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少年期[949]一応確認
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本日手伝ってくれた料理人やウェイトレスたちは深々とゼルートに頭を下げて礼を伝え、自宅へと戻っていった。
「んじゃ、俺らも戻るか」
「そうね……満腹過ぎて、このまま寝てしまいたい気分」
「同意だ。私も幸せ過ぎて今すぐ寝れそうだ」
「二人とも、寝るのは構わないけどせめて宿で寝てくれ」
保護者みたく二人に注意するゼルートだが、今日一番働いていたゼルートが一番眠気が強い。
(明日には旅立って……いや、その前にギルドに行って報酬金貰わないとな)
ゼルートはアレナたちを先に返し、冒険者ギルドへ向かう。
「お、お待たせしました今回の報酬金額に、なります」
海鮮丼を作るという指名依頼の報酬金額は、一人分で金貨二十枚。
つまり……十人分で白金貨二枚となる。
今回の参加者たちは軽く百人は越えていたため、合計で白金貨二十枚以上の報酬金がが支払われた。
どんなに高額な報酬が支払われるとしても、白金貨二十枚以上という金額は……まずお目にかかることはない。
そしてギルドの職員であっても一度にそんな大金を持つ機会はまずないため、今回担当したギルド職員は両手をプルプルと震えさせながらも、白金貨一枚たりとも落とさずゼルートに渡すことに成功。
「どうも」
「あの、その……お、お疲れ様でした!!!!」
ギルド職員であれば、今日ゼルートが何を行っていたのか、当然知っている。
いつもは特に疲れた様子を見せないあのゼルートが……覇王戦鬼が疲れを特に隠していない。
勿論、今回担当した受付嬢には特に責任など無いが、それでも苦労を労わなければと思った。
「……ありがとうございます」
そんな受付嬢の優しさを感じ、思わず……ゼルートは無意識に微笑みながら軽く頭を下げた。
「ッ!!!!!」
次の瞬間、何故か受付嬢の胸に強烈な何かが刺さった。
ゼルートはまだ少年寄りの顔ではあるが、それでも濃密な冒険を経験してきたことで、凄みが出てきた。
ただ、そこに歳相応な……しかし大人にしか解らない苦労の色が加わり、何故か歳頃の女性に突き刺さる微笑スマイルが完成。
知らぬ前に歳上女性のハートを射抜いている事など気付くわけがなく、ゼルートもアレナたちに遅れて宿に到着。
既にアレナとルウナたちは爆睡状態。
「だぁ~~~~。つっ、かれた~~~~」
パパっと着替え、ベッドにダイブ。
数秒後には意識が夢の世界に飛び、ゼルートも爆睡。
そして翌日……九時ごろに一度起きたが、体の疲れが完全に抜けてなかった為、二度寝。
「ゼルート、どうするの? まだ寝るの?」
「……お前ら、体痛くないのか?」
「ちょっとダルさは残ってるけど、動けなくはないって感じね」
「私も似た様な感じだ」
「…………しゃぁない。動くしかないか」
仲間が基本的に普段と変わらないと言ってるのであれば、自分が動かない訳にはいかない。
無理矢理体を起こして遅めの昼食を食べ終えた後、ゼルートたちは直ぐにディスタール王国に行く……前に、自国の王都へと向かった。
「ゼルート、もう手紙でのやり取りは終ったのだろ。それなら、直接ディスタール王国に行っても良いのではないか?」
道中、ルウナはモヤモヤしていた内容をリーダーに尋ねる。
「俺もそう思ってたけど……一応、確認だけしておこうと思ってな」
「ゼルート……ちょっと訊くのが怖いけど訊く。王都に行って、誰に何を確認するつもりなの?」
「一応、バカ貴族や商人が絡んできたら、その場で潰しても良いって感じの許可は貰ってるけど、さすがに他国に関してはそういうの貰ってないだろ」
リーダーの言葉に、サーっと血の気が引くアレナ。
「だから、万が一ディスパディア家の連中がまたアホなことやらかそうとしたら、もう家ごと潰しても良いのか訊いておこうと思ってさ」
「………………」
