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少年期[897]明日も明後日も
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「はぁ~~~、腹減ったな」
十分に海を満喫した三人は、昼食を食べにレストランが多い場所へ向かっていた。
「何が食べたい、って訊かなくても良いよな」
「えぇ、そうね」
「今も明日も明後日も、海鮮が食べたい気分は変わらない」
先日の露店や、宿屋の夕食でも食べたが、それでもまだまだ食べ足りない三人。
ゲイルたちも同じ気持ちなため、ゼルートたちは迷うことなく海鮮系がメインの店に入ろうと決めた。
勿論料理店は海鮮がメインの店が多い。
そこで、今回はラルが一番食欲がそそられる店に決めた。
「すいません」
入店後、直ぐに従業員に事情を説明し、ゼルートたちはゼルートたちで好きなようにメニューを食べ始めた。
モンスターと戦ったり、模擬戦を何回も行っていた訳ではない。
ただ……それでも、全身を使って動き回ていたため、それなりに腹を空かせた状態になっていた。
海鮮料理が運ばれてくると、三人は勢い良く食べ始める。
アレナも上品な食べ方はいつもと変わらないが、それでも食べるペースがいつもより早い。
最初からテーブルに収まらない量の料理を注文していたが、十分も経てばなくなるだろうと思い、ゼルートは直ぐに追加で注文。
三人があのゼルートたちだと周囲の客たちが気付き始めたこともあり、多くの視線を向けられる三人。
だが、今の三人にはそんな視線を気にする余裕はなく、全力で海鮮料理を堪能することだけを楽しんでいた。
「ふぅ~~、かなり腹一杯になってきたな」
「そう、ね。少し食べ過ぎたかも」
後悔はない。後悔はないが、少々食べ過ぎたと感じ、腹回りが少し気になるアレナ。
「うん、そこそこ食べたな……まっ、動けば直ぐ元通りになるだろ」
「それもそうね」
休息するためにラルフロンに来た。
その思いは決して変わらないが、それはそれでこれはこれ。
女性であれば、冒険者という職業に就いてても、そういった部分は気になる。
であれば……動いて元通りにするのが一番手っ取り早い。
もう数品を食べ終えた後、ゼルートはゲイルたちが食べた分も合わせて、会計を行う。
その金額を耳にした他の客たちは、一斉に吹いた。
「多分丁度です」
サラッと店員から伝えられた金額を支払うゼルート。
その光景に更に驚く客たちだが……ゼルートからすれば、もう何度も体験した状況。
(解る、そうなるわよね)
そっち側に足を踏み入れつつも、一般人側の思いが理解出来るアレナ。
金額としては、どう見ても一回の食事量とは思えない額。
そんな額を、サラッと払うゼルートに、驚くなと言うのは無理な話。
多くのモンスターを倒して、ダンジョンに何度も戻ってて、戦争で大活躍して貴族になったのを考えれば、何もおかしくない……とは言えないし、思えない。
それが他の客たち、全員の本音だった。
「はぁ~~、超美味かった」
「また来たいわね」
「一か月以上は滞在するんだろ? なら、絶対にまた来れるじゃないか」
海に戻る間、ゼルートたちは次に訪れたいレストランを探していた。
「んじゃ、これを使って遊ぼう」
「ボール、よね?」
「ボールだけど、そんなに固くないぞ」
錬金術を使って生み出したボールを渡されたアレナは、直ぐに固くないという言葉を体感。
「本当ね。でも、これでどうやって遊ぶの?」
「別に難しいことじゃ……いや、若干難しいか」
ゼルートはバレーボールの対人スパイクについて軽く説明を行った。
現在三人がいる場所はビーチの中でも超端っこの位置なこともあり、全く客がいないと言っても過言ではない。
「俺も初めてだし、覚えながら楽しもうぜ」
よっぽどセンスがなければ、最初から上手く出来ない。
身体能力が一般人と比べて馬鹿みたいに高い三人でも、最初からプロ並み行うことは出来ないが……一時間も経てば、ラリーが一瞬で終わることはなく、レシーブもそれなりにものになっていた。
