773 / 1,049
連載
少年期[930]地上であれば
しおりを挟む
「はぁ~~~~……本当に良い階層だな」
強い魔物がうじゃうじゃといる方がゼルートの好みではあるが、そういった階層が多い中でのほぼビーチの空間。
即席の椅子をつくり、ルウナも含めて三人は日光浴を楽しんでいた。
「なぁ、商人達がここで商売すれば、どんな商品を割り増し価格で売っても売れるんじゃないか?」
「こういう階層があるダンジョンでは、そういった商売をする商売根性が逞しい証人もいるみたいだけど……まぁ、まず無理ね」
ゼルートの言葉をあっさりと両断。
そもそも商人ではないため、特に追及する意味はないが、無理だと断言する理由は知りたい。
「なんでそんな簡単に無理って断言するんだ?」
「ここは二十五階層。商売するにしても、ここまで辿り着ける実力がないと無理じゃない。高ランクの冒険者たちにキャリーしてもらうにしても、拠点を構えて以降も降りるまで護衛を頼めば、そこまで利益は取れないでしょうね」
ニ十階層のヴィールクラブを突破して二十一階層に転移できたとしても、そこから四階層は毎回降りなければならない。
コスパ面を考えると、決して良いとは言えない。
「それに、このダンジョンはどこにある?」
「……海中だな」
「そうよね。ダンジョンの中で戦闘の邪魔にならない実力を持っていたとしても、海中を泳いでこのダンジョンに無事到着できるか否か……まず無理でしょうね」
「なるほど。でも、商人からすればこの階層は、是非とも冒険者たちに採集依頼を出したいだろうな」
二十五階層には地上でも珍しい果実が多く実っている。
現在、ゼルートたちはその果実を口にしながらバカンスタイムを満喫している。
「色々と面倒な条件はあるけど、是非ともこの果実は欲しいでしょうね……うん、美味しい!!」
ちなみに、従魔組は透明度の高い海を自由に探索し、ゲイルたちなりにバカンスタイムを満喫していた。
(とりあえず、明日はあの小島を回ってみるか)
英気を養った翌日、二十五階層に存在する多数の小島を探索。
(海中にあってもおかしくない! って思ってたけど、普通に考えれば無理がある話だよな)
階層とは……階段。
当然ではあるが、海中に階段があれば海水が浸水していく。
そうなれば、結果として二十五階層以降の階層が水没……してもおかしくはない。
(それならそれで、次の階層へ続くか階段を探すのなんて簡単じゃんと思うかもしれないけど……中々に多くて遠いんだよな)
二十五階層はとんでもなく広い。
少々特殊な方法で移動するゼルートたちでなければ、小島から小島に移動するだけでそれなりの体力を消耗する。
(こりゃ小舟とか使って移動しないと、果てしなく面倒な移動だな……ビーチから離れたらそれなりに魔物もいるし、小型で移動は無理があるか?)
なにはともあれ、数時間後には二十六階層に続く階段を発見。
「……クソがっ!!!!」
マッピング担当であるゼルート……発見した階段が、正確にどの位置にあるのか忘れてしまい、飛んでわざわざ
二十五階層に降りる階段まで戻り、最初に見える小島から幾つ分の小島を移動すればいいのかを頭に叩き込む。
「はぁ~~~、ごめん。待たせた」
「全然待ってないわよ。それにしても、別にギルドに任されてる訳でもないのに頑張るわね」
「ん~~~……一応探索が終わればギルドに見せる訳だし、個人的に細かく書きたいって気持ちが強いんだよな」
適当にマッピングした地図をギルドに渡せば、後で自身の名誉が地に落ちる!!!! なんてことは一切頭になく、純粋に良い地図を書きたいという気持ちで探索を続け……一旦地上に戻る時間も含めて、七日後に三十階層へ到着。
「うぉ~~~、それっぽいボスじゃんか」
ボス部屋に佇む強敵は、ウォータードラゴンと三体のシーサーペント。
Bランクの魔物が一体とCランクの魔物が三体……ボス部屋の環境もあって、挑戦者たちの不利は否めないが、ゼルートたちはこれまで通り冷静に魔物たちの動きを観察しながら調査を進めた。
