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少年期[824]六人でいけた?
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「…………」
「? ゼブリック様、戦争を終わらせました。こちらは敵国の総大将であるフルオン・ディスタールです」
「ッ! あ、あぁ。そうか……いや、大義であった。お前たち、フルオン・ディスタールを移動させろ」
フルオンは速攻で自国が戦争に負けたショックと、終了した戦場の上を横断するという、普通は体験できない荒技を体験したことで、気を失っていた。
「ふぅーーー……ゼルート、君がいれば勝てると思っていたが、まさかこんなに早く終わるとはな」
「戦争が早く終わった方が、自国の死者が少なくなると思ったので」
「あぁ、その通りだな」
オルディア王国が終始押せ押せムードでディスタール王国を圧倒していたのは間違いないが、オルディア王国の兵士や冒険者たちの中にも、少なからず死者はいた。
だが、ゼルートが敵兵や冒険者の波に止められることなく、一直線に戦場を突っ切ったお陰で、今回の戦争はあっという間に……過去最短で終了した。
「本当に、大義であった。今は戦場での疲れを癒してくれ」
ゼルートが今回の戦争で突かれたのか……それはゼブリックにとって分かりかねる。
開戦直後の特大魔法をぶっ放した後、ゼルートが最前線へと大跳躍で跳んでいき、猪突猛進のごとく突き進んでいった。
それは後方で戦場全体を見渡しているゼブリックたちからも、その活躍が解るほど。
「はぁ~~~……本当に、驚かされたな」
「同感です、ゼブリック様」
「戦場を真っすぐ突き進み、最後は敵の副騎士団長を一対一の勝負で破り、捕虜として総大将であるフルオン・ディスタールの捕獲……正直、心の底から彼が味方で良かったと思いました」
側近の騎士は質を変化出来る双眼鏡で戦場を見ており、ゼルートがディスタール王国の最終ラインを突破した段階から、その行方を見守っていた。
そしてディスタール王国の第一騎士団、副騎士団長であるローレンス・ディスパディアを一対一の勝負で打ち破る光景も見ていた。
さすがに側近騎士も、直ぐには終らないと思っていたいが……勝負は本当に一瞬で終わった。
(あれは、おそらく刀と呼ばれる武器を使った技の一つ、居合だろう)
それなりに知識を持つ側近騎士は、ゼルートがどういった方法を用いて、ローレンスを討伐したのかは理解している。
ただ、それにしても速過ぎると感じた。
(まさに神速と言える一撃だった……もしかしたら、彼らだけでも決着が着いていたか?)
ゼルート、アレナ、ルウナ。
そして従魔のゲイル、ラル、ラーム。
側近騎士は彼らの力だけでも今回の戦争を制することが出来たかもしれないと思ってしまった。
普段であれば、そんなことを考えても直ぐに頭を横に振って、さすがに無理だろうと考えを捨てる。
しかし……今回ばかりはその可能性を捨てきれなかった。
何故なら、ゼルートとゲイル以外のメンバーの活躍も双眼鏡で見ていた。
残り二組の暴れっぷりも尋常ではなく、ゼルートとゲイルのタッグと同じく、止まることを知らない。
一つのパーティーが持つ戦力ではないなと思いながらも、改めてゼルートたちは桁外れに強いと思った。
故に……側近騎士はゼブリックに一つ尋ねた。
「ゼブリック様、ゼルート殿たちに対する報酬は何になるでしょうか」
「報酬か……どう考えても、普通の報酬では駄目だろう」
ゼルートたちの活躍ぶりを考えれば、冒険者ギルドではなく……国が直接報酬を出してもおかしくない。
そしてゼブリック自身が父である国王陛下に対し、そうするべきだと進言する予定。
(普通は大金を送るものだが……あそこまで強い冒険者であれば、おそらく金には困っていない)
その通りであり、報酬として国から大金を貰ってもゼルート的には「金か……」と渋い表情になる。
