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少年期[759]フラグ……ではないよ
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「なぁ、ゼルート。お前の従魔、やっぱり凄いな」
「だろ……というか、そのセリフ少し前にも聞いた気がするんだけど」
「だとしても、もう一回言ってやるよ。お前の従魔……仲間はすげぇ。てか、ヤバ過ぎるだろ」
Bランクの巨人タイプの魔物、ギガンテス。
サイクロプスよりも身体能力が高く、手に持つ棍棒を鉄製に変える能力を持つ。
たくさんの人の匂いに釣られてゼルートたちの方に向かってきた。
そして兵士や冒険者たちの視界にギガンテスが映ったが……森から出てくる前に強力な電撃を浴び、瞬殺された。
「頼れる仲間だとは思ってるよ。でもさ、ラルは子供だけどドラゴンだぜ。個人タイプの魔物ぐらい、よっぽどの相手じゃないかったら倒せてもおかしくないだろ」
「いや、まぁ……そりゃそうかもしれねぇけどよ。つーか、あっち側を護衛してるラームってスライムもヤバいだろ」
冒険者たちに姿を見せることはなかったが、ガンツは気配感知で複数の魔物が近づいていることに気付いていた。
ただ、それなりの強さを感じた魔物も、ラームの手に掛かって十秒と経たずに倒された。
「ま、まぁ……うん、そうだな。ラームは確かに色々とヤバくて凄い。そこには完全に同意するよ」
最弱な魔物はいったいどの個体なのか……偶に冒険者たちが話の話題にするが、その中で必ずと言っていいほどスライムの名前が上がる。
よっぽどの馬鹿ではない限り、スライムの上位種にはとんでもなく強い個体がいるという知識を持っているが、通常の単なるスライムは確かに弱い。
例え希少種であっても、ベテラン冒険者であれば対応出来る程度の強さしかない。
だが、ラームは誰がどう考えてもスライムの中でも例外中の異例な存在。
(初めてラームに会って、ステータスを視た時は本当に驚かされたな……強奪と吸収ってなんだよ!!! って、思ったな……俺も大概チートなスキルを持ってるけど、ラームの力もかなりチートなのは間違いない)
ゼルートの認識は決して間違っていない。
しかし、ラームはゼルートと出会った当初……自身が持つスキルの凄さを全く分かっておらず、使い方を理解していなかった。
故に……最強のスライムになる前に、あっさりとやられていた可能性は十分にあった。
「んで、ゴブリンキングをサクッと倒したゲイルと今は盗賊狩りに行ってるブラッドオーガ? のブラッソも相当強い……今こんな気持ちになるのは駄目なんだろうけど、今回の戦争はこっち側が負けるとは思えねぇよ」
「確かにそんな気持ちになってるのは駄目だろうな。でも、向こうだってとんでもない戦力がいるかもしれねぇぞ」
「その可能性は当然頭に入れてるさ。でもな、お前やお前の従魔たちみたいなぶっ飛び過ぎてる存在が幾つもいると思うか?」
「…………」
自身やゲイルがぶっ飛んでいることは重々承知しているので、反論する言葉が見つからない。
「まぁ、今回の戦争で負けつもりは全くないよ。でも……戦争に勝っても、こっち側の人が一人も死なない訳じゃない。ガンツが少し前までと比べて強くなったのは分かる」
「油断してたら足元すくわれるかもしれない、だろ。俺もルーキーじゃないんだ、そこら辺はちゃんと理解してるって」
「……だと良いんだけどな」
一人も死者を出さない、なんて傲慢なことはチート過ぎるゼルートでも宣言出来ない。
仮に敵を倒すよりもそちらに意識を向けていれば、戦争に挑むと決めた者たちの覚悟を侮辱することになる。
それが分かっているので、基本的には守るよりも倒すことに専念すると決めている。
「うっかり流れ矢で死んだりするなよ」
「おぅ、安心しろ。お前とまだ一緒に酒飲んでねぇしな」
「……そういえばそうだったな」
