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少年期[779]そこはなんとかしよう
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「その……自分はまだまだ若いですし、いずれは高ランクの冒険者になりたいと思っていますが、それでも……どこまでいっても冒険者です」
「そうか……ゼルート君の言いたい事は分かった」
現在、ゼルートの身分はCランクの冒険者兼男爵家の次男。
明らかに王族との婚約が出来る立場ではない。
そんなゼルートの思いを確かに感じたゼブリックだが、兄としては目の前の少年より妹に相応しい者はそうそういないと考えている。
故に、あっさりと退路を塞いだ。
「だが、君の父親は……確か元冒険者だったね」
「は、はい。そうですね……ッ」
「うん、つまりそういう事だ」
父親であるガレンは、元々冒険者だった。
この言葉だけで、ゼルートはゼブリックが何を言いたいのか理解出来てしまった。
(そ、そうだった……解ってたことじゃないか。もしかしたら今回の戦争が終わった後に、爵位を貰う可能性がゼロじゃないってのはさ……仮に授かった爵位が男爵だとしても……俺の年齢を考えれば、異例中の異例だよな)
まだ十三歳の子供が訳あって貴族の養子になって貴族の一員になるのではなく、爵位を授かれば新しい家の当主となる。
「今回の戦争でゼルート君が活躍するのは間違いない。君の仲間達も活躍するだろうが、上の者たちは……話が解る者たちは、その戦力は君あってのものだと考える」
(そんなこと考えなくて良いです。アレナたちの戦果はアレナたちの戦果として考えてください! お願いします!!!)
顔も知らない話が解る者たちに対し、そう願うが……ゼルートの願い通りにいくかは分からない。
「それに、ゼルート君は少し前に悪獣という災害を一人で倒した。その時の功績を考えれば、騎士の称号を飛び越え、男爵の爵位を授かってもおかしくない」
ゼブリックの自信満々に宣言する様子を、騎士二人は静観している。
つまり、騎士二人もゼルートが一気に一冒険者からそこまで駆け上がるのは不可能ではないと思っている。
説明を聞いていたアレナとルウナは「やっぱりそういう流れになるよな」と、ゼルートの今後の立場について納得していた。
「それは……非常に嬉しい事だとは思います。でも、一冒険者が……男爵家の次男がそんな地位を手に入れたら、それを疎ましいと感じる人たちがいると思うのですか」
「その可能性は確かに否定出来ない」
ゼルートのもしかしたらの可能性について、さすがにゼブリックも絶対にあり得ないとは断言出来なかった。
「ただ、君自身は権力に対して執着心がないだろう」
「そうですね」
「国の政にも関わろうと思っていない。その精神がブレなければ、よっぽどの愚か者でない限り、君に手を出す者は現れないよ」
ゼブリックの言葉は間違ってはいない。
だが、世の中そういった馬鹿は必ず存在すると、ゼルートは知っているのだ。
しかしそこで、ゼブリックがゼルートの不安を取り除く言葉を追加した。
「それに、そんな愚か者が現れた場合は、なるべく君自身が処せる様に対応するよ」
「……それは、本当に構わないのですか」
ゼルートの目の色が一瞬で変わった。
先程までオドオドしていた目に、急に禍々しい戦意が灯った。
「ッ! ふふ……今まで多くの人たちで出会ってきた、ここまでゾッとしたのは久しぶりだよ」
「も、申し訳ありません!! つい」
「いや、謝る必要はない。君がどれだけ家族や友人のことを大切に思っているのか、それを知っている」
なので、ゼルート自身が処せると分れば、急に雰囲気が変わることは予想出来ていた。
ただ……その戦意を浴び、背中からいきなり汗が出てきた事実は表に出さず、会話を進める。
「まぁ、そこに関しては色々と終われば伝えるよ。話をも出すが、君が冒険者として活動を続けていれば、いずれ悪獣を一人で倒した時の様な功績をまた上げるだろう」
「じ、自分の実力を評価してくれるのは嬉しいですが、そういうのは時と運に左右されますので」
