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少年期[815]どう捉えるか

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「おい、レイリア! それは……」

同級生の言葉を無視し、レイリアはファイヤーランスを圧縮した炎槍を放った。

炎槍は自国の兵士や冒険者たちに当らず、敵兵士たちのみに着弾。

「……上手くいったわね」

「おい!!」

「ッ!? そんなに大きな声を出さなくても聞こえてるわよ」

「なら少しは踏みとどまってくれ!! レイリア、漏れてきた敵を積極的に倒すのは解るが、なにも俺たちから仕掛ける必要はないだろ!!」

男子生徒の言葉に多くの生徒が同意した。
そんな同級生の気持ちは解らなくもないが、レイリアは守られるためにこの戦場に来たつもりはない。

「そうかもしれないけど、それじゃあ成長出来ないじゃない」

「成長って……レイリア、ここは戦場だぞ。訓練じゃないんだ」

一度死ねば、そこまで。
ここには回復魔法が使える者がいても、死者を蘇生させるような伝説クラスの魔法を扱える者はいない。

そして戦場ではどんな人物であっても死ぬ可能性がある場所。

「そんな事言われなくても解ってるわよ。だから良い機会なんじゃない」

「良い機会って、レイリア……」

「少し言い方が良くなかったわね。でも、私はこの機会を利用して前に進む」

自分たちとは考えが、意思が、芯が違い過ぎる。
確かに魔物との戦闘経験はある。

授業の一環として魔物と戦う時も、レイリアは率先して前に出て同級生達を導いた。

だが、魔物との戦いと戦争という場所での戦いは違う。
明確に何か違うとは答え辛いが、それでもどこか違うと生徒たちは考えていた。

「別にあなたたちは無理する必要ないわ」

「……そう言われて、俺たちが引き下がれると思ってるのか?」

一人の見るからに前衛の生徒が一歩前に出た。

「いいえ。でも、無理する必要はないのよ。私は追いつきたい人たちがいるから、どの経験も無駄に出来ないと思ってるだけ」

前衛で敵の数など関係無しに暴れ回っているゼルート。
目の前で自分たちのすこしでも被害が及ばない様に動き、敵を突き刺し、首を斬り落とす兄のクライレット。

離れた場所で現役を引退してるとは思えない活躍をしている両親。
そんな四人に負けたくない。

身内と自分を比べる必要がない?
そういう考えをレイリアは否定するつもりはないが、肩を並べたいという思いは、自分の意志から来ている。

その心は、意思は誰にも邪魔されるつもりはない。

「はぁ~~~……そこまで言うなら、この戦争で絶対に死なないでくださいよ」

「勿論、こんなところで死ぬつもりはないわよ」

そう言いながら再度圧縮した炎槍を生み出し、見事に敵だけに命中させていく。

レイリアと三年生の中でもトップクラスの生徒たちの会話で、全員にやる気がみなぎってきた。
とはいえ、冷静な頭は持っており……自分たちの力量では、レイリアの様に乱戦の中で的確に敵だけを狙って命中させるんは難しい。

自分たちもわざわざ戦争に参加した……その機会を無駄にない。
そんな思いが芽生えたが、自分が撃ちミスした魔法が味方に当ったら……そんな場面、考えただけで死にたくなる。

「とはいっても、やっぱりクライレット兄さんたちが踏ん張ってるし、そうそう強敵なんて……って考えてたら、ヤバそうなのが来たわね」

口は禍の元。
死亡フラグ。

色々と口に出さない言葉があるが、レイリア今日……その意味を理解した。

「ッ……ふざけんじゃないわよ!!」

推定、Cランククラスの冒険者たちが護衛の者たちを躱し、目の前に現れようとしている。

そんな時……とある考えが頭に過ったが、その考えを瞬時に頭から掻き消した。

(成長するんでしょ。腑抜けたことを考えるな!!!!)

心の中で盛大に吼え、現れた敵に杖を向ける。

「やっぱり貴族の令息、令嬢なだけあって粒ぞろいって感じだ」

「嫌だな~~。エリート揃いって事だろ」

「貴族なんだから、ある程度強いのが普通でしょ。まっ、それでもある程度でしょうけど」

比較的軽装な装備の男二人と女一人が現れた瞬間、生徒たちの闘志が一気に掻き消されそうになったが、レイリア地面を全力で踏み……心を落ち着かせた。

「ここで越えさせてもらうわよ、先輩たち」
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