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少年期[739]本当に三歳?
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屋敷の前に到着すると、ガレンやレミアよりも先にブラッソが立っていた。
「この間ぶりだな」
「おう、そうだなブラッソ……てか、ちょっと体が大きくなってないか?」
「む、そうか?」
パッと見では分からないかもしれないが、ブラッソの体は確実に大きくなっていた。
「ふむ、私もゼルート殿と同じく、ブラッソ殿は少し大きくなった気がする」
「私も同じ考えね。ブラッソさん、もしかして食べる量が増えましたか?」
「いや、そんなことはないと思うが……まぁ、特別不便はないから問題はないだろう」
ブラッソの体は中年オヤジの様に腹だけが大きくなったのではなく、全身が一回り大きくなっているので、寧ろ若干ではあるが身体能力が上がっていた。
(まだ常識の範囲ではあるけど……でも、グレイスさんとかの体が大きい冒険者と比べて断然大きいな。もしかしてあれか、第二次成長期ってやつなのか?)
そもそもゼルートは魔物に成長期などがあるのか分からないが、他に理由が思い至らなかった。
「ゼルート、帰ってきたか!!!!!」
「おかえり、ゼルート!!!!」
「ゼル兄様、おかえり!!!!!」
勢い良く玄関が開かれ、家族であるガレンとレミア、セラスがダッシュでゼルートの方へやって来た。
そしてガレンとレミアは力加減が分かっているのでブレーキを掛けながらハグしたが、二女のセラスはまだまだ子供で兄のゼルートに遠慮するという考えがないので、全力ダッシュでゼルートに跳びついた。
「おっとっと。はは、ただいま。父さんも母さんもセラスも元気にしてた?」
「おう、元気モリモリだぞ!!! 自分で言うのもあれだが、冒険者時代よりも確実に強くなってる筈だ!!!!」
「私も同じね。魔力操作の技術は絶対に現役の頃と比べて上がってるわ」
「そ、そうなんだ。さすが父さんと母さんだね」
二人の実力が上がっている。
本人からの報告ではあるが、報告を聞いたゼルートは若干引いていた。
(アホみたいに力を付けた俺が言うのもあれなんだろうけど、二人ともまだまだ強くなってるのか……俺が初めて二人を鑑定した時も相当強かったと思うんだが……もう二人ともグレイスさんやコーネリアさんの様に冒険者じゃないんだぞ)
その通り。
ガレンとミレアは既に冒険者ではない。
ゼルートの認識は全くもって間違っていないのだが……決して戦う相手がいない訳ではない。
「ゼル兄様、見てみて! 私も強くなったんだよ!!!」
そう言うと、セラスは両手の手のひらから魔力の球体を生み出し、何も無い地面に向かってぶん投げた。
「……ほ、本当だな。凄いぞセラス!!!」
「本当に? やったーーーー!!!!」
セラスが行った行動に対して、凄いと思ったのは間違いない。
(えっと……あれ、セラスって確かまだ三歳半ぐらいだよな。まだ五歳とか十歳になってないよな)
ゼルートの記憶は間違っておらず、セラスの年齢は三歳と少々。
だが、そんなまだまだ幼女といえる年齢の令嬢が魔力の球体をぶん投げて地面に穴を空けてしまった。
その光景を少し離れた場所で見ていた執事やメイドたちは乾いた笑みを浮かべていた。
(なるほど。もうこれが日常茶飯事だな)
まだ幼いながらに常識はあり、魔力の球体をぶん投げてはいけない方向には投げない。
ただ、ゼルートを驚かせるには十分な光景だった。
「アレナさんたちもお帰り。さぁさぁ、中に入ってゆっくり休んでくれ」
ゲイルたちだけは外に残ってブラッソと離れていた間に起こった事について話し合い雑談を始めた。
そして屋敷の中に入ったゼルートたちはソファーに座り、ガレンとレミアと向かい合う形。
セラスだけは久しぶりに会えた兄の膝の上にちょこんと座っている。
メイドが淹れた紅茶を一口飲み、ゼルートはとりあえず戦争についての話をする前に、前回実家に帰ってきた以降にどういった冒険をしてきたのかをザっと説明した。
「この間ぶりだな」
「おう、そうだなブラッソ……てか、ちょっと体が大きくなってないか?」
「む、そうか?」
パッと見では分からないかもしれないが、ブラッソの体は確実に大きくなっていた。
「ふむ、私もゼルート殿と同じく、ブラッソ殿は少し大きくなった気がする」
「私も同じ考えね。ブラッソさん、もしかして食べる量が増えましたか?」
「いや、そんなことはないと思うが……まぁ、特別不便はないから問題はないだろう」
ブラッソの体は中年オヤジの様に腹だけが大きくなったのではなく、全身が一回り大きくなっているので、寧ろ若干ではあるが身体能力が上がっていた。
(まだ常識の範囲ではあるけど……でも、グレイスさんとかの体が大きい冒険者と比べて断然大きいな。もしかしてあれか、第二次成長期ってやつなのか?)