特に細かいルールもなく、単純な遊びではあるが、三人は夢中で交代しながら繰り返し、気付けばあっという間に日が沈みかけていた。
十分に海を満喫した三人は、昼食を食べにレストランが多い場所へ向かっていた。
「何が食べたい、って訊かなくても良いよな」
「えぇ、そうね」
「今も明日も明後日も、海鮮が食べたい気分は変わらない」
先日の露店や、宿屋の夕食でも食べたが、それでもまだまだ食べ足りない三人。
ゲイルたちも同じ気持ちなため、ゼルートたちは迷うことなく海鮮系がメインの店に入ろうと決めた。
勿論料理店は海鮮がメインの店が多い。
そこで、今回はラルが一番食欲がそそられる店に決めた。
「すいません」
入店後、直ぐに従業員に事情を説明し、ゼルートたちはゼルートたちで好きなようにメニューを食べ始めた。
モンスターと戦ったり、模擬戦を何回も行っていた訳ではない。
ただ……それでも、全身を使って動き回ていたため、それなりに腹を空かせた状態になっていた。
海鮮料理が運ばれてくると、三人は勢い良く食べ始める。
アレナも上品な食べ方はいつもと変わらないが、それでも食べるペースがいつもより早い。
最初からテーブルに収まらない量の料理を注文していたが、十分も経てばなくなるだろうと思い、ゼルートは直ぐに追加で注文。
三人があのゼルートたちだと周囲の客たちが気付き始めたこともあり、多くの視線を向けられる三人。
だが、今の三人にはそんな視線を気にする余裕はなく、全力で海鮮料理を堪能することだけを楽しんでいた。
「ふぅ~~、かなり腹一杯になってきたな」
「そう、ね。少し食べ過ぎたかも」
後悔はない。後悔はないが、少々食べ過ぎたと感じ、腹回りが少し気になるアレナ。
「うん、そこそこ食べたな……まっ、動けば直ぐ元通りになるだろ」
「それもそうね」
休息するためにラルフロンに来た。
その思いは決して変わらないが、それはそれでこれはこれ。
女性であれば、冒険者という職業に就いてても、そういった部分は気になる。
であれば……動いて元通りにするのが一番手っ取り早い。
もう数品を食べ終えた後、ゼルートはゲイルたちが食べた分も合わせて、会計を行う。
その金額を耳にした他の客たちは、一斉に吹いた。
「多分丁度です」
サラッと店員から伝えられた金額を支払うゼルート。
その光景に更に驚く客たちだが……ゼルートからすれば、もう何度も体験した状況。
(解る、そうなるわよね)
そっち側に足を踏み入れつつも、一般人側の思いが理解出来るアレナ。
金額としては、どう見ても一回の食事量とは思えない額。
そんな額を、サラッと払うゼルートに、驚くなと言うのは無理な話。
多くのモンスターを倒して、ダンジョンに何度も戻ってて、戦争で大活躍して貴族になったのを考えれば、何もおかしくない……とは言えないし、思えない。
それが他の客たち、全員の本音だった。
「はぁ~~、超美味かった」
「また来たいわね」
「一か月以上は滞在するんだろ? なら、絶対にまた来れるじゃないか」
海に戻る間、ゼルートたちは次に訪れたいレストランを探していた。
「んじゃ、これを使って遊ぼう」
「ボール、よね?」
「ボールだけど、そんなに固くないぞ」
錬金術を使って生み出したボールを渡されたアレナは、直ぐに固くないという言葉を体感。
「本当ね。でも、これでどうやって遊ぶの?」
「別に難しいことじゃ……いや、若干難しいか」
ゼルートはバレーボールの対人スパイクについて軽く説明を行った。
現在三人がいる場所はビーチの中でも超端っこの位置なこともあり、全く客がいないと言っても過言ではない。
「俺も初めてだし、覚えながら楽しもうぜ」
よっぽどセンスがなければ、最初から上手く出来ない。
身体能力が一般人と比べて馬鹿みたいに高い三人でも、最初からプロ並み行うことは出来ないが……一時間も経てば、ラリーが一瞬で終わることはなく、レシーブもそれなりにものになっていた。
特に細かいルールもなく、単純な遊びではあるが、三人は夢中で交代しながら繰り返し、気付けばあっという間に日が沈みかけていた。
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