「多分大丈夫だ。君のこれからの人生、おそらく退屈しない日々が続くだろうからね」
この言葉にゼルートを納得せざるを得ず、アレナとルウナは何度も同意するように首を縦に振った。
「そうか……ゼルート君の言いたい事は分かった」
現在、ゼルートの身分はCランクの冒険者兼男爵家の次男。
明らかに王族との婚約が出来る立場ではない。
そんなゼルートの思いを確かに感じたゼブリックだが、兄としては目の前の少年より妹に相応しい者はそうそういないと考えている。
故に、あっさりと退路を塞いだ。
「だが、君の父親は……確か元冒険者だったね」
「は、はい。そうですね……ッ」
「うん、つまりそういう事だ」
父親であるガレンは、元々冒険者だった。
この言葉だけで、ゼルートはゼブリックが何を言いたいのか理解出来てしまった。
(そ、そうだった……解ってたことじゃないか。もしかしたら今回の戦争が終わった後に、爵位を貰う可能性がゼロじゃないってのはさ……仮に授かった爵位が男爵だとしても……俺の年齢を考えれば、異例中の異例だよな)
まだ十三歳の子供が訳あって貴族の養子になって貴族の一員になるのではなく、爵位を授かれば新しい家の当主となる。
「今回の戦争でゼルート君が活躍するのは間違いない。君の仲間達も活躍するだろうが、上の者たちは……話が解る者たちは、その戦力は君あってのものだと考える」
(そんなこと考えなくて良いです。アレナたちの戦果はアレナたちの戦果として考えてください! お願いします!!!)
顔も知らない話が解る者たちに対し、そう願うが……ゼルートの願い通りにいくかは分からない。
「それに、ゼルート君は少し前に悪獣という災害を一人で倒した。その時の功績を考えれば、騎士の称号を飛び越え、男爵の爵位を授かってもおかしくない」
ゼブリックの自信満々に宣言する様子を、騎士二人は静観している。
つまり、騎士二人もゼルートが一気に一冒険者からそこまで駆け上がるのは不可能ではないと思っている。
説明を聞いていたアレナとルウナは「やっぱりそういう流れになるよな」と、ゼルートの今後の立場について納得していた。
「それは……非常に嬉しい事だとは思います。でも、一冒険者が……男爵家の次男がそんな地位を手に入れたら、それを疎ましいと感じる人たちがいると思うのですか」
「その可能性は確かに否定出来ない」
ゼルートのもしかしたらの可能性について、さすがにゼブリックも絶対にあり得ないとは断言出来なかった。
「ただ、君自身は権力に対して執着心がないだろう」
「そうですね」
「国の政にも関わろうと思っていない。その精神がブレなければ、よっぽどの愚か者でない限り、君に手を出す者は現れないよ」
ゼブリックの言葉は間違ってはいない。
だが、世の中そういった馬鹿は必ず存在すると、ゼルートは知っているのだ。
しかしそこで、ゼブリックがゼルートの不安を取り除く言葉を追加した。
「それに、そんな愚か者が現れた場合は、なるべく君自身が処せる様に対応するよ」
「……それは、本当に構わないのですか」
ゼルートの目の色が一瞬で変わった。
先程までオドオドしていた目に、急に禍々しい戦意が灯った。
「ッ! ふふ……今まで多くの人たちで出会ってきた、ここまでゾッとしたのは久しぶりだよ」
「も、申し訳ありません!! つい」
「いや、謝る必要はない。君がどれだけ家族や友人のことを大切に思っているのか、それを知っている」
なので、ゼルート自身が処せると分れば、急に雰囲気が変わることは予想出来ていた。
ただ……その戦意を浴び、背中からいきなり汗が出てきた事実は表に出さず、会話を進める。
「まぁ、そこに関しては色々と終われば伝えるよ。話をも出すが、君が冒険者として活動を続けていれば、いずれ悪獣を一人で倒した時の様な功績をまた上げるだろう」
「じ、自分の実力を評価してくれるのは嬉しいですが、そういうのは時と運に左右されますので」
「多分大丈夫だ。君のこれからの人生、おそらく退屈しない日々が続くだろうからね」
この言葉にゼルートを納得せざるを得ず、アレナとルウナは何度も同意するように首を縦に振った。
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