そもそもゼルートは魔物に成長期などがあるのか分からないが、他に理由が思い至らなかった。
「ゼルート、帰ってきたか!!!!!」
「おかえり、ゼルート!!!!」
「ゼル兄様、おかえり!!!!!」
勢い良く玄関が開かれ、家族であるガレンとレミア、セラスがダッシュでゼルートの方へやって来た。
そしてガレンとレミアは力加減が分かっているのでブレーキを掛けながらハグしたが、二女のセラスはまだまだ子供で兄のゼルートに遠慮するという考えがないので、全力ダッシュでゼルートに跳びついた。
「おっとっと。はは、ただいま。父さんも母さんもセラスも元気にしてた?」
「おう、元気モリモリだぞ!!! 自分で言うのもあれだが、冒険者時代よりも確実に強くなってる筈だ!!!!」
「私も同じね。魔力操作の技術は絶対に現役の頃と比べて上がってるわ」
「そ、そうなんだ。さすが父さんと母さんだね」
二人の実力が上がっている。
本人からの報告ではあるが、報告を聞いたゼルートは若干引いていた。
(アホみたいに力を付けた俺が言うのもあれなんだろうけど、二人ともまだまだ強くなってるのか……俺が初めて二人を鑑定した時も相当強かったと思うんだが……もう二人ともグレイスさんやコーネリアさんの様に冒険者じゃないんだぞ)
その通り。
ガレンとミレアは既に冒険者ではない。
ゼルートの認識は全くもって間違っていないのだが……決して戦う相手がいない訳ではない。
「ゼル兄様、見てみて! 私も強くなったんだよ!!!」
そう言うと、セラスは両手の手のひらから魔力の球体を生み出し、何も無い地面に向かってぶん投げた。
「……ほ、本当だな。凄いぞセラス!!!」
「本当に? やったーーーー!!!!」
セラスが行った行動に対して、凄いと思ったのは間違いない。
(えっと……あれ、セラスって確かまだ三歳半ぐらいだよな。まだ五歳とか十歳になってないよな)
ゼルートの記憶は間違っておらず、セラスの年齢は三歳と少々。
だが、そんなまだまだ幼女といえる年齢の令嬢が魔力の球体をぶん投げて地面に穴を空けてしまった。
その光景を少し離れた場所で見ていた執事やメイドたちは乾いた笑みを浮かべていた。
(なるほど。もうこれが日常茶飯事だな)
まだ幼いながらに常識はあり、魔力の球体をぶん投げてはいけない方向には投げない。
ただ、ゼルートを驚かせるには十分な光景だった。
「アレナさんたちもお帰り。さぁさぁ、中に入ってゆっくり休んでくれ」
ゲイルたちだけは外に残ってブラッソと離れていた間に起こった事について話し合い雑談を始めた。
そして屋敷の中に入ったゼルートたちはソファーに座り、ガレンとレミアと向かい合う形。
セラスだけは久しぶりに会えた兄の膝の上にちょこんと座っている。
メイドが淹れた紅茶を一口飲み、ゼルートはとりあえず戦争についての話をする前に、前回実家に帰ってきた以降にどういった冒険をしてきたのかをザっと説明した。
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