命を消費することに躊躇いはなかった。
(おいおい、マジかよあんたっ!!!!!)
疾風迅雷とマックスの読み。
これで事足りると思っていたゼルートに大きな焦りが生まれた。
再度、ガラックスは五年の寿命を捧げた。
その結果……ゼルートの本能が強制的に二つの枷を解放した。
(まさか、ここで枷を解放することに、なるとはなっ!!!!)
公爵家が有する戦力を嘗めていた訳ではない。
それなりの戦力を有している事など、最初から解っていた。
ただ、それでもそれなりにという認識は消えない。
疾風迅雷を使う事はあるかもしれないが、さすがに枷は外さないだろうと油断していた。
(こ、これは……魔力の消費を、気にしてる余裕はありませんね)
(うわぁ~~~~~~、良いなぁ~~~~~~~!!! 僕も混ざりたい!!!!)
ラルは結界の維持に使用する魔力の残量を気にする余裕はないと判断。
ラームは……化け物の共演に混ざりたいと思いながらも、自分の仕事を全うしなければならないという理性はあった。
(準備しとかないと駄目ね)
アレナはアイテムバッグの中から魔力回復のポーションを取り出し、結界を維持してくれている二人に飲ませる。
「ふおおおお~~~~~~~」
因みに、ルウナは二人の結界が破れたらどうなるか……なんて考える余裕はなく、子供の様にゼルートとガラックスの激闘を観戦するのに夢中だった。
「…………」
ゲイルもルウナと殆ど同じ状態なのだが……ゲイルの場合、なまじ捧命の指輪を使用したガラックスと渡り合える実力がある為、先程から武者震いが一向に止まらない。
(ま、全く見えない)
(ガラックスさん……勝って、勝ってくれ!!!!!!!!)
五男と四男は全く戦況が解らなかった。
既に眼で追えない程の早さで動き続ける二人との差に絶望したのは……ほんの一瞬の話。
自分たちの師が全力で他国の英雄を……兄の仇を討とうとしている。
心の底から応援するには十分過ぎる理由である。
(っ!!!! 私たちが……私たちが、不甲斐ないばかりに!!!!)
(だ、駄目だ!!! あなたは、あなたはまだディスパディア公爵家にとって必要な、存在なんだ…………クソッ!!!!!!!!)
逆に次男と長男は、急激に身体能力が上昇した理由が解っているため……素直に心の底から応援できなかった。
ガラックスの想いは痛いほど解る。その想いが嬉しくない、訳がない。
だが……今でも頼れる師にその様な行動を取らせてしまった自分たちの弱さを……ただただ恥じる、涙が止まらない。
それでも、目の前の光景から目を逸らしてはいけない。
それだけは誰に言われなくとも解る。
(ゼルート殿の動きに、軽やかさが加わった!!!! ということは、今まで、何らかの、枷を装備していた、ということか…………ぬぅうううんんんんんんッ!!!!!!)
今はまだ、それを誇るべきではない。
気を抜けば一瞬でひっくり返される。
これまでの軌跡が、生死の懸かった激闘が脳裏に蘇り……先程までやや急激に上昇した身体能力に振り回されていたが、徐々に洗礼されていく。
(怪物にもほどがあるだろ、この爺さんッ!!!!! ったく、失礼だって解ってるのに、笑みが止められないだろッ!!!!!!!)
文字通り命を消費して自身に挑む相手に向ける表情ではない。
そんな事解っていても、止められないことがある。
ただ……残念なことに、楽しい時間はいつまでも続かなかった。
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