強い魔物がうじゃうじゃといる方がゼルートの好みではあるが、そういった階層が多い中でのほぼビーチの空間。
即席の椅子をつくり、ルウナも含めて三人は日光浴を楽しんでいた。
「なぁ、商人達がここで商売すれば、どんな商品を割り増し価格で売っても売れるんじゃないか?」
「こういう階層があるダンジョンでは、そういった商売をする商売根性が逞しい証人もいるみたいだけど……まぁ、まず無理ね」
ゼルートの言葉をあっさりと両断。
そもそも商人ではないため、特に追及する意味はないが、無理だと断言する理由は知りたい。
「なんでそんな簡単に無理って断言するんだ?」
「ここは二十五階層。商売するにしても、ここまで辿り着ける実力がないと無理じゃない。高ランクの冒険者たちにキャリーしてもらうにしても、拠点を構えて以降も降りるまで護衛を頼めば、そこまで利益は取れないでしょうね」
ニ十階層のヴィールクラブを突破して二十一階層に転移できたとしても、そこから四階層は毎回降りなければならない。
コスパ面を考えると、決して良いとは言えない。
「それに、このダンジョンはどこにある?」
「……海中だな」
「そうよね。ダンジョンの中で戦闘の邪魔にならない実力を持っていたとしても、海中を泳いでこのダンジョンに無事到着できるか否か……まず無理でしょうね」
「なるほど。でも、商人からすればこの階層は、是非とも冒険者たちに採集依頼を出したいだろうな」
二十五階層には地上でも珍しい果実が多く実っている。
現在、ゼルートたちはその果実を口にしながらバカンスタイムを満喫している。
「色々と面倒な条件はあるけど、是非ともこの果実は欲しいでしょうね……うん、美味しい!!」
ちなみに、従魔組は透明度の高い海を自由に探索し、ゲイルたちなりにバカンスタイムを満喫していた。
(とりあえず、明日はあの小島を回ってみるか)
英気を養った翌日、二十五階層に存在する多数の小島を探索。
(海中にあってもおかしくない! って思ってたけど、普通に考えれば無理がある話だよな)
階層とは……階段。
当然ではあるが、海中に階段があれば海水が浸水していく。
そうなれば、結果として二十五階層以降の階層が水没……してもおかしくはない。
(それならそれで、次の階層へ続くか階段を探すのなんて簡単じゃんと思うかもしれないけど……中々に多くて遠いんだよな)
二十五階層はとんでもなく広い。
少々特殊な方法で移動するゼルートたちでなければ、小島から小島に移動するだけでそれなりの体力を消耗する。
(こりゃ小舟とか使って移動しないと、果てしなく面倒な移動だな……ビーチから離れたらそれなりに魔物もいるし、小型で移動は無理があるか?)
なにはともあれ、数時間後には二十六階層に続く階段を発見。
「……クソがっ!!!!」
マッピング担当であるゼルート……発見した階段が、正確にどの位置にあるのか忘れてしまい、飛んでわざわざ
二十五階層に降りる階段まで戻り、最初に見える小島から幾つ分の小島を移動すればいいのかを頭に叩き込む。
「はぁ~~~、ごめん。待たせた」
「全然待ってないわよ。それにしても、別にギルドに任されてる訳でもないのに頑張るわね」
「ん~~~……一応探索が終わればギルドに見せる訳だし、個人的に細かく書きたいって気持ちが強いんだよな」
適当にマッピングした地図をギルドに渡せば、後で自身の名誉が地に落ちる!!!! なんてことは一切頭になく、純粋に良い地図を書きたいという気持ちで探索を続け……一旦地上に戻る時間も含めて、七日後に三十階層へ到着。
「うぉ~~~、それっぽいボスじゃんか」
ボス部屋に佇む強敵は、ウォータードラゴンと三体のシーサーペント。
Bランクの魔物が一体とCランクの魔物が三体……ボス部屋の環境もあって、挑戦者たちの不利は否めないが、ゼルートたちはこれまで通り冷静に魔物たちの動きを観察しながら調査を進めた。
47
お気に入りに追加
9,024
あなたにおすすめの小説
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。