740 / 1,028
連載
少年期[897]明日も明後日も
しおりを挟む
「はぁ~~~、腹減ったな」
十分に海を満喫した三人は、昼食を食べにレストランが多い場所へ向かっていた。
「何が食べたい、って訊かなくても良いよな」
「えぇ、そうね」
「今も明日も明後日も、海鮮が食べたい気分は変わらない」
先日の露店や、宿屋の夕食でも食べたが、それでもまだまだ食べ足りない三人。
ゲイルたちも同じ気持ちなため、ゼルートたちは迷うことなく海鮮系がメインの店に入ろうと決めた。
勿論料理店は海鮮がメインの店が多い。
そこで、今回はラルが一番食欲がそそられる店に決めた。
「すいません」
入店後、直ぐに従業員に事情を説明し、ゼルートたちはゼルートたちで好きなようにメニューを食べ始めた。
モンスターと戦ったり、模擬戦を何回も行っていた訳ではない。
ただ……それでも、全身を使って動き回ていたため、それなりに腹を空かせた状態になっていた。
海鮮料理が運ばれてくると、三人は勢い良く食べ始める。
アレナも上品な食べ方はいつもと変わらないが、それでも食べるペースがいつもより早い。
最初からテーブルに収まらない量の料理を注文していたが、十分も経てばなくなるだろうと思い、ゼルートは直ぐに追加で注文。
三人があのゼルートたちだと周囲の客たちが気付き始めたこともあり、多くの視線を向けられる三人。
だが、今の三人にはそんな視線を気にする余裕はなく、全力で海鮮料理を堪能することだけを楽しんでいた。
「ふぅ~~、かなり腹一杯になってきたな」
「そう、ね。少し食べ過ぎたかも」
後悔はない。後悔はないが、少々食べ過ぎたと感じ、腹回りが少し気になるアレナ。
「うん、そこそこ食べたな……まっ、動けば直ぐ元通りになるだろ」
「それもそうね」
休息するためにラルフロンに来た。
その思いは決して変わらないが、それはそれでこれはこれ。
女性であれば、冒険者という職業に就いてても、そういった部分は気になる。
であれば……動いて元通りにするのが一番手っ取り早い。
もう数品を食べ終えた後、ゼルートはゲイルたちが食べた分も合わせて、会計を行う。
その金額を耳にした他の客たちは、一斉に吹いた。
「多分丁度です」
サラッと店員から伝えられた金額を支払うゼルート。
その光景に更に驚く客たちだが……ゼルートからすれば、もう何度も体験した状況。
(解る、そうなるわよね)
そっち側に足を踏み入れつつも、一般人側の思いが理解出来るアレナ。
金額としては、どう見ても一回の食事量とは思えない額。
そんな額を、サラッと払うゼルートに、驚くなと言うのは無理な話。
多くのモンスターを倒して、ダンジョンに何度も戻ってて、戦争で大活躍して貴族になったのを考えれば、何もおかしくない……とは言えないし、思えない。
それが他の客たち、全員の本音だった。
「はぁ~~、超美味かった」
「また来たいわね」
「一か月以上は滞在するんだろ? なら、絶対にまた来れるじゃないか」
海に戻る間、ゼルートたちは次に訪れたいレストランを探していた。
「んじゃ、これを使って遊ぼう」
「ボール、よね?」
「ボールだけど、そんなに固くないぞ」
錬金術を使って生み出したボールを渡されたアレナは、直ぐに固くないという言葉を体感。
「本当ね。でも、これでどうやって遊ぶの?」
「別に難しいことじゃ……いや、若干難しいか」
ゼルートはバレーボールの対人スパイクについて軽く説明を行った。
現在三人がいる場所はビーチの中でも超端っこの位置なこともあり、全く客がいないと言っても過言ではない。
「俺も初めてだし、覚えながら楽しもうぜ」
よっぽどセンスがなければ、最初から上手く出来ない。
身体能力が一般人と比べて馬鹿みたいに高い三人でも、最初からプロ並み行うことは出来ないが……一時間も経てば、ラリーが一瞬で終わることはなく、レシーブもそれなりにものになっていた。
特に細かいルールもなく、単純な遊びではあるが、三人は夢中で交代しながら繰り返し、気付けばあっという間に日が沈みかけていた。
十分に海を満喫した三人は、昼食を食べにレストランが多い場所へ向かっていた。
「何が食べたい、って訊かなくても良いよな」
「えぇ、そうね」
「今も明日も明後日も、海鮮が食べたい気分は変わらない」
先日の露店や、宿屋の夕食でも食べたが、それでもまだまだ食べ足りない三人。
ゲイルたちも同じ気持ちなため、ゼルートたちは迷うことなく海鮮系がメインの店に入ろうと決めた。
勿論料理店は海鮮がメインの店が多い。
そこで、今回はラルが一番食欲がそそられる店に決めた。
「すいません」
入店後、直ぐに従業員に事情を説明し、ゼルートたちはゼルートたちで好きなようにメニューを食べ始めた。
