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少年期[912]一度手にした者の実力は……
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「名刀、三日月を強奪した人物は、確かに海賊でした」
商会の会長が感謝の言葉を述べ終ると、唐突にゼルートは喋り始めた。
「名刀を手にしてから、半年も経っていない……にも関わらず、扱っていた頭目の男は、名刀の強さに一切振り回されていませんでした」
いきなり何を喋り始めているのか、理解出来ない。
理解出来ない……が、会長は何故か言葉を聞き漏らしてはならないと思い、真剣に耳を傾けた。
「刀という武器は、個人的にロングソード、短剣や槍、戦斧などの武器と比べて、一番扱うのに苦労する武器だと、個人的に思っています」
近しい武器で言えば、細剣……レイピアなどの武器があるが、ゼルートの意見としては扱いの難易度は刀の方が上だった。
「そんな武器を誰かに教わることなく、奪った頭目はまるで一流の剣士……剣客の様に扱っていました。正直、実際に戦っている最中……もし、この男が自分と近いしい身体能力を持っていれば、と思いました」
それはゼルートの紛れもない本音。
もっと相手の実力が高ければ良かったなど、普通は考えもしない。
同じ冒険者という人種であったとしても、生き残って勝つことを最優先に考える者として、そんなことを考える者は殆どいない。
それは実際に発言したゼルートも理解はしている。
会長にとってゼルートの言葉は理解し難いが、そういう人種がいることは解っているため、驚きを表に出さず聞き続ける。
「そして戦闘の最中、頭目の男は三日月の扱いだけではなく、全ての動きが格段に……恐ろしい速度で上がっていきました」
「…………」
戦争を殆ど己の力で、一人で終わらせたと言っても過言ではない男の口から、恐ろしいという言葉が零れた。
(そんな男がいたとは……本当に、ゼルートさんに頼んで良かった)
Bランク冒険者たちに頼んでいれば、全滅させられた可能性があった。
Aランクになりたての冒険者であっても危ない……そう思った会長の考えは決して間違ってはおらず、ゼルートたちに頼んだのは間違いなくベストな判断と言える。
「名刀、三日月を注文した方が戦闘者であれば……あの男に負けない様にと、伝えてもらえると幸いです」
「分りました。必ず伝えます」
ゼルートとしては、商会の立場などを考えれば、言葉をそのまま伝えることは難しいと解っている。
なので、出来ればで構わないと伝えた。
しかし、会長からすれば国を勝利に導いた英雄の言葉を伝えない、という選択肢はあり得ない。
そして注文者が何を考えて名刀を注文したのかを知っているため、必ず伝えなければと心に誓った。
「そんな強者がいたとは……私もゼルートたちと共に行動していれば」
ギルド、商会への報告が終わったあと、高級レストランで飲み食いしている三人。
そんな中、ルウナは自分の感想をそのまま口にした。
ルウナたちも大陸側を拠点としている海賊を討伐はしたが、心の底から満足出来る戦いはなかった。
「正直、本当にびっくりしたな。あんな男が海賊なんてやってんのかって……色々と事情はあるだろうけど、心の底から勿体ないって思ったよ」
「へぇ~~~……そんな凄い人が海賊なんてやってたのね」
ルウナの様に、ゼルートと共に行動していれば強い強敵と戦えた……なんて考えは持たないアレナだが、それでもゼルートがここまで褒める人物に、興味を持たずにはいられなかった。
「技術だけでいえば、俺と戦ってる時点で、既に剣豪って言えるレベルだったと思う。後もう少しだけレベルを上げて、身体能力を高めれば……ルウナもかなり満足出来ただろうな」
「むぅ……現時点で足りない部分があったとしても、是非とも戦ってみたいかったな」
商会会長と同様に、ゼルートが敵でありながらベタ褒めするほどの戦闘者。
ルウナは改めてゼルートと共に行動しなかったことを悔いた。
商会の会長が感謝の言葉を述べ終ると、唐突にゼルートは喋り始めた。
「名刀を手にしてから、半年も経っていない……にも関わらず、扱っていた頭目の男は、名刀の強さに一切振り回されていませんでした」
いきなり何を喋り始めているのか、理解出来ない。
理解出来ない……が、会長は何故か言葉を聞き漏らしてはならないと思い、真剣に耳を傾けた。
「刀という武器は、個人的にロングソード、短剣や槍、戦斧などの武器と比べて、一番扱うのに苦労する武器だと、個人的に思っています」
近しい武器で言えば、細剣……レイピアなどの武器があるが、ゼルートの意見としては扱いの難易度は刀の方が上だった。
「そんな武器を誰かに教わることなく、奪った頭目はまるで一流の剣士……剣客の様に扱っていました。正直、実際に戦っている最中……もし、この男が自分と近いしい身体能力を持っていれば、と思いました」
それはゼルートの紛れもない本音。
もっと相手の実力が高ければ良かったなど、普通は考えもしない。
同じ冒険者という人種であったとしても、生き残って勝つことを最優先に考える者として、そんなことを考える者は殆どいない。
それは実際に発言したゼルートも理解はしている。
会長にとってゼルートの言葉は理解し難いが、そういう人種がいることは解っているため、驚きを表に出さず聞き続ける。
「そして戦闘の最中、頭目の男は三日月の扱いだけではなく、全ての動きが格段に……恐ろしい速度で上がっていきました」
「…………」
戦争を殆ど己の力で、一人で終わらせたと言っても過言ではない男の口から、恐ろしいという言葉が零れた。
(そんな男がいたとは……本当に、ゼルートさんに頼んで良かった)
Bランク冒険者たちに頼んでいれば、全滅させられた可能性があった。
Aランクになりたての冒険者であっても危ない……そう思った会長の考えは決して間違ってはおらず、ゼルートたちに頼んだのは間違いなくベストな判断と言える。
「名刀、三日月を注文した方が戦闘者であれば……あの男に負けない様にと、伝えてもらえると幸いです」
「分りました。必ず伝えます」
ゼルートとしては、商会の立場などを考えれば、言葉をそのまま伝えることは難しいと解っている。
なので、出来ればで構わないと伝えた。
しかし、会長からすれば国を勝利に導いた英雄の言葉を伝えない、という選択肢はあり得ない。
そして注文者が何を考えて名刀を注文したのかを知っているため、必ず伝えなければと心に誓った。
「そんな強者がいたとは……私もゼルートたちと共に行動していれば」
ギルド、商会への報告が終わったあと、高級レストランで飲み食いしている三人。
そんな中、ルウナは自分の感想をそのまま口にした。
ルウナたちも大陸側を拠点としている海賊を討伐はしたが、心の底から満足出来る戦いはなかった。
「正直、本当にびっくりしたな。あんな男が海賊なんてやってんのかって……色々と事情はあるだろうけど、心の底から勿体ないって思ったよ」
「へぇ~~~……そんな凄い人が海賊なんてやってたのね」
ルウナの様に、ゼルートと共に行動していれば強い強敵と戦えた……なんて考えは持たないアレナだが、それでもゼルートがここまで褒める人物に、興味を持たずにはいられなかった。
「技術だけでいえば、俺と戦ってる時点で、既に剣豪って言えるレベルだったと思う。後もう少しだけレベルを上げて、身体能力を高めれば……ルウナもかなり満足出来ただろうな」
「むぅ……現時点で足りない部分があったとしても、是非とも戦ってみたいかったな」
商会会長と同様に、ゼルートが敵でありながらベタ褒めするほどの戦闘者。
ルウナは改めてゼルートと共に行動しなかったことを悔いた。
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