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少年期[705]防御不可能

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「おう、来たか。注文の品は出来上がってるぞ」

作業を一段落終えたオルガの傍には、鞘と聖剣らしき一振りが置かれていた。

「それが……父さんの、聖剣ですね」

「あぁ、そうだ。風の聖剣、ホルガストだ」

「聖剣、ホルガスト……最高ですね」

目の前の聖剣を装備した父親の姿を思い浮かべると、自然と笑みが零れてしまった。

「あぁ、自分で言うのはあれだが、最高の一品だ。ランクは七……脚力の強化や風魔法の威力増加などの効果が付与されているが、メインは専用技が付与されたことだな」

「す、凄いですね」

ダンジョンの宝箱から手に入る武器には、偶に専用技が付与されていることがある。
ただ、鍛冶師が造った武器には中々専用技が付与されることはない。

稀も稀であり、ランクこそ裂土豪災に一つ劣るが、質は全く劣っていない。

「技の名前は空絶……持ち手の技量にもよるが、防御不可能な斬撃になるだろう」

「空絶……良いですね。持ち手の力量が問題なら、全く心配いりません」

元Aランク冒険者であり、現在もブラッソと一緒に高め合っている。
そんな父、ガレンが持つのに相応しい一振り。
心の底からそう思うゼルートだが、それは決して身内びいきではない。

ガレンのことを知っているパーティーメンバーたちも同じ気持ちだった。

(間違いなく、高品質な聖剣……是非とも、装備したガレン殿と戦ってみたい)

同じロングソードを扱う者として、戦いたいという闘志が零れないようにゲイルは必死で抑えていた。

「そうか。まぁ、元Aランクの冒険者なら心配いらいないか。それで……手に入ったのか?」

オルガの問いに、アレナたちはニヤニヤと笑みを零し始め、ゼルートがアイテムバックから聖魔石のインゴットを取り出した。

「……お前たち、随分と運が良いのだな」

「普段の行いが良いのかもしれませんね」

冒険者らしい日常を行っているが、売られた喧嘩は絶対に買ってしまうので、行いが良いか悪いかは悩ましいところ。

(必要な物を手に入れたいとき、本当にラームの強奪は有難いな)

チートスキルである強奪を使い、ダンジョンから生み出されたモンスターから運を奪い、六十層のボスに挑む際にそれを発動。

幸運を意図的に発動するのは不可能だが、運を奪うタイミングを調整すれば案外なんとかなってしまう。

「いや、運が良いだけではないな。聖魔石が手に入るか否かは運次第だが、六十層のボスを倒すのは簡単なことではない。今回はいったい何が現れたんだ?」

「今回はホーリーガルーダと、グリフォンが四体だったらしいです」

「……良く勝てたな」

地面を歩くモンスターと、空を飛ぶモンスターでは討伐難易度が変わってくる。
それはオルガも解っているので、厄介で強い鳥獣モンスターを倒した事実に驚く。

「あっ、今回俺は参加してませんよ。別件があったんで」

「なら、そっちの嬢ちゃん二人と従魔たちだけで倒したのか」

「そういうことです。俺は五十層のエボルサーペントを狙ってたんで」

「……悪獣を倒す実力を持っていると解っていても、その行動力と結果には驚かされるな」

今まで多くの冒険者を見てきたが、ゼルートほどぶっ飛んでいて、尚且つ圧倒的な実力を持つ者はいいなかった。

「それだけじゃないんですよ、オルガさん。ゼルートは五十層に辿り着くまでに、コロシアム罠に掛かってしまったんです。しかも七回戦までコロシアムですよ」

「なにっ!!?? それは真か!?」

アレナからの報告を聞き、オルガは先程まで比べ物にならない表情で驚き、直ぐにその結果が気になった。

「は、はい。真ですよ。色んな魔物が現れましたけど、こうして五体満足です」

「う、うむ……その様だな」

悪獣を倒し、エボルサーペントもソロで倒す様な冒険者であれば、心配する必要はない。
それは思い出して深呼吸を繰り返し、自身の望みを言葉にした。

「一つ頼みがある。是非、コロシアムをクリアした報酬として手に入れた武器を見せてくれないか」

宝箱が四つあれば、どれか一つぐらいは武器があるだろうと思い、頭を下げてみせてほしいと頼んだ。

ゼルートたちは慌てて頭を上げてもらい、手に入れた三つの武器を見せた。
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