698 / 1,043
連載
少年期[855]俺の魔物バージョンだな
しおりを挟む
十六人の生徒とゼルートの模擬戦、そしてスレンたち四人とルウナの模擬戦が終了しても、まだ授業時間は余っている。
という訳で、アレナにも似た様なことを行ってもらう。
ゼルートとルウナが圧倒的な実力差を見せ付けたことで、生徒たちは認識は改め……全力でアレナを倒しにいく。
(個人的には、もう少し学生らしく油断してほしかったな~)
そんなことを考えながらも、アレナは学生たちの攻撃を丁寧に対処していき、あっさりとゼルートと同じく急所に刃を添えていき、学生たちの格の違い見せ付けた。
「それじゃ……次は、ラームと戦ってみるか」
ゼルートに出番だと言われ、元気良く一歩前に出たラーム。
「「「「「「……」」」」」」
ラームが前に出てきたことで、生徒たちは目が点になる。
そして、決して口には出さないが……見た目は一般的なスライムと変わらない為、本当に目の前のスライムがゼルートたちと同等の強さを持っているのか、疑問に感じてしまう。
そんな生徒たちの疑問を、ゼルートが一瞬で解消した。
「こいつは、俺の魔物バージョンと思ってくれ。てか、この前の戦争でルウナと一緒に暴れまくってたしな」
「そうだな。ラームのお陰で助かった場面は多かった」
お世辞ではなく、実体験から出る感想。
戦争だけではなく、ダンジョンから溢れ出したモンスターの大群を討伐する時にも、大変世話になったと感じている。
二人から褒められたことで、嬉し気に胸を張るラーム。
そして怪物から、「こいつは俺と似た様なタイプ」と告げられた生徒たちはハッと我に返り、直ぐに真剣な表情に変わった。
「それでは、始め!!!」
一応、今回の模擬戦は八対一という状況だが……ラームはスライムの伸縮自在な体と水魔法を使い、生徒たちを圧倒。
今まで見てきたスライム……からのイメージとはかけ離れている戦いぶりを見せられ、観戦している生徒たちは呆然とした表情。
スレンたちもラームが戦う姿見たことがなかったので、他の生徒たちと同じく、口をあんぐりと開けて固まってしまっていた。
(凄いねぇ……世の中には、こんなスライムがいるのか)
間抜けな表情を晒すことはないが、担任教師であるイーサンも目の前の光景には心底驚かされていた。
ラームは今のところ体から伸ばせる触手に際限がなく、堅さなどもその場その場で変えることが出来る。
そして最後は触手で軽めに頭の上を叩かれ、掠り傷さえ負わすことが出来ず、模擬戦は終了した。
「どうだ、俺の魔物バージョンだろ」
「は、はい。そう、ですね……いや、本当に強かったです」
もう生徒たちの心の中に、ラームを馬鹿にする気持ちは一欠片も残っていなかった。
「まぁ、他のスライムはここまで強くないから、いざ対面した時にそこまで構えなくても良いぞ」
「ゼルートの言う通りね。スライム系の魔物の中で強い個体はいるけど、ラームほど強い個体は見たことないわ」
一番冒険者経験が長いアレナの言葉通り、ラームはスライムという種族を考えると、本当に奇跡の様な存在。
「でも、その……やっぱり、ラーム……さんみたいな、強い魔物はたくさんいるんですよね」
「そりゃな。ダンジョンとか潜ってたら、本当に多いよ。ただ……いざモンスターと戦い始めて厄介って感じるのは、逃げ足が速くて回復力が高いモンスターだと思うぞ」
一般的な冒険者の目線に立ち、厄介なモンスターについて少しだけ語った。
アレナとイーサンはゼルートの言葉に納得したが、ルウナは一人だけ「それはそれで燃える戦いになるだろ」という異次元の考えを持っていた。
「よし、一時間目はここまでだね。そろそろ教室に戻るよ」
ラームだけではなく、ゲイルやラルとも模擬戦を行うことが出来、生徒たちは本日体験できた内容に深く深く感謝した。