であれば、それを超える内容は限られてくる。
「? ゼブリック様、戦争を終わらせました。こちらは敵国の総大将であるフルオン・ディスタールです」
「ッ! あ、あぁ。そうか……いや、大義であった。お前たち、フルオン・ディスタールを移動させろ」
フルオンは速攻で自国が戦争に負けたショックと、終了した戦場の上を横断するという、普通は体験できない荒技を体験したことで、気を失っていた。
「ふぅーーー……ゼルート、君がいれば勝てると思っていたが、まさかこんなに早く終わるとはな」
「戦争が早く終わった方が、自国の死者が少なくなると思ったので」
「あぁ、その通りだな」
オルディア王国が終始押せ押せムードでディスタール王国を圧倒していたのは間違いないが、オルディア王国の兵士や冒険者たちの中にも、少なからず死者はいた。
だが、ゼルートが敵兵や冒険者の波に止められることなく、一直線に戦場を突っ切ったお陰で、今回の戦争はあっという間に……過去最短で終了した。
「本当に、大義であった。今は戦場での疲れを癒してくれ」
ゼルートが今回の戦争で突かれたのか……それはゼブリックにとって分かりかねる。
開戦直後の特大魔法をぶっ放した後、ゼルートが最前線へと大跳躍で跳んでいき、猪突猛進のごとく突き進んでいった。
それは後方で戦場全体を見渡しているゼブリックたちからも、その活躍が解るほど。
「はぁ~~~……本当に、驚かされたな」
「同感です、ゼブリック様」
「戦場を真っすぐ突き進み、最後は敵の副騎士団長を一対一の勝負で破り、捕虜として総大将であるフルオン・ディスタールの捕獲……正直、心の底から彼が味方で良かったと思いました」
側近の騎士は質を変化出来る双眼鏡で戦場を見ており、ゼルートがディスタール王国の最終ラインを突破した段階から、その行方を見守っていた。
そしてディスタール王国の第一騎士団、副騎士団長であるローレンス・ディスパディアを一対一の勝負で打ち破る光景も見ていた。
さすがに側近騎士も、直ぐには終らないと思っていたいが……勝負は本当に一瞬で終わった。
(あれは、おそらく刀と呼ばれる武器を使った技の一つ、居合だろう)
それなりに知識を持つ側近騎士は、ゼルートがどういった方法を用いて、ローレンスを討伐したのかは理解している。
ただ、それにしても速過ぎると感じた。
(まさに神速と言える一撃だった……もしかしたら、彼らだけでも決着が着いていたか?)
ゼルート、アレナ、ルウナ。
そして従魔のゲイル、ラル、ラーム。
側近騎士は彼らの力だけでも今回の戦争を制することが出来たかもしれないと思ってしまった。
普段であれば、そんなことを考えても直ぐに頭を横に振って、さすがに無理だろうと考えを捨てる。
しかし……今回ばかりはその可能性を捨てきれなかった。
何故なら、ゼルートとゲイル以外のメンバーの活躍も双眼鏡で見ていた。
残り二組の暴れっぷりも尋常ではなく、ゼルートとゲイルのタッグと同じく、止まることを知らない。
一つのパーティーが持つ戦力ではないなと思いながらも、改めてゼルートたちは桁外れに強いと思った。
故に……側近騎士はゼブリックに一つ尋ねた。
「ゼブリック様、ゼルート殿たちに対する報酬は何になるでしょうか」
「報酬か……どう考えても、普通の報酬では駄目だろう」
ゼルートたちの活躍ぶりを考えれば、冒険者ギルドではなく……国が直接報酬を出してもおかしくない。
そしてゼブリック自身が父である国王陛下に対し、そうするべきだと進言する予定。
(普通は大金を送るものだが……あそこまで強い冒険者であれば、おそらく金には困っていない)
その通りであり、報酬として国から大金を貰ってもゼルート的には「金か……」と渋い表情になる。
であれば、それを超える内容は限られてくる。
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