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少年期[760]そう上手く殺れない
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「……無茶苦茶広いな」
「そうだな。こんなに開けた場所があるとは……侵略ではない戦争を行うにはもってこいの場所だな」
「戦争なんて起きないことに越したことはないのだけどね」
ゼルートたちはバルスたちと合流してから数日後、ようやくバレアール平原へと到着した。
この世界でそれなりに冒険してきたゼルートは、もう自分が驚くことは殆どないと思っていた。
ただ、目の前の広い広い平原を見ると……さすがに驚かざるを得なかった。
(アレナの言うことがごもっともだが、ルウナの言うことも解る。これだけ開けた場所があれば、戦争を行うにはもってこいだ。基本的には戦略よりも力と力のぶつかり合いって感じか)
ゼルートが考えることは間違いではないが、離れた場所には十分隠れる場所がある。
(……ぐるっと回って、背後から対象をグサッと殺す。なんて向こうは考えてるかも)
背後から奇襲という手は決して悪くないが、今回の戦争で総大将となる人物の周囲には屈強な強者たちが付いているので、いくら隣国が上手い具合に奇襲を仕掛けても成功する可能性は少ない。
「開戦するのは……確か三日後の朝、だっけ」
「えぇ、そうよ。間違っても今のうちに数を減らそうなんて考えちゃ駄目よ」
「さすがにそこまで非常識じゃないよ。ただ……それは向こうの人間にも同じことを言えるんじゃないか?」
「うっ! まぁ……それはそうね」
今回、ゼルートたちが戦う国はルパガス王国。
きな臭い噂が多い国ではないが……どんな国にも黒い噂の一つや二つはある。
だが、それはゼルートたちのオルディア王国にも同じことが言える。
「安心してくれ。そんなことはしないから」
「なら良いのだけど。ただ、開戦まであと三日もあるのね……」
「どうしたんだよ、不安そうな顔して。もしかして……戦争が始まるのが今か今かと待ち遠しいのか?」
「そうなのか、アレナ? 戦争なんて起こらないことに越したことはないなんて言いながら、やはり血が騒いでいる様だな」
「違うわよ!! 別に血は騒いでないから!! まぁ、不安に思うことがあるのは事実だけど」
アレンは断じて開戦が待ち遠しいなどとは思っていない。
「? 俺の顔に何か付いてるか?」
「……なんでもないわよ」
何でもなくはないのだが、今ここで言っても無駄だと思った。
(開戦まであと三日もあったら、面倒な輩に絡まれるかもしれないじゃない。ゼルートがSランクの悪獣を倒したり、ホーリーパレスで大活躍してるから多少はダル絡みしてくる人は減ったでしょうけど、貴族からすればそんな事関係無さそうだし……)
ゼルートが絡まれやすい見た目をしており、尚且つ売られた喧嘩は相手が途中で引かなければ絶対に買う。
アレナの不安そうな表情を見たラルは、直ぐに何を心配しているのか理解した。
(アレナさんは心配性ですね。確かに三日もあればゼルート様の強さやステータスに嫉妬して絡んでくる輩が現れるかもしれませんが、どんな相手であろうとゼルート様が負ける筈ありません。ガレン様やバルス様もいらっしゃいますし、場は上手く収まるでしょう)
ラルが考えている通り、この場には権力者であるガレンとバルスがいる。
ガレンの爵位はまだ男爵だが、中身を知っている者であれば実際は男爵以上の力を持っていると事を理解している。
バルスは辺境伯であり、言わずもがな並ではない権力を持っている。
まともな神経をしている者であれば、二人と関係を持っているゼルートにダル絡みなどしない。
「はっはっは!!! 相変わらず心配されてんな」
「うっせ。いつもの事だからほっとけ」
「へいへい。にしても……やっぱり結構注目されてるな、お前」
オルディア側の陣地には既に多くの貴族や冒険者、騎士たちが滞在しており、美女二人と三体の従魔を連れているゼルートには多くの視線が向けられていた。
「一応名は売れてるっぽいからな」
「覇王戦鬼、だったか?」
「……頼むからその名で呼ばないでくれ」
二つ名候補の中で有力な名を呼ばれると、やはり恥ずかしい。