モンスターと戦ったり、模擬戦を何回も行っていた訳ではない。
ただ……それでも、全身を使って動き回ていたため、それなりに腹を空かせた状態になっていた。
海鮮料理が運ばれてくると、三人は勢い良く食べ始める。
アレナも上品な食べ方はいつもと変わらないが、それでも食べるペースがいつもより早い。
最初からテーブルに収まらない量の料理を注文していたが、十分も経てばなくなるだろうと思い、ゼルートは直ぐに追加で注文。
三人があのゼルートたちだと周囲の客たちが気付き始めたこともあり、多くの視線を向けられる三人。
だが、今の三人にはそんな視線を気にする余裕はなく、全力で海鮮料理を堪能することだけを楽しんでいた。
「ふぅ~~、かなり腹一杯になってきたな」
「そう、ね。少し食べ過ぎたかも」
後悔はない。後悔はないが、少々食べ過ぎたと感じ、腹回りが少し気になるアレナ。
「うん、そこそこ食べたな……まっ、動けば直ぐ元通りになるだろ」
「それもそうね」
休息するためにラルフロンに来た。
その思いは決して変わらないが、それはそれでこれはこれ。
女性であれば、冒険者という職業に就いてても、そういった部分は気になる。
であれば……動いて元通りにするのが一番手っ取り早い。
もう数品を食べ終えた後、ゼルートはゲイルたちが食べた分も合わせて、会計を行う。
その金額を耳にした他の客たちは、一斉に吹いた。
「多分丁度です」
サラッと店員から伝えられた金額を支払うゼルート。
その光景に更に驚く客たちだが……ゼルートからすれば、もう何度も体験した状況。
(解る、そうなるわよね)
そっち側に足を踏み入れつつも、一般人側の思いが理解出来るアレナ。
金額としては、どう見ても一回の食事量とは思えない額。
そんな額を、サラッと払うゼルートに、驚くなと言うのは無理な話。
多くのモンスターを倒して、ダンジョンに何度も戻ってて、戦争で大活躍して貴族になったのを考えれば、何もおかしくない……とは言えないし、思えない。
それが他の客たち、全員の本音だった。
「はぁ~~、超美味かった」
「また来たいわね」
「一か月以上は滞在するんだろ? なら、絶対にまた来れるじゃないか」
海に戻る間、ゼルートたちは次に訪れたいレストランを探していた。
「んじゃ、これを使って遊ぼう」
「ボール、よね?」
「ボールだけど、そんなに固くないぞ」
錬金術を使って生み出したボールを渡されたアレナは、直ぐに固くないという言葉を体感。
「本当ね。でも、これでどうやって遊ぶの?」
「別に難しいことじゃ……いや、若干難しいか」
ゼルートはバレーボールの対人スパイクについて軽く説明を行った。
現在三人がいる場所はビーチの中でも超端っこの位置なこともあり、全く客がいないと言っても過言ではない。
「俺も初めてだし、覚えながら楽しもうぜ」
よっぽどセンスがなければ、最初から上手く出来ない。
身体能力が一般人と比べて馬鹿みたいに高い三人でも、最初からプロ並み行うことは出来ないが……一時間も経てば、ラリーが一瞬で終わることはなく、レシーブもそれなりにものになっていた。
特に細かいルールもなく、単純な遊びではあるが、三人は夢中で交代しながら繰り返し、気付けばあっという間に日が沈みかけていた。
45
お気に入りに追加
9,029
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜
蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。
しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。
だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。
アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。
実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。
その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。
なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。
無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。
アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。