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少年期[947]それでも雑にはならない
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「……頭おかしいぐらい集まったな」
「それぐらいゼルートさんの海鮮丼は美味いってことですよ!!!」
若いが腕が立つ料理人がゼルートの海鮮丼を絶賛する。
「ありがとうございます……はぁ~~~、それでは始めましょうか」
「「「「はいっ!!!」」」」
ゼルートの声と共に、海鮮丼の調理が始まった。
調理といっても、基本的にゼルートたちが行うのは解体と盛り付け。
事前に米は大量に準備しているため、おそらく注文が滞ることはない。
「はい、どうぞ」
「大量におかわりがあるそうだぞ」
アレナとルウナは配膳係として完成した海鮮丼を依頼者たちの元へ運ぶ。
「こちらが海鮮丼になる」
「どうぞ」
「どうぞ~~~ッ!!」
そしてゲイル、ラルにラームもモンスター体のまま二人と同じく配膳係として、出来上がった海鮮丼を運んで運んで運びまくる。
人の言葉を喋るリザードマンやドラゴン、スライムに配膳されるという貴重な体験。
一部の人間たちは、覇王戦鬼が調理に関わった海鮮丼を食べられるよりも、こちらの方が貴重な体験なのでは? と思っていた。
「手元に行った人たちから食べてくれ!!!!」
ゼルートが依頼者を招いていた場所には、数十人以上の者たちが無我夢中で海鮮丼を食べていた。
(何と言うか、ある意味圧巻の光景だよな)
シーサーペントの身を解体しながらチラッと客席を見て……無意識に溜息を吐く。
まだまだこれから長い戦いが続くのかと思うと、ため息が零れるのも仕方ないかもしれない。
(りょ、料理が出来るという情報は知ってましたけど、とんでもなく捌くのが速い!?)
(冒険者の中にも料理がそれなりに上手い奴はいるが、こいつは……ただ魚を捌いてるだけなのに、料理そのものが上手いと思わせる雰囲気があるな)
解る者には解る料理人として空気を纏うゼルートに驚く料理人たち。
ちなみに、身を捌いたり盛り付けを行う料理人達以外にも、依頼者たちに茶を配る給仕たちも参加している。
日給はゼルート持ちであるため、直ぐに人は集まった。
「……今から炊いておいた方が良さそうだな」
まだ依頼者たちが海鮮丼を食べ始めて十数分。
炊いていた米が尽きることはないが……心配になるほど、依頼者たちが海鮮丼を食べるスピードが速い。
貴族たちなどは染みついている動き故に、最初はゆっくりと海鮮丼という料理を味わっていた。
しかし……金に余裕がある冒険者組は、味わっていない訳ではないが……とにかく食べるスピードが速く、既に三杯目を食べている者もいる。
それを見た貴族や商人たちは……体面を取り繕うことを止め、同じく勢い良く食べだした。
そういった状況に加えて、酢飯にする時間なども考えれば、寧ろ不安しかない。
(ったく、朝から大量に作ってたのに……まっ、依頼者に冒険者もいれば当然か)
心の中で愚痴を吐きまくるも、その仕事っぷりが雑になることはなく、鑑定して捌いて炊いて……どれ一つ抜かりなく行う。
そんな本職が料理人ではないゼルートの姿に、一緒に仕事をしている料理人たちは敬意の念を持ち始めた。
「はぁ~~~~、さすがにもう入らねぇぜ」
「だっはっは!!! お前、腹大きくなり過ぎだろ! 妊娠中かよ!!」
「うっさいわね!! 本当に美味しかったんだからしょうがないでしょ!!!!」
冒険者は男女関係無く良く食べる者たちであるため、全員最低でも三杯以上は平らげ……中には十杯近く食べる者もいた。
「ふぅ、こんなに腹が膨れるまで食べたのはいつぶりだろう」
「恐るべし海鮮丼、ですね」
「いやはやその通りだな……気軽に食べられる時代がいつになるのか」
「口に出したら、食べ終えたばかりなのにお腹が空いてしまうのではないですか?」
「むっ。それもそうだな」
貴族の中には当主の妻たちもいたが……彼女たちも腹の様子など考えることなく食べ過ぎてしまった。
とはいえ、依頼者たちの中で食べ過ぎたことに後悔してる者は、誰一人としていなかった。
「ふぅーーーーーーー……疲れた。それじゃ、賄いを作りましょう」