若干死亡フラグっぽい何かを立てながらも、ゼルートたちは戦争の舞台であるバレアール平原へと到着した。
「だろ……というか、そのセリフ少し前にも聞いた気がするんだけど」
「だとしても、もう一回言ってやるよ。お前の従魔……仲間はすげぇ。てか、ヤバ過ぎるだろ」
Bランクの巨人タイプの魔物、ギガンテス。
サイクロプスよりも身体能力が高く、手に持つ棍棒を鉄製に変える能力を持つ。
たくさんの人の匂いに釣られてゼルートたちの方に向かってきた。
そして兵士や冒険者たちの視界にギガンテスが映ったが……森から出てくる前に強力な電撃を浴び、瞬殺された。
「頼れる仲間だとは思ってるよ。でもさ、ラルは子供だけどドラゴンだぜ。個人タイプの魔物ぐらい、よっぽどの相手じゃないかったら倒せてもおかしくないだろ」
「いや、まぁ……そりゃそうかもしれねぇけどよ。つーか、あっち側を護衛してるラームってスライムもヤバいだろ」
冒険者たちに姿を見せることはなかったが、ガンツは気配感知で複数の魔物が近づいていることに気付いていた。
ただ、それなりの強さを感じた魔物も、ラームの手に掛かって十秒と経たずに倒された。
「ま、まぁ……うん、そうだな。ラームは確かに色々とヤバくて凄い。そこには完全に同意するよ」
最弱な魔物はいったいどの個体なのか……偶に冒険者たちが話の話題にするが、その中で必ずと言っていいほどスライムの名前が上がる。
よっぽどの馬鹿ではない限り、スライムの上位種にはとんでもなく強い個体がいるという知識を持っているが、通常の単なるスライムは確かに弱い。
例え希少種であっても、ベテラン冒険者であれば対応出来る程度の強さしかない。
だが、ラームは誰がどう考えてもスライムの中でも例外中の異例な存在。
(初めてラームに会って、ステータスを視た時は本当に驚かされたな……強奪と吸収ってなんだよ!!! って、思ったな……俺も大概チートなスキルを持ってるけど、ラームの力もかなりチートなのは間違いない)
ゼルートの認識は決して間違っていない。
しかし、ラームはゼルートと出会った当初……自身が持つスキルの凄さを全く分かっておらず、使い方を理解していなかった。
故に……最強のスライムになる前に、あっさりとやられていた可能性は十分にあった。
「んで、ゴブリンキングをサクッと倒したゲイルと今は盗賊狩りに行ってるブラッドオーガ? のブラッソも相当強い……今こんな気持ちになるのは駄目なんだろうけど、今回の戦争はこっち側が負けるとは思えねぇよ」
「確かにそんな気持ちになってるのは駄目だろうな。でも、向こうだってとんでもない戦力がいるかもしれねぇぞ」
「その可能性は当然頭に入れてるさ。でもな、お前やお前の従魔たちみたいなぶっ飛び過ぎてる存在が幾つもいると思うか?」
「…………」
自身やゲイルがぶっ飛んでいることは重々承知しているので、反論する言葉が見つからない。
「まぁ、今回の戦争で負けつもりは全くないよ。でも……戦争に勝っても、こっち側の人が一人も死なない訳じゃない。ガンツが少し前までと比べて強くなったのは分かる」
「油断してたら足元すくわれるかもしれない、だろ。俺もルーキーじゃないんだ、そこら辺はちゃんと理解してるって」
「……だと良いんだけどな」
一人も死者を出さない、なんて傲慢なことはチート過ぎるゼルートでも宣言出来ない。
仮に敵を倒すよりもそちらに意識を向けていれば、戦争に挑むと決めた者たちの覚悟を侮辱することになる。
それが分かっているので、基本的には守るよりも倒すことに専念すると決めている。
「うっかり流れ矢で死んだりするなよ」
「おぅ、安心しろ。お前とまだ一緒に酒飲んでねぇしな」
「……そういえばそうだったな」
若干死亡フラグっぽい何かを立てながらも、ゼルートたちは戦争の舞台であるバレアール平原へと到着した。
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