バカだろ、アホだろ、頭おかし過ぎない? と色々ツッコミたいのだが……これまでの行動を知ってるため、何もツッコめずに黙るしかなかった。
「んじゃ、俺らも戻るか」
「そうね……満腹過ぎて、このまま寝てしまいたい気分」
「同意だ。私も幸せ過ぎて今すぐ寝れそうだ」
「二人とも、寝るのは構わないけどせめて宿で寝てくれ」
保護者みたく二人に注意するゼルートだが、今日一番働いていたゼルートが一番眠気が強い。
(明日には旅立って……いや、その前にギルドに行って報酬金貰わないとな)
ゼルートはアレナたちを先に返し、冒険者ギルドへ向かう。
「お、お待たせしました今回の報酬金額に、なります」
海鮮丼を作るという指名依頼の報酬金額は、一人分で金貨二十枚。
つまり……十人分で白金貨二枚となる。
今回の参加者たちは軽く百人は越えていたため、合計で白金貨二十枚以上の報酬金がが支払われた。
どんなに高額な報酬が支払われるとしても、白金貨二十枚以上という金額は……まずお目にかかることはない。
そしてギルドの職員であっても一度にそんな大金を持つ機会はまずないため、今回担当したギルド職員は両手をプルプルと震えさせながらも、白金貨一枚たりとも落とさずゼルートに渡すことに成功。
「どうも」
「あの、その……お、お疲れ様でした!!!!」
ギルド職員であれば、今日ゼルートが何を行っていたのか、当然知っている。
いつもは特に疲れた様子を見せないあのゼルートが……覇王戦鬼が疲れを特に隠していない。
勿論、今回担当した受付嬢には特に責任など無いが、それでも苦労を労わなければと思った。
「……ありがとうございます」
そんな受付嬢の優しさを感じ、思わず……ゼルートは無意識に微笑みながら軽く頭を下げた。
「ッ!!!!!」
次の瞬間、何故か受付嬢の胸に強烈な何かが刺さった。
ゼルートはまだ少年寄りの顔ではあるが、それでも濃密な冒険を経験してきたことで、凄みが出てきた。
ただ、そこに歳相応な……しかし大人にしか解らない苦労の色が加わり、何故か歳頃の女性に突き刺さる微笑スマイルが完成。
知らぬ前に歳上女性のハートを射抜いている事など気付くわけがなく、ゼルートもアレナたちに遅れて宿に到着。
既にアレナとルウナたちは爆睡状態。
「だぁ~~~~。つっ、かれた~~~~」
パパっと着替え、ベッドにダイブ。
数秒後には意識が夢の世界に飛び、ゼルートも爆睡。
そして翌日……九時ごろに一度起きたが、体の疲れが完全に抜けてなかった為、二度寝。
「ゼルート、どうするの? まだ寝るの?」
「……お前ら、体痛くないのか?」
「ちょっとダルさは残ってるけど、動けなくはないって感じね」
「私も似た様な感じだ」
「…………しゃぁない。動くしかないか」
仲間が基本的に普段と変わらないと言ってるのであれば、自分が動かない訳にはいかない。
無理矢理体を起こして遅めの昼食を食べ終えた後、ゼルートたちは直ぐにディスタール王国に行く……前に、自国の王都へと向かった。
「ゼルート、もう手紙でのやり取りは終ったのだろ。それなら、直接ディスタール王国に行っても良いのではないか?」
道中、ルウナはモヤモヤしていた内容をリーダーに尋ねる。
「俺もそう思ってたけど……一応、確認だけしておこうと思ってな」
「ゼルート……ちょっと訊くのが怖いけど訊く。王都に行って、誰に何を確認するつもりなの?」
「一応、バカ貴族や商人が絡んできたら、その場で潰しても良いって感じの許可は貰ってるけど、さすがに他国に関してはそういうの貰ってないだろ」
リーダーの言葉に、サーっと血の気が引くアレナ。
「だから、万が一ディスパディア家の連中がまたアホなことやらかそうとしたら、もう家ごと潰しても良いのか訊いておこうと思ってさ」
「………………」
バカだろ、アホだろ、頭おかし過ぎない? と色々ツッコミたいのだが……これまでの行動を知ってるため、何もツッコめずに黙るしかなかった。
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