もっと良い二つ名がないかと思っていると、ゼルートの元に向かってある一組やって来た。
「そうだな。こんなに開けた場所があるとは……侵略ではない戦争を行うにはもってこいの場所だな」
「戦争なんて起きないことに越したことはないのだけどね」
ゼルートたちはバルスたちと合流してから数日後、ようやくバレアール平原へと到着した。
この世界でそれなりに冒険してきたゼルートは、もう自分が驚くことは殆どないと思っていた。
ただ、目の前の広い広い平原を見ると……さすがに驚かざるを得なかった。
(アレナの言うことがごもっともだが、ルウナの言うことも解る。これだけ開けた場所があれば、戦争を行うにはもってこいだ。基本的には戦略よりも力と力のぶつかり合いって感じか)
ゼルートが考えることは間違いではないが、離れた場所には十分隠れる場所がある。
(……ぐるっと回って、背後から対象をグサッと殺す。なんて向こうは考えてるかも)
背後から奇襲という手は決して悪くないが、今回の戦争で総大将となる人物の周囲には屈強な強者たちが付いているので、いくら隣国が上手い具合に奇襲を仕掛けても成功する可能性は少ない。
「開戦するのは……確か三日後の朝、だっけ」
「えぇ、そうよ。間違っても今のうちに数を減らそうなんて考えちゃ駄目よ」
「さすがにそこまで非常識じゃないよ。ただ……それは向こうの人間にも同じことを言えるんじゃないか?」
「うっ! まぁ……それはそうね」
今回、ゼルートたちが戦う国はルパガス王国。
きな臭い噂が多い国ではないが……どんな国にも黒い噂の一つや二つはある。
だが、それはゼルートたちのオルディア王国にも同じことが言える。
「安心してくれ。そんなことはしないから」
「なら良いのだけど。ただ、開戦まであと三日もあるのね……」
「どうしたんだよ、不安そうな顔して。もしかして……戦争が始まるのが今か今かと待ち遠しいのか?」
「そうなのか、アレナ? 戦争なんて起こらないことに越したことはないなんて言いながら、やはり血が騒いでいる様だな」
「違うわよ!! 別に血は騒いでないから!! まぁ、不安に思うことがあるのは事実だけど」
アレンは断じて開戦が待ち遠しいなどとは思っていない。
「? 俺の顔に何か付いてるか?」
「……なんでもないわよ」
何でもなくはないのだが、今ここで言っても無駄だと思った。
(開戦まであと三日もあったら、面倒な輩に絡まれるかもしれないじゃない。ゼルートがSランクの悪獣を倒したり、ホーリーパレスで大活躍してるから多少はダル絡みしてくる人は減ったでしょうけど、貴族からすればそんな事関係無さそうだし……)
ゼルートが絡まれやすい見た目をしており、尚且つ売られた喧嘩は相手が途中で引かなければ絶対に買う。
アレナの不安そうな表情を見たラルは、直ぐに何を心配しているのか理解した。
(アレナさんは心配性ですね。確かに三日もあればゼルート様の強さやステータスに嫉妬して絡んでくる輩が現れるかもしれませんが、どんな相手であろうとゼルート様が負ける筈ありません。ガレン様やバルス様もいらっしゃいますし、場は上手く収まるでしょう)
ラルが考えている通り、この場には権力者であるガレンとバルスがいる。
ガレンの爵位はまだ男爵だが、中身を知っている者であれば実際は男爵以上の力を持っていると事を理解している。
バルスは辺境伯であり、言わずもがな並ではない権力を持っている。
まともな神経をしている者であれば、二人と関係を持っているゼルートにダル絡みなどしない。
「はっはっは!!! 相変わらず心配されてんな」
「うっせ。いつもの事だからほっとけ」
「へいへい。にしても……やっぱり結構注目されてるな、お前」
オルディア側の陣地には既に多くの貴族や冒険者、騎士たちが滞在しており、美女二人と三体の従魔を連れているゼルートには多くの視線が向けられていた。
「一応名は売れてるっぽいからな」
「覇王戦鬼、だったか?」
「……頼むからその名で呼ばないでくれ」
二つ名候補の中で有力な名を呼ばれると、やはり恥ずかしい。
もっと良い二つ名がないかと思っていると、ゼルートの元に向かってある一組やって来た。
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