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少年期[804]戦う前から分かっていた筈

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「お前たちが自信に満ち溢れていることは解った……もう言葉は要らないだろう。全力で掛かって来い」

そうでなければ、お前たちが俺に傷付けることすら不可能だ。
そんな言葉を言いたげなブラッソの顔を見て……四人のボルテージは即座に上がり、全員が強化系のスキルを使用。

身に着けているマジックアイテムなどもフル活用し、先程までレミアに割いていた意識を全てブラッソを殺す為だけに集中。

「あんまり調子に乗るんじゃねぇぞ!!!!」

速い!!! 地面を駆ける踏み込む、腕の振り、呼吸……全てがベストな状態で重なり合った一撃。
そう思える程にロングソード使いの攻撃は会心の鋭さを誇っていた。

相手がBランクのモンスターであれば、その一撃だけで勝負は終っていたかもしれない。

「ふん」

「ッ!!??」

「悪くない一撃だが、まだ軽い」

確かに剣術スキルの技を使った一撃ではなかった。
とはいえ、油断はしておらず、全力でブラッソを殺すために振るった一刀。

それを簡単に弾かれた。いとも簡単に……鬱陶しいハエを払うかのように、棘棍棒で自慢の愛剣による一撃が弾かれてしまった。

「隙あり」

そう思っても声を出すものじゃない。
一般的にはその意見が正しいが、双剣使いの男からすれば、既に……完全にブラッソに渾身の一撃を叩きこめる位置におり、ここからブラッソが何かをするのは不可能。

せいぜい攻撃される個所に魔力を集中させて防御力を上げる……それが出来たとしても、双剣でブラッソの肉を斬り裂ける自信がった。

「甘い」

「がっ!!!???」

空いていた左手で掌底を放ち……実際にぶつけるのではなく、その衝撃のみで双剣使いを吹き飛ばした。

(嘘、でしょ!!)

そう思わずにはいられなかった。

今まで双剣使いは何度も敵の隙を突き、殺してきた。
今の一撃は……さすがに殺すことは出来ずとも、大きなダメージを与えられたはず。

何度も……今まで何度も「これは決まる!!!」そう本能的に思い、実際に決まってきた流れと同じだった。
にもかかわらずブラッドオーガは双剣使いのスピードに余裕で反応し、左手で放つ衝撃波だけで自分を吹き飛ばした。

「剛一点!!!!」

「大切断!!!!!!」

戦友二人の攻撃があっさりと対処された。
その事態を重く受け止め、槍使いと大斧使いの男たちはスキルによる技を使用。

一点集中の剛突と大地をも切り裂く斬撃。

大切断に関しては言わずもがな、剛一点はゼルートが遭遇した騎士が放ったものよりも当然、威力が高い鋭い一撃。

「はっ!!」

「がはっ!!」

「ぬぁっ!?」

ブラッソは冒険者達よりも鋭い一撃を横からお見舞いし、剛一点と大切断が届く前に棘棍棒で吹き飛ばした。

「悪くない速さだが、俺に攻撃を届かせるには……少し足りないな」

こんなところで万が一が起こってはならないと思い、既に身体強化のスキルは使用している。

加えてサイズ調整が可能なマジックアイテムを装備している事もあり、強化系スキルを一つ使用するだけで四人のステータスを上回ることが可能。

「ちっ! 本当に化け物だな!!!」

「戦う前からそれは解っているだろう」

ブラッソの言葉通りだった。
ただのオーガでないことは解る。

普通のオーガ以上の力を持っていることも解っていた……ただ、前衛タイプのAランク冒険者が四人もいて、掠り傷一つ付けられない……そんなことは全く考えていなかった。

「死ね」

自分でも完璧と思える奇襲を防がれるどころか、攻撃を決める前に逆にやられ……一気に怒りが沸点まで到達した双剣使いは全開の殺意を撒き散らしながら……足音を完全に消し、武器の専用技を発動。

「デットクロウ」

完全に急所に攻撃を決めた際に、刃から猛毒を放ち……敵の傷口から体内に侵入させる。

見事成功すれば、Aランクのモンスターといえど大きく動きが鈍る。
耐性が弱い個体であれば……動けなくすることも可能。

「殺気を隠さんか」

棘棍棒でロングソード使いの攻撃を対応しながら、濃すぎる殺気に反応して双剣使いの胴体を掴み、そのまま地面に叩きつけた。

「ごっ、はっ!!!」

今の動きも一撃も、殺気こそ撒き散らしてはいたが、双剣使いとして最高の一撃だったといえる。

(もう奥の手などがなければ、この状態でも潰せそうだな)

速くレミアの元に戻る為、ブラッソは一先ずロングソード使いから潰すことに決めた。
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