第一陣の依頼者たちが去ったため、ゼルートたちは重い腰を下げる前にパパっと賄いを作り、昼食を食べ始めた。
「それぐらいゼルートさんの海鮮丼は美味いってことですよ!!!」
若いが腕が立つ料理人がゼルートの海鮮丼を絶賛する。
「ありがとうございます……はぁ~~~、それでは始めましょうか」
「「「「はいっ!!!」」」」
ゼルートの声と共に、海鮮丼の調理が始まった。
調理といっても、基本的にゼルートたちが行うのは解体と盛り付け。
事前に米は大量に準備しているため、おそらく注文が滞ることはない。
「はい、どうぞ」
「大量におかわりがあるそうだぞ」
アレナとルウナは配膳係として完成した海鮮丼を依頼者たちの元へ運ぶ。
「こちらが海鮮丼になる」
「どうぞ」
「どうぞ~~~ッ!!」
そしてゲイル、ラルにラームもモンスター体のまま二人と同じく配膳係として、出来上がった海鮮丼を運んで運んで運びまくる。
人の言葉を喋るリザードマンやドラゴン、スライムに配膳されるという貴重な体験。
一部の人間たちは、覇王戦鬼が調理に関わった海鮮丼を食べられるよりも、こちらの方が貴重な体験なのでは? と思っていた。
「手元に行った人たちから食べてくれ!!!!」
ゼルートが依頼者を招いていた場所には、数十人以上の者たちが無我夢中で海鮮丼を食べていた。
(何と言うか、ある意味圧巻の光景だよな)
シーサーペントの身を解体しながらチラッと客席を見て……無意識に溜息を吐く。
まだまだこれから長い戦いが続くのかと思うと、ため息が零れるのも仕方ないかもしれない。
(りょ、料理が出来るという情報は知ってましたけど、とんでもなく捌くのが速い!?)
(冒険者の中にも料理がそれなりに上手い奴はいるが、こいつは……ただ魚を捌いてるだけなのに、料理そのものが上手いと思わせる雰囲気があるな)
解る者には解る料理人として空気を纏うゼルートに驚く料理人たち。
ちなみに、身を捌いたり盛り付けを行う料理人達以外にも、依頼者たちに茶を配る給仕たちも参加している。
日給はゼルート持ちであるため、直ぐに人は集まった。
「……今から炊いておいた方が良さそうだな」
まだ依頼者たちが海鮮丼を食べ始めて十数分。
炊いていた米が尽きることはないが……心配になるほど、依頼者たちが海鮮丼を食べるスピードが速い。
貴族たちなどは染みついている動き故に、最初はゆっくりと海鮮丼という料理を味わっていた。
しかし……金に余裕がある冒険者組は、味わっていない訳ではないが……とにかく食べるスピードが速く、既に三杯目を食べている者もいる。
それを見た貴族や商人たちは……体面を取り繕うことを止め、同じく勢い良く食べだした。
そういった状況に加えて、酢飯にする時間なども考えれば、寧ろ不安しかない。
(ったく、朝から大量に作ってたのに……まっ、依頼者に冒険者もいれば当然か)
心の中で愚痴を吐きまくるも、その仕事っぷりが雑になることはなく、鑑定して捌いて炊いて……どれ一つ抜かりなく行う。
そんな本職が料理人ではないゼルートの姿に、一緒に仕事をしている料理人たちは敬意の念を持ち始めた。
「はぁ~~~~、さすがにもう入らねぇぜ」
「だっはっは!!! お前、腹大きくなり過ぎだろ! 妊娠中かよ!!」
「うっさいわね!! 本当に美味しかったんだからしょうがないでしょ!!!!」
冒険者は男女関係無く良く食べる者たちであるため、全員最低でも三杯以上は平らげ……中には十杯近く食べる者もいた。
「ふぅ、こんなに腹が膨れるまで食べたのはいつぶりだろう」
「恐るべし海鮮丼、ですね」
「いやはやその通りだな……気軽に食べられる時代がいつになるのか」
「口に出したら、食べ終えたばかりなのにお腹が空いてしまうのではないですか?」
「むっ。それもそうだな」
貴族の中には当主の妻たちもいたが……彼女たちも腹の様子など考えることなく食べ過ぎてしまった。
とはいえ、依頼者たちの中で食べ過ぎたことに後悔してる者は、誰一人としていなかった。
「ふぅーーーーーーー……疲れた。それじゃ、賄いを作りましょう」
第一陣の依頼者たちが去ったため、ゼルートたちは重い腰を下げる前にパパっと賄いを作り、昼食を食べ始めた。
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