という訳で、アレナにも似た様なことを行ってもらう。
ゼルートとルウナが圧倒的な実力差を見せ付けたことで、生徒たちは認識は改め……全力でアレナを倒しにいく。
(個人的には、もう少し学生らしく油断してほしかったな~)
そんなことを考えながらも、アレナは学生たちの攻撃を丁寧に対処していき、あっさりとゼルートと同じく急所に刃を添えていき、学生たちの格の違い見せ付けた。
「それじゃ……次は、ラームと戦ってみるか」
ゼルートに出番だと言われ、元気良く一歩前に出たラーム。
「「「「「「……」」」」」」
ラームが前に出てきたことで、生徒たちは目が点になる。
そして、決して口には出さないが……見た目は一般的なスライムと変わらない為、本当に目の前のスライムがゼルートたちと同等の強さを持っているのか、疑問に感じてしまう。
そんな生徒たちの疑問を、ゼルートが一瞬で解消した。
「こいつは、俺の魔物バージョンと思ってくれ。てか、この前の戦争でルウナと一緒に暴れまくってたしな」
「そうだな。ラームのお陰で助かった場面は多かった」
お世辞ではなく、実体験から出る感想。
戦争だけではなく、ダンジョンから溢れ出したモンスターの大群を討伐する時にも、大変世話になったと感じている。
二人から褒められたことで、嬉し気に胸を張るラーム。
そして怪物から、「こいつは俺と似た様なタイプ」と告げられた生徒たちはハッと我に返り、直ぐに真剣な表情に変わった。
「それでは、始め!!!」
一応、今回の模擬戦は八対一という状況だが……ラームはスライムの伸縮自在な体と水魔法を使い、生徒たちを圧倒。
今まで見てきたスライム……からのイメージとはかけ離れている戦いぶりを見せられ、観戦している生徒たちは呆然とした表情。
スレンたちもラームが戦う姿見たことがなかったので、他の生徒たちと同じく、口をあんぐりと開けて固まってしまっていた。
(凄いねぇ……世の中には、こんなスライムがいるのか)
間抜けな表情を晒すことはないが、担任教師であるイーサンも目の前の光景には心底驚かされていた。
ラームは今のところ体から伸ばせる触手に際限がなく、堅さなどもその場その場で変えることが出来る。
そして最後は触手で軽めに頭の上を叩かれ、掠り傷さえ負わすことが出来ず、模擬戦は終了した。
「どうだ、俺の魔物バージョンだろ」
「は、はい。そう、ですね……いや、本当に強かったです」
もう生徒たちの心の中に、ラームを馬鹿にする気持ちは一欠片も残っていなかった。
「まぁ、他のスライムはここまで強くないから、いざ対面した時にそこまで構えなくても良いぞ」
「ゼルートの言う通りね。スライム系の魔物の中で強い個体はいるけど、ラームほど強い個体は見たことないわ」
一番冒険者経験が長いアレナの言葉通り、ラームはスライムという種族を考えると、本当に奇跡の様な存在。
「でも、その……やっぱり、ラーム……さんみたいな、強い魔物はたくさんいるんですよね」
「そりゃな。ダンジョンとか潜ってたら、本当に多いよ。ただ……いざモンスターと戦い始めて厄介って感じるのは、逃げ足が速くて回復力が高いモンスターだと思うぞ」
一般的な冒険者の目線に立ち、厄介なモンスターについて少しだけ語った。
アレナとイーサンはゼルートの言葉に納得したが、ルウナは一人だけ「それはそれで燃える戦いになるだろ」という異次元の考えを持っていた。
「よし、一時間目はここまでだね。そろそろ教室に戻るよ」
ラームだけではなく、ゲイルやラルとも模擬戦を行うことが出来、生徒たちは本日体験できた内容に深く深く感謝した。
61
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。