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少年期[796]確信せざるを得ない

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「……強いのは解ってはいたが、実際に戦うところを観ると……果てしなく強いということが良く解る」

オルディア王国の第二王子であり、今回の戦争の総大将であるゼブリックはゼルートが発動した魔法。
一気に前線に向かい、暴れ回る姿に心の底から圧倒的な強さを感じていた。

「先程の魔法を見たか?」

「えぇ、この目ではっきりと見ました。武器や体術を使った動きよりも、魔法の方が高い才能を持っていると噂で聞いておりましたが……まさにその高さを、凄さを証明する攻撃だったかと」

「初撃のワイバーンの形を模した広範囲攻撃も圧倒的でしたが、その後直ぐに放った炎と風の魔法も並の宮廷魔術師では放つことが出来ない魔法の使用……全てにおいて、規格外化と思われます」

「……まさに二人の言う通りだ」

こちらには、ソロでSランクの魔物を倒した超外見詐欺の実力者がいる。
そしてその実力者の仲間たちも圧倒的な実力を持っていると聞いており、実際に対面してその強さを感じ取った。

そこでゼブリックは今回の戦争……改めて自分たちの勝ちは揺るがないと確信した。

自分の命が取られない限り……万が一身柄を拘束されない限り、どう転んでも自分たちが勝つ。
その想いを、目の前で起こる光景が証明していた。

「魔法の方が高い才能を持っていると言いましたが、ゼルート殿の暴れっぷりを見る限り……やはり、そうとも断言は出来ません」

騎士の一人がマジックアイテムである望遠鏡でゼルートの戦いっぷりを確認したところ、余裕の表情で敵国側の兵士や冒険者はどんどん葬り去っていく。

敵を葬り去っていく中で、明らかに周りの者と比べて頭一つ抜けている者がゼルートに挑む場面があるが……ゼルートは戦場のことをそれなりに解っており、強敵との戦いを楽しむことなく速攻で終わらせている。

(あれほど接近戦が強ければ、人によっては魔法よりも接近戦での才能の方が高いと判断する者もいるだろう……いや接近戦の才能というよりも、実戦で戦う才能があるというべきか……とにかく、まさに一人で軍隊並み……それ以上の戦力と言える)

国に仕える兵士や騎士は、他人から軍隊幾つ分の戦力だと評価されることがあるが……ゼルートのそれは明らかに数個程度では話にならない戦力を有している。

そして望遠鏡でアレナたちの戦いっぷりも確認するが……そちらはそちらで従魔とコンビを組み、多数の敵をペースが衰えることなく葬っている。

アレナに関してはラルの背に跨り、敵国の竜騎士部隊をほぼ二人で殲滅してしまっている。

「ゼブリック様、あちらを」

「? ……おぉ~~、あれは凄いな」

側近の騎士は望遠鏡を渡し、ゼブリックにとある方向を伝えた。
そこではアレナがワイバーンに跨る竜騎士と対峙し、ラルと共に華麗に宙を舞い、敵を次々に落としていった。

竜に跨る戦士同士の戦いが観れ、不謹慎かもしれないがそれだけで満足してしまう。

(ドラゴンを従魔に持つ冒険者いると聞くが、竜騎士の様に戦う者は数えるほどしかいない……そんな竜騎士同士の戦いが少しの間とはいえ観れた……眼福としか言えないな)

本来であれば、部下たちから報告される戦況を聞き、騎士や冒険者たちの配置換えなどを考えなければいけないのだが……今のところ、ほぼ好調といった報告しか来ない。

それはゼルートたちが一気に敵国側に突撃し、敵の兵士や冒険者たちを混乱させてくれているお陰ということもあるが、初っ端ゼルートが特大魔法を三つも使って敵国側を攻撃し……更には盛大に喧嘩を売る発言をした。

そのお陰でオルディア王国側の者たちのテンション、闘志は一気に最高潮にまで達し……引くということを知らない状態となった。
それが戦場でベストな状態なのかはさておき……兵士や冒険者たちが普段以上のパフォーマンスを発揮する切っ掛けとなった。
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